はしかの脅威 大学によって対応分かれる?

マイスターです。

今年も、このシーズンがやってきました。


【今日の大学関連ニュース】
■「はしか 入学期へ『予防』 中国地方各大学 接種義務化や対策室」(中国新聞)

はしかが昨年に続き全国で流行する兆しがあり、来月新入生を迎える中国地方の各大学が対応を急いでいる。免疫の有無を確かめる抗体検査やワクチン接種を入学時に義務づけたり、万一の事態に即応できる対策室を新設したりするなど、休校につながる集団感染を警戒している。
岡山大(岡山市)は、医、歯学部の新入生について将来の臨床実習に備え、入学後にワクチン接種を義務化。他の九学部は抗体検査を大学側の負担で実施する。広島大(東広島市)でも医、歯、薬学部で、入学時に抗体検査の証明書の提出を原則義務づける。
中国地方では昨年五、六月、広島修道大、福山大、岡山商科大(岡山市)の三大学がはしかで休校。他大学も突然の流行に戸惑い、注意喚起や発症者数の把握などの対応に追われた。
(上記記事より)

そんなわけで、今年もまた、はしか(麻疹)の季節がやってきました。

子供の病気と思われているはしかですが、昨年は、10代、20代を中心に全国で大流行。
子供の頃にワクチンを一度打っただけでは、大人になるまでに免疫力が低下し、発症してしまうこともあるのだそうです(マイスターも、昨年初めて知り、改めてワクチンを接種してもらいました)。

2007年6月時点で厚生労働省が発表したところによると、2007年4月1日~5月26日の間に休校した小中高校、大学などは、全国で延べ78校。そのうち29校が、大学でした。

キャンパスまるごと休校になったり、地域との交流イベントを延期・中止したり。
授業の日程などに、多大な影響が出たところが少なくありませんでした。
単位を出すために必要なコマ数は決まっているので、補講が相次ぎ、夏休みが短くなったりしたところもあったのではと思います。
(首都大学野球連盟によるリーグ戦の日程も、はしかの影響で変更になりました)

何しろ、はしかの感染力は、非常に強力。
体育館のはじっこにいる感染者が咳をすると、反対側のはじっこにいる人が感染の危険にさらされるくらいなんだとか。
1人、2人の感染者が大学に通い続けると、すぐにキャンパス中に感染が広がってしまうおそれがあるのですね。
昨年ワクチンを打った人はともかく、そうでない人は今年も要注意です。

昨年は、はしか流行の事態を受けて全学生に緊急予防接種を行った大学や、何もしなかった大学など、対応が分かれました。

今年は、どうでしょうか。

■「はしか:10代~20代の感染2000件超す 卒業式・入学式に注意」(毎日jp)

今年1月から3月5日までに国立感染症研究所に報告された10代~20代のはしかの感染数が2000件を超えた。同研究所によると、累計総数3179件のうち、10~29歳の感染が計2204件で、全体の7割を占める。3月、4月は卒業式や入学式で人が集まる機会が多く、同研究所は春休み以降に感染が拡大する恐れがあるとして、ワクチン接種の重要性を訴えている。
(上記記事より)

このように、すでに流行し始めています。
危険なのは、卒業式と入学式。
どうやら、入学式のあとにワクチン接種を行っても、遅いようです。

大学の対応は、どうでしょうか。

■「はしか対策、国立大で『格差』」(読売オンライン)

