自治体と連携し、演習林を一般開放 九州大学の取り組み

マイスターです。

大学が持っている「土地」。
日本一、広い土地を保有している大学はどこだかご存じでしょうか。

朝日新聞出版「大学ランキング2009」によると、「校地面積」のランキングは以下のようになります。

第1位 北海道大学 660,119,079平方メートル
第2位 東京大学 327,094,820平方メートル
第3位 九州大学 74,843,485平方メートル

圧倒的な面積ですが、この数字には、大学が持っている「演習林」などが含まれており、いわゆる「キャンパスの広さ」を示す数字ではありません。
北海道大学や東京大学、九州大学は、キャンパスも広い大学ですが、さらに広大な演習林をいくつも保有しているのですね。

この「演習林」に直接関わるのは農学や林学・森林学などを学ぶ学生や研究者の方々ですが、せっかくの貴重な資源ですから、何か活用したいところ。
そこで、今日はこんな取り組みをご紹介します。

【今日の大学関連ニュース】
■「九大演習林を癒やしの森に 福岡・篠栗町、共同整備」(西日本新聞)

九州大学と福岡県篠栗町は5日、同町にある同大農学部の福岡演習林の一部を「篠栗九大の森」(仮称)として整備し、2010年度からの一般開放に合意したと発表した。九州大によると、自治体と共同管理で演習林を開放するのは全国的にも珍しいという。
開放するのは、約480ヘクタールの福岡演習林のうち、ため池の「蒲田池」を囲む17ヘクタール。100‐120種の樹木があり、九州大は環境学習の場として約2キロの遊歩道や解説板などを設置し、同町は展望台やフェンス、駐車場などを整備する。
演習林は、今も氏名などを登録すれば平日に限って入れるが、整備完了後は土曜や日祝日も開放する方針。九州大の梶山千里学長は「自然との触れ合いの場、高齢者の健康づくりの場などとして、心癒やす空間になれば」と話している。
(上記記事より)

九州大学は、福岡、宮崎、北海道と、全国3箇所に演習林を持っています。
そのうち、九大キャンパスからほど近い「福岡演習林」の一部を一般開放する計画だそうです。

■「九州大学農学部附属演習林」(九州大学)

↓このあたりが、福岡演習林です。

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マイスターはこういった分野にあまり詳しくないのですが、演習林というのは研究のために使うのであれば、なるべく不特定多数の来訪者がない状態が望ましいものなのでしょう。

限りなく「自然」状態に近い森林や、あるいはある程度人の手を入れた森林を適切な管理のもとで維持
・コントロールし、その中で森林の状態や各種の生態系を観測したりするものなのだろうと想像します。

九州大学も、これまでは、「平日のみ、登録者に限って開放」という措置を執っていたとのことですから、なるべく演習林内の環境に影響が及ばないよう、配慮していたのだと思います。

そんな中、上記のような方針を打ち出した九州大学。

正確には、演習林の一部分を整備し、遊歩道や解説板などを設置して、一般の方々のための環境学習の場を作るというのが意図のようです。ですから、演習林全体への影響はあまりないのでしょう。
むしろ一般の方のためのエリアを明確に設定し、そこに限定して開放を行うわけですから、結果的には他のエリアを保護することにつながるかもしれません。

自治体と連携しての事業だという点にも注目です。

篠栗町は、「展望台やフェンス、駐車場などを整備する」とのこと。町の人達のための緑地、自然公園としての機能を、この演習林に持たせるということなのでしょう。

篠栗町の人口は3万人ほど。町が独力で、手入れの行き届いた公園を維持管理するのは、容易ではありません。
九大と連携することで、学校の環境学習にも活用できるような、良質な森林公園を使えるようになるというのは、メリットが大きいと思います。

大学も、保有しているリソースの一部を、地域貢献に有効活用することができます。
一般の方々や地域の子供達に対して、学生が環境学習を提供するなど、様々な教育実践の場にすることもできそうです。
それに、地域の方々にとって、九大はより身近な存在になるでしょう。地元への貢献度は大きいと思います。

維持管理は従来よりも大変になると思いますが、その方法も含めて、これからの森林資源の活用を考える、良い事例になるかも知れませんお互いに、メリットがある連携だと思います。

以上、大学の資源活用という点で、興味深い事例だと思いましたので、ご紹介させていただきました。

演習林や臨海研究施設、牧場など、キャンパス外にも教育研究施設を持っている大学は、その活用方法を改めて検討してみると良いかもしれません。
自治体などとも手を組めば、大胆なことができるかもしれませんよ。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。