専門学校にも第三者評価機関

(※現在、海外出張中につき、更新時間が少し変則的になっていることをご了承ください)

最近、家の近くに「大学基準協会」があるということに気づいたマイスターです。

さて、今日はこんな話題をご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「NPOが専門学校を第三者評価 授業の質や財務内容など対象(東京)」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20071221wm02.htm
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NPO法人「私立専門学校等評価研究機構」(渋谷区)は今月から、都内を中心とした専門学校8校の授業の質や財務内容を調査し、公表する全国初の第三者評価を始めた。少子化が進み大学との競争が激しくなる中、同機構は「大学よりレベルが低いと思われがちな専門学校の実力を知ってもらい、進路を決める有力な指針にして欲しい」と話している。

第三者評価は今月〜来年3月にかけて実施。カリキュラムや就職・進学指導の体制、財務基盤など計47項目について、大学教授や会計士、別の専門学校の事務局長らが、ヒアリングや訪問調査などを行い、「可」か「否」を判断する。

評価結果は、各項目ごとに理由を記したうえで、インターネットなどを通じて公表する。

同機構は2004年9月、都の有識者懇談会の提言を受け、「都専修学校各種学校協会」が設立した。専門学校業界には、実践的なカリキュラムで大学より就職率の高い学校がある一方で、留学生をかき集めただけで、きちんとした教育が行われない学校もある「玉石混交」との批判がある。同機構は、第三者評価の導入により、教育内容や経営実態を透明化したい、としている。

同機構は今年6月、全国109校に対し、評価を受ける学校を募集。応募した「東京スポーツ・レクリエーション専門学校」(江戸川区)、「日本電子専門学校」(新宿区)など都内の7校と、「島根リハビリテーション学院」(島根県)の計8校が今年度の対象となった。

都内だけでも専門学校は計約400校あるが、応募が8校にとどまったことについて、同機構は「いずれは第三者評価が学校経営にプラスになるとわかってもらえる。そうなれば、制度も浸透するだろう」としている。

(上記記事より)

大学では、認証評価の仕組みが認知されてきています。

どの大学も、受験生向けのパンフレットでは「ウチのカリキュラムは優れている」「本学の教育水準は高い」「充実した指導体制」といったことを書きます。
しかしそれは、ひょっとすると単なる自画自賛かも知れません。
実際には、他大学と似たりよったりだとか、むしろ他大学の方が充実しているとかいうことだってあり得ます。
そこで、「第三者機関からも、評価を得ていますよ」という証明のために、認証評価を受けるわけです。

上記の記事で紹介されている、専門学校のための第三者評価。
方法などに違いはあるでしょうが、これは、専門学校版の認証評価制度のようなものが、いよいよ発足しつつあると考えて良さそうです。

記事にもあるように、専門学校は確かに、「玉石混交」というイメージを持たれがちです。

大学は、開校時に厳しい設置基準をクリアし、その後も何かと制限を受けます。それに比べると、チェックが緩い面はあるでしょう。「自由度が高い」という言い方もできます。

ですから、下手な大学よりもはるかにカリキュラム(と就職指導)が充実している専門学校がある一方で、まともな指導をしているとは言い難いような手抜きの学校だってあり得る、という状況になるわけです。

玉石混交のイメージは、前者のような学校の関係者にとっては、やっかいです。

それでなくても、今、専門学校業界は大変です。
皆様もご存じのように今、子供が減っている上、大学・短大への進学率は上昇の一途を辿っています。
かつては、大学進学なんて考えず、ほぼ自動的に専門学校に来ていたような学力層の高校生も、大学進学を選択する時代です。そんな中で専門学校を選んでもらうには、よほどのウリがないといけません。
いかに充実した指導を行っているかということを、強くアピールするための仕組みが求められているのです。

そう考えると「そんじょそこらの大学よりもしっかりした教育を行っている!」と自信を持っている専門学校関係者の方々が、専門学校版の認証評価制度のようなものをつくろうと考えるのは、自然なことだと思います。

専門学校では、教育内容が、そのまま就職実績などに跳ね返ります。
学ぶ分野によって度合いに違いはあるでしょうが、基本的に、役に立たない人材を送ってくる学校の評価は下がるように思われます。
そう言う意味ではもしかすると、大学よりも、専門学校業界の方が、本来の意味での認証評価の仕組みが機能するのかもしれません。

ただ、これは大学でも同じことですが、第三者機関から「お墨付き」を得たからといって、すぐに何がどうなるということはありません。
認証合格のマークを学校のパンフレットの表紙にばーんと載せた途端に、受験生が殺到するということは、おそらくないです。

認証評価は、その学校がこれまで教育の質向上のためにどれだけ工夫と努力をしてきたか、ということを証明してくれるものです。
大事なのは、その「工夫と努力」そのものの方ですから、この内容をしっかり伝えることが、何より重要。
認証評価は、そのための説明に説得力を持たせるための材料の一つに過ぎません。

とは言え、せっかくこういった制度が行われ始めたのだから、自信のある専門学校は、どんどん受けてみたらいいのではないでしょうか。

こういった第三者機関の審査を受ける際は、学校の色々なデータをチェックすることになります。
そして、こういった評価というのは大抵、カリキュラムから教員の体制、施設・設備、財務まで、あらゆる面でバランス良く基準を満たしていることが求められます。
認証のために我が身を振り返ることで「今まであまり意識していなかったけれど、ウチはこんなところが弱かったのか」なんて発見もできるかもしれませんよ。

以上、マイスターでした。