江戸、明治時代の大学キャンパス

マイスターです。

大学時代、「環境の変遷」について学ぶ機会が何度かありました。
例えば現在、東京の中を走っている道路。幹線道路から細い小道まで色々ありますが、その多くは江戸時代から、ほとんど同じ場所にあります。

マイスターは大学で学ぶまでなんとなく、道路や土地区画というのは国家によって都合良く何度も変更されているものと思っておりました。でも近代国家であればあるほど、道路や土地というのは、例え国家権力を持ってしてもそうやすやすと変えられるものではないのですね。

わかりやすい例をひとつ。
江戸時代、幕府は日本各地の大名に参勤交代を強いていましたよね。したがって江戸の町には当時、そこかしこに広大な敷地を持つ大名屋敷がありました。

その後、大政奉還がなされて明治政府が誕生するわけですが、近代国家としての体裁を整えるため、官公庁を初めとする各種の国家機関を設立するための場所が、首都東京にたくさん必要になりました。いずれも国の中央機関ですから、それなりに広い土地を必要とします。しかし今や近代国家になったわけですから、国民の土地を権力で強制徴収するわけにもまいりません。
そこで、不要になった各大名屋敷の敷地がそういった諸機関の建設地としてあてがわれたのです。たまたま参勤交代という制度があったおかげで、広々とした土地が東京にはぽつぽつと残されていたというわけですね。当時の政府にしてみれば、ラッキーだったと思います。

今でもそれがイメージできるのが、東京大学の本郷キャンパス。
有名な「赤門」は、あの敷地がかつて大名の屋敷跡であったことを私たちに知らせてくれています。

そんなふうに、過去から現在までの環境の変遷を追う作業は、非常に楽しく、面白いものです。特に、大学には100年くらい歴史があるものもザラですから、調べがいがあるというもの。

(東京限定ではありますが)そんな楽しみに役立つサイトがありましたので、皆様にもご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「Yahoo!地図情報 – 古地図で東京めぐり」(Yahoo!JAPAN)
http://map.yahoo.co.jp/kochizu/
————————————————————

web上での地図サービスというと「Google MAP」がよく知られています。こちらは、普段からお使いの方も多いでしょう。

さて、「Yahoo!地図情報」のこの特集ページは、

「江戸、明治、現代の地図、および現代の航空写真」を、まったく同じ縮尺で、瞬時に切り替えて見る

……ことができるんです。

「今のウチの大学の敷地って、江戸時代には何があったの?」
なんて疑問を、目で見て確認することができるんです。

マイスターが冒頭で申し上げたような「環境の変遷」が、楽に検証できます。
残念なことに今はまだ、東京23区のエリアしかカバーされておりませんが、これは楽しいです。

百聞は一見に如かず。ぜひ実際に見てみてください。

都合の良いことに、「教育施設、各種学校」というメニューが用意されています。
自分で調べなくても、主要な大学キャンパスの状況はこのメニューから簡単に追うことができます。

■「教育施設、各種学校」(Yahoo!地図情報 – 古地図で東京めぐり)
http://map.yahoo.co.jp/kochizu/category?gc=5&sc=2&pointer=on#landmark

例えばリストの2番目にある東京大学。
江戸時代、加賀藩の屋敷であったものが、明治時代には東京帝国大学の立派なキャンパスになり、それがそのまま現在、東大のキャンパスとして継承されている様子がよくわかります。三四郎池もそのまんまです。さすが国家の威信をかけた機関。

一方私立大学を見てみると、東大と同じように元々大名屋敷であったというところと、「江戸の頃は田んぼしかなかった」というところとに大きく分けられるような気がします。
慶應三田キャンパスや青山学院大学青山キャンパス、上智大学四ッ谷キャンパスなどは前者の例です。後者の例は、立教大学池袋キャンパスや学習院大学などでしょうか。

大学のキャンパスも、様々な理由があってそこに作られているのです。
東大のような国家機関は、それなりに首都の整備計画に沿って建設されたでしょう。一方私立大学は、土地を探すにも経済的な事情から離れられませんので、「当時は(田んぼばっかりで)土地が安かった」とかいった場所に設立されているケースが少なくありません。

(※でも東大駒場キャンパスの方はわりと後者です。駒場は「農科大学」のキャンパスとしてスタートしているからでしょうか?)

そんなことを知る上でも楽しい、お役立ちサイトです。
東京にキャンパスを持っている大学の方々は、ぜひ、自分の大学を探してみてください。
検索機能もあるので、「○○大学」と入れてみると、すぐにその場所を表示してくれます)

以上、入試が本格化し皆様も疲弊されている頃と思いますので、今日はちょっと楽しいコンテンツをご紹介しました。試験の合間の休憩時間にでもお楽しみください。

マイスターでした。

1 個のコメント