青山学院大学社会情報学部 全学生に「iPhone 3G」を配付

マイスターです。

ゴールデンウィーク中に、遅ればせながら「iPhone 3G」を手に入れました。
発売当初から気にはなっていたものの、なんとなく手を出していなかったのですが、えいやっと購入。
使い始めてみるとやはり便利で、もう手放せません。

専用アプリケーションが有料・無料で配布されている「App Store」も、どんなソフトがあるのか見ているだけで楽しいです。
何しろ、世界中の方々が開発し、実際に使って評価している状態ですから、大がかりなものからちょっとした便利ツールまで、充実したラインナップ。
GoogleのAPIもそうですが、こういう、「一気に爆発的にひろがる仕組み」をつくるのって、大事ですよね。

さて、今日はこんな話題をご紹介します。

【今日の大学関連ニュース】
■「青山学院大学とソフトバンク、社会情報学部にiPhoneを導入 」(ケータイWatch)

青山学院大学とソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコムは、iPhone 3Gを活用したモバイル・ネット社会の教育と研究を進める基本協定を締結したと発表した。青山学院大学 社会情報学部の学生にiPhone 3Gが配布され、授業の補助から研究対象にまで幅広く利用される。
今回の取り組みは、同大学の社会情報学部が目指す、モバイル・ネット社会を支える人材育成の一環として行われるもの。同学部の学生と教員全員にソフトバンクモバイルのiPhone 3Gが配布され、GPSなどを利用する出席通知アプリから、復習のための動画配信(ポッドキャスト)、プラットフォームとしてのiPhoneアプリや App Storeの研究、アプリやシステムの開発など、カリキュラムの内容まで深く関わる形で活用される。
開設2年目となる同学部では現在530名の学生が在籍。教員を合わせ、550台が15日より順次配布され、6月に試験運用を開始、後期の授業から本格運用を開始する。現在の2年生が4年生になる2年後には、1000台規模の導入になる見込み。
(上記記事より)

青山学院大学 社会情報学部の取り組みです。

同学部のすべての学生に、大学が「iPhone 3G」を配付。
学部での教育・学習活動や、普段の学生生活のためのツールとして活用していくとのこと。

具体的な活用法として、↓このような構想が発表されています。

具体的には、「iPhone 3G」を大学標準のメールシステムやグループウェアと連携し、授業資料や教材の配布、出席管理、ミニテスト、授業収録放送を行い、学習に活用するという。また、低学年の学生には「App Store」にある世界的競争で優位なアプリケーションを探し出し、生活の中で体感し、新たなライフスタイルの提案に役立ててもらうとのこと。学部の授業内でも学習理解に有益なサイトやアプリケーションを提供し、学内でもさまざまな情報を交換する場を提供していくとしている。さらに高学年には、モバイル・ネット社会を構築するサイトやアプリケーションシステムを研究し、実際に開発してもらい、将来的にはここでのアイデアや開発が世界マーケットで流通し、「iPhone 3G」で利用できるようになることを目指す考えだ。
ソフトバンクテレコムとソフトバンクモバイルは、社会情報学部のカリキュラムなどにも積極的に協力して行く方針とのこと。
「青山学院大学、社会情報学部の全学生向けに『iPhone 3G』を配布」(RBB TODAY)記事より)

こうした取り組みは、社会情報学部の教育目的やカリキュラムと連動しています。

■「社会情報学部:教育の特色  カリキュラム」(青山学院大学)

「数理的素養」、「コミュニケーション能力」、「論理的思考」、「情報の高度な活用」の4つが、同学部の教育コンセプト。
こうした能力を習得するにあたって、日常から「iPhone 3G」のようなツールを活用し、「これで何ができるか」と考える環境に身を置いておくというのは、大事です。

上記の記事にあるように、学生達が「APP Store」で世界的に流通するようなアプリケーションを開発していくというのは、非常に刺激的です。
社会に大きなインパクトを与える実験ができるという点では、世界中で使われている「iPhone」のプラットフォームは魅力的な環境でしょう。
日本国内でしか使われていない従来の携帯キャリアでは、同じことはできません。

