龍谷大学 仏教系総合博物館「龍谷ミュージアム」を建設

マイスターです。

最近はなかなか時間が作れずにいますが、学生時代は博物館や美術館に良く行っておりました。
上野駅を通学に使っていたので、その気になったときにフラリと美術館に立ち寄れる環境だったのです。
いちおう建築を学んでいたので、上野以外の美術館にも出かけてはいましたが、その場合「フラリ」とはなかなかいきませんでした。環境って大事なんだなぁ、と改めて思います。

さて大学でも、博物館や美術館を学内に併設しているところは少なくありません。両方合わせて、「○○大学ミュージアム」と呼ぶ場合も多いようです。
研究のために収集した史料や美術品などには貴重なものもあるでしょう。それらを広く公開し、学生を含む多くの方々が閲覧できるようにと配慮してくれているわけです。
こうした環境が身近にあると、学生や教職員、それに近隣の方々は、大いに恩恵を受けることができるわけで、「教育」、「研究」、「地域貢献」すべてにおいて、大学のミュージアムが果たす役割は小さくありません。

さて、今日はこんな報道をご紹介したいと思います。

【今日の大学関連ニュース】
■「仏教総覧の大博物館建設 龍大、西本願寺前に11年春開館計画」(京都新聞)

龍谷大(京都市伏見区)は11日、仏教の歴史や日本への伝来が分かる仏教総合博物館「龍谷ミュージアム」の建設計画を発表した。下京区の西本願寺前に2011年4月に開館予定で、龍大所蔵の国宝などの文化財、大谷探検隊の収集品のほか、最先端のデジタル技術で復元した原寸大の壁画も展示し、仏教研究の一大拠点を目指す。
龍大の創立370周年記念事業の一環。親鸞の750回大遠忌(2011年)にも合わせ、西本願寺の東側にある本願寺会館と本願寺同朋センターの跡地に建設する。
(略)総事業費は約33億円で、専任学芸員を3人以上配置する。龍大は「仏教専門の総合的な博物館は日本で例がないのではないか。西本願寺の門前町の歴史や文化を紹介するコーナーを設けたり、近隣住民との連携による活動を展開し、地域活性化にも役立てたい」としている。
(上記記事より)

創立370周年記念事業の一環として、龍谷大学が仏教総合博物館「龍谷ミュージアム」を建設すると発表しました。
色々なメディアで報じられており、注目されているようです。

大学によるプレスリリースを見てみると、

(2)私立大学トップクラスの規模
延床面積約4400㎡は、これまでの私立大学が設置する美術館や博物館と比べても、トップクラスの規模となる。
<施設名>                <延床面積>
1.天理大学附属天理参考館          15,369.42㎡
2.川崎医科大学現代医学教育博物館     7,679.00㎡
3.日本工業大学工業技術博物館        4,975.00㎡
4.龍谷ミュージアム                 4,393.70㎡
5.東海大学海洋科学博物館           2,915.00㎡
6.東北福祉大学芹沢�笘介美術工芸館     2,713.00㎡
7.多摩美術大学美術館              2,674.79㎡
(伊能秀明監修『大学博物館事典』日外アソシエーツ 2007年 調べ)
■「龍谷大学が2011年春、私大最大級規模の仏教総合博物館『龍谷ミュージアム』 を開館」(大学プレスセンター)より)

……とのことで、大学が持つミュージアムとしては大きい部類に入るそうです。
そう言えば大学ランキング本でも、こういったランキングはあまり見かけませんが、こうしてみてみると気になってきますね。

仏教系の総合博物館というのは、確かにありそうでなかった位置づけ。
京都に出かけると、仏像を見る機会は山ほどありますが、「仏教の歴史などを交えながら学べるミュージアム」というのはそう言えば、行った記憶がありません。

学生や近隣住民の方々だけでなく、観光客にも人気が出るかもしれません。
京都という立地が奏功しそうです。

大学キャンパス見学をしつつ、仏教のことも総合的に学べるとなると、修学旅行の定番コースとして、中学や高校の関係者にも重宝されそうな気がします。
ミュージアムができたら、旅行代理店や全国の学校関係者に、その線でPRをしてみると好評なのでは、なんてちょっと思いました。
大学としても、370年の歴史を間接的に高校生や高校教員の方々にアピールでき、悪い話ではなさそうです。
(ミュージアムの案内と一緒に、大学案内がズラリと入口に並べられた様子を勝手に想像しました)

ところで現在は、大学経営的を考える上では、大変な時代です。
キャンパスを拡張し、校舎を増やし、学部を増やし、とにかく少しでも多くの入学者を獲得することが、大学にとって死活問題になっています。

そんな中で、貴重な京都市内の校地をどどーんとミュージアムにするというのは、(上述したようなメリットはあるにせよ)龍谷大学にとっても結構、大きな決断だったのではないでしょうか。
様々な状況的判断もあった上での計画だとは思いますが、こういった発表は、社会的に評価されても良いのではないかと個人的には思います。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。