京大が大規模な事務改革 「教育研究」「経営企画」2本部を新設

職場のデスクの上で「雪崩」が頻発するようになったので、思い切って整理と片づけをしてみたら、保管している書類の9割が既に不要だったマイスターです。

最初の一年間、捨てていい書類か保管しておくべき書類かの判断が付かず、結局なんでもかんでも机にしまっていたそのツケがたまっていたようです。

比喩じゃなく、机の上の面積が4倍くらいになりました…。
今までゴミの中で仕事していたのか、自分。実にショックでした。

しかしマイスターは前の職場でも、
「ナダレスト」
「山脈の主」

などと呼ばれ隣接するデスクのみなさんに恐れられていたので、やっぱり単に書類の整理が下手なだけかも知れません。

どうも、ひたすらこつこつと書類を整理したり、議事録をとり続けたりして職務人生をまっとうできるような素質はないようです。

しかし整理下手では、その他の仕事にも悪い影響が出ますから、そこは色々と努力中です。

さて、それはともかく、昔ながらの「大学事務職員イメージ」が少しずつ、世間一般でも変わっていくのかな、と思うニュースがありましたので、ご紹介します。

【教育関連ニュース】——————————————–

■「【大学】京大が大規模な事務改革 「教育研究」「経営企画」2本部を新設」(毎日教育メール)
http://www.mainichi.co.jp/life/kyoiku/edumail/archive/university/200512/02-02.html
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京都大学の大学運営組織改革に関する報道です。

大学の組織改革というと、これまでは研究組織や学部の再編などがほとんどでした。

しかし、今回のこのニュースは、「事務本部」の改変を報じるものです。
教員についての記述はこの記事には一切出てきません。学長と職員だけです。

-京都大はこのほど大規模な事務改革の一環として、大学全体の事務を担当してきた事務本部を改組、研究推進、産学官連携、学生支援などを行う「教育研究推進本部」と、広報、インフラ整備などを担う「経営企画本部」を新設した。
(略)
今年5月にまとめた「事務改革大綱」を基に、従来の事務本部内の業務を性格ごとに二分、限られた職員数の中でより効果的な教育、研究、医療支援と大学経営を行うことなどを目指している。-
(上記記事より)

実は、事務組織の「改編」だけなら、他にもやっている大学はあるのです。

教務課、学務課、学生課などの学生支援部門をまとめて「学生センター」という名前にしてみたり、とかね。
Benesseの『Between』なんかと見ていると、そうした事例の紹介がたまにありますよね。

でも、マイスターが見る限り、「ただまとめてみただけ」なんじゃないかと思えてしまう事例も多いのです。

もちろん、まとめることにも、非常に大きな意味があります。
学生にとっての窓口を一本化できるとか、隣接する業務の連携が取りやすくなるとか。
これはこれで、すばらしい取り組みです。

でもそこまでです。

結局のところ、そこに期待されるのは、昔ながらの「ジム」としての業務態度です。
学生センター配属の職員に、学生支援に関する高度専門職としての役割を、本気で期待する大学経営者は、まだほとんど皆無であるように思えるのですよ。

そう、「効率化」することは求められているけど、「高度化」することは求められていない、という感じでしょうか。

ちょっと話がそれますが、

「学生センター」などの名前に事務組織を改編したとしても、そのセンターの運営のトップはたいてい、「研究者が本業だ」と公言している教員です。
それがカウンセリングの研究者だったらいいのですが、たいていは学生支援とは何の関係もない、耐震工学とか寄生虫とかの研究者とかだったりしますから、なんだかおかしい話です。

例えばですが、大学院で臨床心理士の資格をとり、コーチングの研修も受け、学生課で8年経験を積んだ事務職員よりも、寄生虫のことを第一に考えて暮らしていて、それ以外の仕事を「雑務」と言ってはばからないような研究者の方が発言権を持てるとしたら、どう思われますか?
ほとんどこれに近いことが、現在もほとんどの大学で起きていることなのです。

一昔前の不良は、「そんなにセンセイがエライのかよ!」といって高校の教師に反抗していたようですが、今ではこの言葉は、主に大学職員が心の中で使っています。
(夜のキャンパスの窓ガラスを割ってまわっちゃダメですよ)

そんな中、しかし、いくつかの先進的な大学は、
従来の「教員に従属するジム職員」という構図を少しずつ壊しながら、
高度な業務を遂行する近代組織へと生まれ変わっているようです。

さてさて、東大と並ぶ、我が国を代表する伝統的な国立大学である京大も、
そのような「近代化を果たした大学グループ」の仲間入りをするのかな?

と、話は冒頭の京都大学に戻るわけなのであります。

京大も、単なる「効率化のための再編」なのか?
それとも、本気で世界レベルの大学に求められる高度な業務を遂行するスタッフ育成に取り組むのかな?