はしか流行シーズンを迎え、国立大学におけるはしか対策に「格差」があることが判明した。国主導の具体策がない中、予算や人手の不足に悩む大学にはしか対策を委ねる実態が背景にある。大学生で拡大した昨年のような流行再燃の懸念も浮上している。
東京大学本郷キャンパスにある保健管理センターの診察室には、はしかワクチンの接種を受ける学生が毎日40~50人訪れる。先月から始まったワクチンの無料接種を受ける学生らだ。接種を終えた同大大学院修士1年の寺本慶之(よしゆき)さん(24)は「昨年の流行時は不安だったが、今年は一安心」と、ホッとした表情を見せる。これまで東大全体で1500人以上が接種。今年の新入生に対しては、抗体の有無などを確認した上で、学生負担での接種を継続する計画だ。
上原誉志夫(よしお)・副センター長(内科医)は、「ワクチン接種は、1人6000円程度。徹底したはしか対策の一環であるが、本来は国がやるべきことで、大学にまかされても困る」と指摘する。
一方で、「十分な対策がとれるのは、予算が潤沢な東大など一部の大学だけ」という声も多い。弘前大では、全新入生を対象に予定していた抗体検査を断念し、国の指導に基づき掲示板や文書などで自主的なワクチン接種を呼びかける手法に切り替えた。予算と人手が不足し、はしかシーズンが終わる夏までには対策が間に合わないというのが理由だ。本紙調査によると、同様に、注意喚起のみで具体策のない国立大学は4割にも上る。傾向は私大でも同じだ。
(略)「大学生は大人。各自で自覚を持って自己防衛してもらいたい」(厚生労働省結核感染症課)という国の方針のもとで、対策は各大学に委ねられた。2012年までにすべての10代で2回目接種が終了するという国の計画通りに事が運べば、大学入学者への対策は今年だけの臨時措置で済む。
しかし、懸念材料は多い。6歳児の2回目接種率(2006年度)は8割以下と、集団感染を抑える目安となる接種率95%に遠く及ばない。今年から始まる10代での接種も、中学校、高校の協力頼りで、特に大学受験を控える高3で接種率を上げるのは難しい。
こうした事情を考慮し、昨年4人の感染者が出た神戸大は、少なくとも今後4年、新入生全員に学生負担の抗体検査を実施することを決めた。兵庫県の小児の2回接種も約8割と低く、同大保健管理センターの馬場久光所長は「流行を防ぐには大学独自の対策の継続が欠かせない」と語る。
(上記記事より)

新入生全員に抗体検査を学内で実施するのは、兵庫教育大や岐阜大など10校で、このうち検査費用を学生側に負担させるのは5校。宮城教育大など10校は、外部での抗体検査の結果とワクチン接種の記録を提出させる。
また、実習がある医学部や教育学部などの学生を対象に抗体検査を実施、または検査結果を提出させるのは筑波大など21校(12校が大学負担)に上った。
これら抗体の有無を確認する41校の大半が、抗体値が低い学生に、「ワクチン接種を強く勧奨する」と回答。ただ、「強制は難しい」としている。しかし、教育実習生を抱える教育大の6割は、受け入れ自治体の要請に応え、ワクチン接種を義務化するという。
(「はしか対策 6割止まり…国立大」(読売オンライン)記事より)

このように、大学によって対応が分かれているようです。
医学部や教育学部など、実習がある学生については、抗体検査とワクチン接種を義務化するケースが多いようですね。

確かに、「大学生は大人」なのですが、ただ、感染症の脅威からキャンパスを守る義務と責任は大学にあります。
「学生が予防接種をしていなかったせいで、はしかが広がりました」なんて言い訳は出来ません。

学生負担でもいいので、全員が抗体を持っている状態を目指すべきではないかと、個人的には思います。

また、

海外で日本人がはしかの感染源となった例は昨年、米国を始め、カナダ、オーストラリア、スイス、台湾で相次ぎ、「患者を輸出した」と国際問題にも発展した。昨年8月、米国での野球大会に参加した小学生が現地で発症したケースでは、小学生が搭乗した米国内便で近くの席に座った米国人ら6人が感染した。
(「はしか対策、国立大で『格差』」(読売オンライン)記事より)

……なんてことがあったことも考えると、留学する学生にも注意が必要かもしれません。
はしかを輸出してしまったりしたら、大変な責任問題になってしまうかも。

そんなわけで今年も、「はしか」を甘く見ず、万全の体制を整えることをオススメします。
流行状況など、各種のデータなどは以下にあります。参考になればと思います。

■「麻疹」(国立感染症研究所:感染症情報センター)

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

1 個のコメント

  • 日本海側の私立医学部では、麻疹のみならず、4種の抗体価を調べ上げ、完全駆逐に至ったとのことです。
    また、来年度からは新入生全員に抗体価検査義務を課し、それが入学条件になっているとのことです。