世界に開かれた「APP Store」のような環境を活動ステージと捉えれば、アプリケーションを開発する過程で、英語などの外国語がどうしても必要になります。
そういう視点を低学年のうちから体感しておけるという点でも、日本の携帯キャリアより魅力的なのではないでしょうか。
社会情報学部の学生が次々にオリジナルのアプリを世に出していけば、同学部の評価も上がっていくと思います

今回のこの取り組みは、IT系の専門メディアから、大手新聞社などまで、極めて多くのメディアに取り上げられていました。
「iPhoneを全学生に」というわかりやすさ、目新しさが、メディア向けだったのかもしれません。
青山学院大学およびソフトバンク社も、積極的にプレスリリースを打たれていたのだと思います。

■「青山学院大学とソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコムはモバイル・ネット社会の教育・研究 基本協定を締結
-社会情報学部全学生に「iPhone 3G」を配布。モバイル・ネット社会に通用する高度な人材を育成-」(青山学院大学)

学長・学部長、そしてソフトバンク社長による記者向け説明会も行われており、それも色々なところで記事になったようです。
IT系のメディアと、一般向けの大手メディアでは詳しく聞きたいところも違うでしょうから、記者の方々が質問できる説明会を行うというのは、大切ですね。

↓ちなみにいくつかのメディアは、「代返防止」という点をクローズアップして取り上げていました。

教育支援の一環としては,出席管理にiPhoneを活用する。学生は教室内で専用アプリを立ち上げ,教官のID番号などを入力して出席の手続きをする(写真2)。そのときにGPS機能で位置情報も送信するため,教官は学生がその場で講義を受けているか確認できる。学生が友人に出席の返事や出席カード記入の代行を頼む“代返”を防止し,より適正な教育の実践につなげていく。
「青山学院大学が550台のiPhoneを導入,出席確認アプリで“代返”防止も 」(IT pro)記事より)

大学が教育でITツールを駆使する、と言ったときに、「代返防止」程度の部分がクローズアップされてしまうというのは、ちょっと残念。
これは、大学が目指している目的からしたら、ごく一部の、わりと些末な部分だと思うのですが。

記者の方は、一般の方がイメージできるようにと考えてこうした打ち出しをされたのでしょう。
逆にいうと、世間一般の方々の大学教育に関するイメージは、まだ昔とそんなに変わっていないということなのだと思います。

ちなみに、iPhoneの利用に関する「お金」はどうなっているかというと、

iPhone 3G本体は青山学院大学が法人名義で契約するもので、学生に貸与する形となる。契約プランは一般的なiPhone 3Gと同様で、ホワイトプラン、S!ベーシックパック、パケット定額フルの組み合わせで運用される。利用料は基本的に大学側が負担するが、法人契約で公私分計を可能にするシステムが導入されており、ホワイトプランにおける有料の通話と、パケット定額フルの一部料金は学生が負担する。学内でのパケット通信は無線LANでの利用を前提としており、学業以外の部分を学生が負担する形になっている。
「青山学院大学とソフトバンク、社会情報学部にiPhoneを導入 」(ケータイWatch)記事より)

……というわけで、基本的な利用料は大学持ち。
ラップトップPCを配付するというのは良く聞きますが、在学中の携帯の基本使用料というのは初耳。
なかなか思い切った計画です。

貸与という形ですから、卒業時には返却されるのかもしれませんが、社会情報学部の学生はきっと、卒業後も「iPhone 3G」を使い続けるでしょう。
それに、社会情報学部の全学生が「iPhone」を使い、自分達用のアプリを開発していたら、相模原キャンパスで学ぶ他学部の学生にも影響がありそう。
それを考えたら、ソフトバンクにとっては、仮に端末を破格の値段で大学に提供したとしても、十分にメリットがある話なのではないでしょうか。

でも、こうした連携はお互いにとってメリットがあるわけですし、なにより面白そう。
せっかくマイスターもiPhone 3Gユーザーになったので、青山学院大学発アプリを楽しみに待つことにしたいと思います。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。