マイスターです。
「○○市民大学」
「○○高齢者大学」
……などなど、「大学」という表現は色々なところで重宝されているようです。
上記のように、リアルな学びの場が設けられているケースから、雑誌やwebサイトの一コラムに至るまで、至る所で使われる「○○大学」。
大学とつければ「学びの場」であることはすぐにわかりますし、「○○学校」よりも、なんだか間口の広い感じがします。
正規の大学は、入学試験を設けたり多くの単位を集めないと卒業できなかったりと、それなりに敷居が高い教育機関のはずなのですが、「市民大学」みたいな表現になった途端、誰でも気軽に参加できる雰囲気をまとうのですから、不思議ですね。
さて、既にいくつかのメディアが取り上げているので、ご存じの方も多いかと思いますが、そんな「大学」のイメージを利用したサイトが、話題になっています。
まだご覧になっていない方は、まず↓こちらをご覧ください。
■「のはらしんのすけ儀塾大学」
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なんと言いますか、
色々と、つっこみどころの多いサイトです。
何やらキャンパスらしき写真から、学章デザイン、建学理念から学部・学科、入学案内。
「大学っぽいサイト」というのは見たことがありますが、これは、大学のサイトそのものではないですか。
2008年9月4日、のはらしんのすけ儀塾大学は、21世紀という変化の時代の真っ只中で誕生しました。教育の再生・改革が強く求められる今、21世紀にふさわしい教育のあり方が求められています。
親子・家族を中心とした人間教育を確立し、
天才を養成し、未来を創造することが本学の教育の理念・目的です。
本学は、
1)家族を軸とした教育
2)天才養成
3)未来志向
3つの理念を柱として、変化の時代にふさわしい人材を育成し、社会に貢献することを目的として
設立されました。
(略)3つの理念を追求するために、最もふさわしい先導者として、野原しんのすけ氏と野原家の家族のあり方に共鳴し、野原一家を理想的なモデルとして、子供から大人まで誰もが分け隔てなく学べる生涯学習の場として、のはらしんのすけ儀塾大学を設立いたしました。
のはらしんのすけ儀塾大学は、日本で唯一、野原一家の公認大学であり、初代学長として野原しんのすけ氏が学長に就任いたしました。
(「建学理念」(のはらしんのすけ儀塾大学)より)
■人間教育学部
子育て学科(素敵な子育て)
■情報通信学部
情報学科(しんターネット講座)
コミュニケーション学科(コミュニティ講座)
■地球環境学部
特別セミナー 『テーマ:地球環境について考えてみよう』
(「学部・学科」(のはらしんのすけ儀塾大学)より)
どうやら、「クレヨンしんちゃん」を題材にした、子育ておよび生涯学習サービスのサイトのようですが、
「クレヨンしんちゃん」の画像がどこにも出てこない。
クレヨンしんちゃんにするのか、
大学にするのか、
どっちかにせいと突っ込みたくなる宣伝手法です。
というか、「クレヨンしんちゃん」をフックにするようなサービスを売るのに、「大学」っていう器は合わないのではないか……。
いや、やり方次第ではアリだったかも知れないが、ここまで本格的な大学サイトにしてしまったら、「クレしん」要素も吹き飛んでしまったのではないか……。
そんなモヤモヤが、マイスターを襲っています。
ご丁寧にオープンキャンパスの案内も出ておりますが、情報が全然無いため、第1回のオープンキャンパスデーである9/12まで、どこで何をするのか、さっぱりわかりません。
ブログパーツなどを公開するだけでしょうか。オープンキャンパスを名乗るのなら、何かリアルなイベントなどと繋げていただきたいところですが。
■「クレヨンしんちゃん、何かが起こる9月4日!(クレヨンの日)」(ロックワークス株式会社)
(※「WindowsとInternet Explorer6」の組み合わせ以外では表示されないページです)
■「誰もが驚き、教育が変わる?9月4日に「クレヨンしんちゃん」に何かが起こるらしい」(GIGAZINE)
↑このサイトの運営会社は、今回の「のはらしんのすけ儀塾大学」を公開するにあたっても、同じような宣伝手法を行っておりましたので、「○月○日に何かが起きる!?」というノリでずっと引っ張っていく計画なのかも知れません。
もっとも、9/12まで、このサイトが話題になり続けているかどうかはわかりませんが……。
とりあえずマイスターは、何を行いたいのか、説明を読んでも全然ピンと来ませんでした。
あと、いつの間にかブログも立ち上がっております。
■「のはらしんのすけ儀塾大学ブログ」
6月からスタートしているブログですので、正確には、今回のサイトオープンに伴い、ブログ名称を変えたというところでしょうか。
ただ、「のはらしんのすけ儀塾大学」サイトからリンクも張られておらず、あまり連携できていないように思います。
視点はとても面白いと思うのですが、全体的に、色々と惜しい企画です。
とりあえず、こうして色々なメディアやブロガーが取り上げているわけですし、一時的に話題を集めることには成功したようですが、問題はこれから。
このままだと、「出オチ」で終わってしまうのでは……という予感も。
あと、「儀塾」というのは「クレヨンしんちゃん」の作者である臼井儀人氏のお名前からとったのかな、と想像はできますが、そういった説明も一切無いので、真相は不明です。
とりあえず大学webマスターの皆様は、「大学」で検索したときに、自校がこの「のはらしんのすけ儀塾大学」よりも下位にヒットするようなことがないよう、頑張ってください。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。