韓国 大学や財団を対象にした詐欺事件?

マイスターです。

財務強化のため、各大学とも、寄付金獲得に力を入れています。
寄付をお願いする相手は、企業や卒業生などが中心。山形大学のように市民から少しずつ募るという例もありますし、企業経営者などから巨額の寄付を集める例もあります。

目をひくのは、2005年に南山大学に寄せられた180億円。正確には、180億円相当の有価証券などのようですが、これがなんと、1件での寄付額です。
寄付した個人(または団体)は匿名を希望されているとのことで、詳細は不明ですが、学園の研究・教育活動のための基金を設立する原資として使われたとのこと。

他の大学の財務関係者にとっては、うらやましい出来事です。

でも、ご注意を。
上記の南山大学は正真正銘の寄付ですが、寄付金競争が過熱しているところにつけいろうとする困った人たちもいるかもしれません。

というわけで今日は韓国のメディアから、こんな報道をご紹介します。

【今日の大学関連ニュース】
■「大学・財団に『1億ウォン寄付したい』…ご馳走受け姿消す」(中央日報)

25日、47歳の女性Aがソウル新橋洞(シンギョドン)のプルメ財団の事務所を訪れた。 Aは財団の職員に「財団が障害者のために仕事をしているという新聞記事を読んだ。財団が推進中のリハビリ専門病院建設の基金として1億ウォン(約1000万円)を寄付したい」という意思を表明した。プルメ財団は、歯医者らが障害者を対象に治療をしているボランティア団体だ。
Aは手に持っていた新聞を財団職員に見せた。 07年9月12日付の全羅北道(チョンラブクド)の地域日刊紙だった。「美しい寄付、又石大学に1億ウォン寄託」という見出しで、Aが全州(チョンジュ)の又石(ウソク)大に1億ウォンの奨学金を寄付するという内容が載っていた。Aは「06年には忠北(チュンブク)大学にも1億ウォンを寄付した」と紹介し、自分の故郷が忠清北道鎮川(チュンチョンブクド・チンチョン)であることを伝えた。
さらに「結婚後1980年から釜山(プサン)チャガルチ市場で働き、現在OO水産という店を開いて商売がうまくいっている」と自らを紹介した。 「夫がリフト運転中に死亡した後から大学やボランティア団体に寄付を始めた」とも説明した。両大学のほかにも陰城(ウムソン)の老人ホームにも物質的支援をしている、と明らかにした。
財団の職員は感謝の気持ちで「食事でも一緒に」と誘った。 Aは昼食に韓定食をご馳走になった後、「OO銀行本店に行って小切手で1億ウォンを持ってくる。 交通費を貸してほしい」と話し、職員は2万ウォン(約2000円)を渡した。 しかしAは戻ってこなかった。
待っていた財団職員は又石大学に確認の電話をかけた。又石大学側は「Aが寄付をすると言うので昼食をご馳走したが、寄付式当日には現れなかった。 自分たちもだまされた」と話した。また「新聞記事は寄付式当日の朝に配布された報道資料をもとにあらかじめ書いておいたものだが、結果的に誤報になった」と説明した。又石大学側は「7-8大学からプルメ財団と同じような確認の電話があった」と伝えた。
プルメ財団のイム・サンジュン・チーム長は「大学を回りながら詐欺を働いていたが、最近は非営利財団や障害者団体に標的を変えたようだ」と話した。
(上記記事より)

被害額は大きくなさそうですが、手口はやけに壮大です。

こうして事件として報道されると、怪しい人物だよなとも思えるのですが、このプルメ財団の他、又石大学、および7~8大学がだまされているとのことですから、実際に遭遇したら結構、引っかかってしまうシチュエーションなのかも知れません。
メディアの報道記事などまで持ってこられたら、職員側も、とりあえずは喜んで話を聞いてしまうでしょう。

しかし、プルメ財団もきのどくですが、食事の後に姿を消したことで、だまされたことに気づいたとのことですから、まだ「傷」は浅かったでしょうか。
「寄付式当日に現れなかった」という又石大学は、かなり辛い状況です。担当者が青くなる様子が想像され、いたたまれません。

こうした犯行手口が、日本でも模倣されないとは限りません。
皆様も、十分にお気をつけください。

ちなみに日本ではここ数年、大学キャンパス内に進入する窃盗被害が相次いでいます。
全国を行脚しながら、大学を「専門」に盗みを続ける犯行。特に国立大学を狙う手口の話をよく耳にします。不特定多数の人間が出入りするキャンパスでは不審人物に注意が行きにくい上、敷地も広大でセキュリティが甘いから、というのがその理由だそうです。

夏休みシーズンに入り、キャンパスが手薄になってきますから、こちらの窃盗被害にもお気をつけください。

以上、大学を狙う手口の情報をご紹介しました。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。