なんて思って色々と調べていたら、冒頭の記事に書かれていた、京都大学の「事務改革大綱」の本文を見つけました。

■「事務改革大綱」(京都大学)
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_okaigi/yakuin/050516_2.htm

これを読んでみると…
職員の業務の高度化を匂わせる箇所もあるのですが、目に付くのはどちらかというと、「職員の削減」「効率化」の文字の方ですね。

例えば「II 事務改革を達成するための具体的方策」という部分ですが、その構成は以下の3項目です。

 (1) 事務量の削減及び事務処理の効率化の促進
 (2) 事務組織の再編成・整備
 (3) 事務職員の再配置

このうち(1)に関しては、以下に具体的な施策が書かれています。

・事務改善事項と実施計画
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_okaigi/yakuin/050516.htm

「形式的な送り状の廃止」
「(教務関係定型的書類に関する)自動証明書発行機の導入」
「事務職員による教授会、各種委員会等のお茶出しを廃止」

など、逆に「え?今の今まで、こんなことまだやってたの(やってなかったの)?」と、これまでの国立大学がいかに無駄な運営(経営ではなく)をしていたか知る手がかりになるような項目も多いです。

具体的方策の(2)および(3)も、よくよく読んでみると、やっぱり事務執行の効率化が主目的であるような感じです。

効率化という課題を乗り越えることこそが、京大のいう事務改革なのでしょう。

この効率化の後に、高度化という次のフェーズがやってくればいいのですが、
もしそうでなかったら、京大職員のモチベーションが保たれるのかどうか、心配です。

「人数を削減します、効率化とスピードアップを求めます、しかし仕事上の決定権限は従来のままです」

もしこんなんだったら、客観的かつ論理的に判断する限り、
今後この組織で仕事をしたいと思う人は減りそうな気がしますけど。

ところで、またしても話が脱線するのですが、今回こうしたことを調べていて、ひとつ気づきました。

京大のwebサイトの設計って、非常にうまくできています。

■京都大学webサイト
http://www.kyoto-u.ac.jp/

上記の入り口から日本語トップページへ、そして各種の情報ページへと進む間の、情報の流れが非常にわかりやすいように感じました。
それぞれのページの情報のデザインや配置もイイです。

英語のサイトも、日本語のサイトと同じくらいきちんと情報が整備されており、海外から留学生を増加させることに本気で取り組んでいるのかな、と思わせます。

「情報の設計」ということに関しては、かなり丁寧な、プロの仕事を感じました。

ただ、決定的に残念なのは、ビジュアルの少なさです。
どんな大学なのか、一目で伝えられる写真が全然出てきません。
(というか、写真というもの自体、使われてません)

ページ全体の印象は、統一感があってすっきりしているように感じられますが、それは、写真を使わずにデザインしているという理由も大きいと思います。

大学のwebサイトとして、実際のキャンパスのビジュアルイメージというのは
「伝える責任がある情報」
ではないかとマイスターは考えているので、京大のサイトはその責任を果たしていないように思えてなりません。

大学の中には、ビジュアルを故意に避けているようなものがたまに見られます。
そこには、「写真は、ページを派手にするための装飾」という思想があるような気がするのですが、それは重大な間違いであるようにマイスターは思います。
ビジュアルもまた、「伝える責任」のある情報だとお考えいただいた方がいいかと思います。

でも、サイトそれ自体の設計は、よくできていると思います。
で、ですね。こんなページがあるのです。

■「在学生・教職員の方へ」(京都大学)
http://www.kyoto-u.ac.jp/top_b/c-top.htm

○会議の報告が見たい
○記者発表がしたい(学内アクセス限定)
○ホームページ・京大広報に記事を掲載したい(学内アクセス限定)
○研究費・助成事業の公募情報を知りたい
○人事・共済などの手続きについて知りたい(学内アクセス限定)

など、教職員のための情報メニューが、学生のためのそれと同じくらい揃っています。

膨大な人数の教職員を抱える巨大総合大学らしく、学内の関係者に対するサポートメニューが充実しているのがいいですね。

これもまた、効率化のためなのかもしれませんが、だとしてもこのメニューは親切です。
会議の報告、外部からでも見られるのがスゴイです。
学会などで海外に出張していても、滞在先のホテルからインターネット経由で見られます。
国立大学法人としての、情報公開の姿勢にもつながりますから、これは素晴らしいです。

さて、こんな充実した教職員向けサイトを運営している京都大学、果たしてこれから、これを実際に活用する組織を、どう作っていくのでしょうか。

職員はあくまで事務執行のための組織として位置づけ、その路線で世界上位の大学を目指すのか、
それともいずれは職員を、教員と対等なプロとしての存在にシフトさせていくのでしょうか。

どういう方向に進むのか、今後の展開から目が離せません。

以上、マイスターでした。