マイスターです。
以前、企業のwebサイトを企画・製作していたこともあって、大学のweb広報についても、色々と興味深い事例を集めています。
顧客を獲得するための広報・PRにおいては、ずっと昔から厳しい市場環境の中で奮闘してきた企業に、一日の長があるように思いますが、最近では大学も負けていません。
学園の広報体制が強化される中、webでもユニークな取り組みが次々に生まれています。
最近も、すごい事例が生まれました。
【今日の大学関連ニュース】
■「多摩大学」
多摩大学のwebサイトが、すごいことになっています。
こんなトップページ、かつて見たことがありません。
詳しくは↓こちら、多摩大学・久恒啓一教授のwebサイトをご覧ください。
そっくりですね。
多摩大学トップページのベースになっているのは、この久恒教授が提唱されている「図解コミュニケーション」の考え方です。
相手に、概念や情報を「図解」で提示するというのは、ビジネスの世界でも、あるいは大学の授業でも、日常的に行われています。
忙しい相手にわかりやすく、瞬時にこちらの考えや要求を伝えるためには、こうした方法はとても有効。
ただ一般的に私達がプレゼンテーションなどで提示するのは、たいてい、もっと単純で情報量の少ない図解ではないでしょうか。
上記の2サイトで使われているような図は、作る機会も、目にする機会もそれほど多くありません。
しかも、それをwebサイトのトップページにそのまま採用してしまうというのは、なかなか思いつかないと思います。
思い切ったデザインだと思いますが、でもこうして見てみると、なるほど、うまくできています。
webサイトを制作するときにも、情報構造をいかに整理し、視覚的に展開していくかということが求められます。
様々な議論を重ねながら、徐々に情報を絞っていくわけですが、敢えて絞らずにこんな見せ方をしてしまうというのも、悪くないと思えます。
大学は、巨大総合メーカー並に多くの情報を抱えています。
社会に対して行っているサービスも多岐にわたり、その全貌を知ってもらうのは大変。
学内の学部学科や各部署が、個別に進めているような取り組みもあり、それらを広報していくのは簡単ではありません。
「ディテールに神は宿る」と言います。各企画の関係者は、やっぱり自分の取り組みを知って欲しい。ひとつの事例をきっかけにして、大学全体に興味を持ってもらえることもあるでしょう。
でも、webサイト、特にトップページのスペースは、限られています。個別の事例をひとつひとつ取り上げていたら、全体の姿がわかりにくくなるというジレンマがあります。
「全体の様子を伝えつつ、詳細な取り組みの一つ一つにも関心を持ってもらう」
多摩大学の図解トップページは、そんな大学広報のミッションを、独自の方法論で解決しているようです。
こんな方法もあるのかと、マイスターも驚きました。
この図解トップページはさらに、図解という方法論を前面に出すことによって、多摩大学の特徴を社会に示してもいるようです。
多摩大学は、「経営」分野に強みを持つ大学です。
社会人、特に様々なビジネスの場で活躍されているビジネスパーソンを大きなターゲットとし、そこに向けて情報を発信したり、彼らをバックアップする教育や研究を展開しているという特徴があります。
上述したとおり、ビジネスの世界では、「図解」に代表されるように、情報を整理し、ビジュアルで表現することが日常的に要求されます。
多忙な顧客やビジネスパートナー、あるいは上司に対して、短時間で的確に物事を伝えられることは、大きな強みになります。
ただ、単にビジュアル化すればいいというものでもありませんよね。複雑な概念をわかりやすく整理し、「なるほど」と伝えるのは、簡単ではありません。
言うは易しで、実際にはなかなかしっくりくる図解ができずに悩むことも多いと思います。
(マイスターも、その一人です)
そんな、ビジネスにおける「最重要方法論」の一つが、いきなりトップページで全面展開されているのです。
例えばMBA取得などを考えておられる方などは、「おぉっ!?」……と、興味を持つでしょう。
だって、まさにこういった発想やスキルを身につけるために、ビジネスを学びたいと思っているのですから。
少なくとも、「他の大学とはちょっと違いそうだ」という印象は残るのではと思います。
色々な意味で、多摩大学らしさが表現されているトップページです。
ちなみに、やはり同じような図解デザインを採用している↓こちらの研究会にも、よく見ると図の中央付近に、久恒教授や、寺島実郎・多摩大学新学長といったお名前がありますね。
この「図解コミュニケーション」を、多摩大学から世の中に広めよう。
そんな意図もあるのかな、なんてことも、ちょっと思ったりします。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。
このような図を見て
下品!
だと思うのは私の考えが古いせいでしょうかね。
多摩大学OBです。
HPのご紹介ありがとうございます。
(自分がお礼を言うのは変かもしれませんが)
自分が卒業した大学のことを褒めるのはやや気が引けますが、自分にはとても学びが大きく、また個性的な良い大学だと思っております。
ただ、その長所や利点などが、なかなか世の中に伝わっておらず、その結果が偏差値(≒人気ランキング?)だったりするのかなと思っております。
そんな中、大学の特徴を示す取り組みとして、この「HPの図解」は面白い取り組みなのかなと見ております。
また、図表に上品、下品という区別をしたことがないので、OneWordさんのコメントはとても新鮮な視点を提供してもらった感じです。
単に「見づらい」「分かりづらい」「理解できない」ではなく、なぜ「下品」という表現になったのか?
OneWordさんの「図表の品格」の基準にとても興味があります。
このコメントをご覧になっていらっしゃれば是非とも教えていただきたいです。
(上品な図表の例示もしていただけると、大変助かります)
わたしは、素晴らしいと思います。
マインドマップやコンセプトマップに似ていますね。
わかりやすいし使いやすい。
真似したHPがこれから続出してくる気がします。
多摩大学は新しい学長さんを迎え、20周年を迎え、さらに飛躍してほしいものです。
学生さんもその期待にこたえなくてはいけません。