マイスターです。
■Googleマップ「ストリートビュー」機能で大学を知る
↑以前の記事で、Googleの「ストリートビュー」機能をご紹介しました。
このとき、
日本でもアメリカでもそうですが、大学キャンパス内には、Googleの撮影車両は入り込みませんので、基本的には、見られるのはキャンパスの周りだけです。
しかし、自分で歩き回れるという点と、キャンパス周辺の環境を詳細に知ることができるという点は、なかなか侮れません。
……と書かせていただきました。
もしキャンパス内を歩き回れたら、デジタルキャンパスツアーとか簡単なんじゃ……とか、あれこれ妄想がふくらみました。
そんなことを思っていたのはマイスターだけではなかったようで、どうやら、ストリートビューによる大学キャンパス探訪が、実現の方向に向かっているようなのです。
【今日の大学関連ニュース】
■「施設を『ストリートビュー』で公開しませんか? – グーグルが新プログラム」(マイコミジャーナル)
グーグルは13日、『ストリートビュー パートナー プログラム』を開始した。行楽地や大学など施設内を撮影してGoogleマップのストリートビューで公開するプログラム。施設運営者の申し込みに応じて実施していく。
Googleストリートビューでは、市街地を撮影した画像データを、歩行者目線の360度パノラマビューとして提供している。公開画像は、カメラ搭載の専用車両が公道を走行して撮影したもので、私有地などの施設内部までは含まれていない。同社は今回スタートしたパートナープログラムを通じて、寺院などの行楽地や大学といった従来カバーできなかったエリアも追加したい狙い。13日より同プログラムを開始し、撮影を希望する施設運営者からの応募をWebサイト上で受け付ける。施設の種類についてサイト内FAQでは「動物園、公園、大学、遊園地、屋外市場、スタジアム、記念碑、観光地、レースサーキット」などとされている。
(上記記事より)
……というわけで、「Google ストリートビュー」で、私有地内の撮影をするサービスを、日本のGoogle社が発表しました。
施設内の撮影には撮影設備を搭載した自転車を利用するとのこと。
実際にその自転車で、京都・高台寺を撮影した様子がYouTubeにて公開されています。
公開をきっかけに、多くの方々に実際にお寺へ足を運んで欲しいというご住職のコメントが、リアルで親しみがわきます。
残念ながら、現時点ではまだこの撮影結果が「ストリートビュー」に反映されていないらしく、実際に高台寺の境内をまわってみることはできませんでした。
でもこの映像を見る限り、かなり狭い小道などでも対応できるようですね。
そして撮影用の自転車が、なんだかユーモラス。
これが大学キャンパス内を走っていたら、「あっ、Google!」とか学生が声をかけそうです。
私有地ということですが、どこでも良いというわけではありません。
Googleが挙げている、撮影をする施設の例には、
「動物園、公園、大学、遊園地、屋外市場、スタジアム、記念碑、観光地、レースサーキット」
……と、しっかり「大学」が名指して入っています。
私有地だけど公開するニーズがあるという点では、確かに大学キャンパスはこのサービスの想定にぴったりかも。
国立大学など、広大なキャンパスを誇る大学は全国にあります。
キャンパスの広さや雰囲気を自慢にしている大学にとっては、ストリートビューの受け入れは、大学のPRにも繋がるかもしれませんね。
高校生を中心に、大学に関心を寄せる方々にとって、
「どんな大学なのかな?」
……と、ちょっとキャンパスの雰囲気をのぞいてみたい瞬間は、あります。
そうしたとき現在では、大学の公式サイトやパンフレットに掲載されている写真を見るほかは、実際に「大学に行ってみる」という選択肢しかありません。
でも、志望校選択を迫られた受験生でもないかぎり、なかなか気軽に大学に行ってみようと思う機会はなかなかないものです。
オープンキャンパスを開催していればそこに行くこともできますが、突然深夜に「そう言えば○○大学の中ってどうなっているの?」と思いついたそのときには、実際に見に行くことはできません。
距離もそれなりに離れていることが多いでしょうし。
そんなとき、その「ちょっと気になった」ニーズをGoogle ストリートビューが対応してくれたら、結果として「さらに気になった」状態になるかもしれません。
そんな行為の連続で、実際にオープンキャンパスに行ってみようと思うこともあるでしょう。
AIDMAの法則、AISASの法則なんて言葉もありますね。
Google ストリートビューは、所詮バーチャルな体験ですから、実際にキャンパスを訪ねて自分の目で見て回ることに比べたら遠く及びませんが、
「交通広告 → webサイト → パンフ → オープンキャンパス」
みたいなメディア体験のどこかに、
「交通広告 → webサイト →(Google ストリートビュー)→ パンフ → オープンキャンパス」
……なんて形で入って体験を補い、関心を強めてくれる仕掛けのひとつにはなるかもしれません。
それに、遠方の大学の様子をざっくりと見てみたり、入試前に会場の下見を行ったりと、何かとお役には立ちそう。
先日の記事でご紹介したように、各種の文化財に指定されている校舎を持っている大学にとっては、キャンパスの魅力を受験生や建築系の学生などに伝える上で活用できるかもしれませんし。
キャンパスの隅々を公開することがセキュリティ的に心配であれば、部分的に撮影の対象外にするということもできるのでは……と思います(Googleに交渉してみてください)。
ちなみにマイスター、「こうした取り組みは、アメリカで先に行われているのではないか」と考え、スタンフォードやMITなどのマップを見てみましたが、キャンパス内はストリートビューには対応しておりませんでした。
実はこれ、世界のどこよりも日本で早く行われる、日本先行の取組みなのです。
■「Google Set to Address Street View Privacy Issues in Japan」(Tech ON!)
つまり、日本での取り組みは「実験」です。
日本の大学にこのサービスは浸透するのか。
その後、海外では浸透するのか。
「日本では浸透しなかったけど海外では流行した(あるいはその逆)」みたいなことが起きるのか。
その辺り、ちょっと興味深いです。
上でご紹介した撮影風景の映像を見る限り、撮影には手間がかかりそう。
Googleに撮影を依頼しても、マップに反映されるまでにしばらく待つことになるかと思います。
撮影&公開は早い者勝ちだと思いますので、気になった大学の方は、早めにGoogle社にお問い合わせされることをオススメします。
■「ストリートビュー パートナー プログラム」(Google)
ところでGoogleストリートビューと言えば、プライバシーの問題が議論になりました。
今回、その点についても、Google日本法人が「独自の」解決案を示しています。
■「「ストリートビュー」カメラの位置を40cm低く、全エリアで再撮影 表札のぼかし処理リクエストにも対応」(INTERNET Watch)
■「Google Set to Address Street View Privacy Issues in Japan」(Tech ON!)
プライバシーの問題も、日本だけで起きている議論ではないと思いますが、こちらも日本での反応を見て、他の国の取り組みに反映させるのでしょうか。
それとも、日本の住居の塀の高さを意識した施策のようですし、日本だけのカスタマイズかな?
公道に比べたら、むしろ私有地である大学キャンパス内の方が、議論はなさそうな気もします。
あらかじめ全学的に撮影予告を行い、撮影時に学内放送で呼びかけるなどすれば、写りたくない人が入ってしまうリスクはかなり減らせると思いますし。
色々な点で、興味深い実験になりそう。
我こそはと思う大学の方は、Google社にお問い合わせをしてみてください。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。