ニュースクリップ[-11/16] 「学部の一部を青山に移転へ/青学大相模原キャンパス」ほか

マイスターです。

今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【4年間、青山で。】
■「学部の一部を青山に移転へ/青学大相模原キャンパス」(カナロコ)

青山学院(東京都渋谷区、松澤建理事長)は十三日、青山学院大学相模原キャンパス(相模原市淵野辺)で学ぶ人文・社会科学系七学部の一、二年生を二〇一二年度から青山キャンパス(東京都渋谷区)に移転させる、と発表した。キャンパスごとの教育研究分野を明確にする狙い。相模原は自然科学と文理融合系の拠点とするとともに、構想中の大学付属中高一貫校の設立予定地に位置付けるという。
(略)今回の移転は、〇六年に策定された基本計画に沿った就学キャンパスの再配置。人文・社会科学系学部の全学年が青山キャンパスに集約することで教育研究効果を高めるとともに、相模原キャンパスを自然科学などの拠点として拡充を図る。
一二年四月の相模原キャンパスの学生数は約四千人と見込まれ、将来的に中高一貫校のほか新学部の開設も検討しているという。
(上記記事より)

青山学院大学の人文・社会科学系学部生は、1~2年次に相模原で、3~4年次には青山キャンパスで学んでいます。
これを、4年間通じて青山キャンパスで学べるよう、学部の再配置を行うとのこと。
相模原のキャンパスも素晴らしいと個人的には思いますが、「4年間、青山で過ごす」という打ち出しは、一部の受験生にとってはインパクトがあるのかも知れません。
相模原キャンパスは、理工系の教育研究機能が強化されることになりそうです。

■「青山学院大学は、2012年4月に就学キャンパスの再配置を計画」(青山学院)

さらに相模原には、新学部や中高一貫校の設置も検討しているとのこと。
こちらの方が、今回の再配置の理由として大きいのかなという気もします。
学園としてどのような将来構想を計画しているのか、気になるところです。

【最難関記録を更新?】
■「合格者2209人に 旧司法試験は1%切る難関」(中国新聞)

法務省は十三日、受験資格に制限のない旧司法試験の二〇〇八年度最終合格者百四十四人を発表した。法科大学院修了者を対象とした新司法試験と合わせた今年の合格者は二千二百九人となり、昨年より百十人増えた。
旧試験合格者は目安だった約二百人を下回り、合格率も0・79%(前年度1・06%)までダウンした。受験者数を母数とした合格率の記録が残る一九八九年度以降、1%を切ったのは初めて。
法務省によると、旧試験受験者は一万八千二百三人(前年度二万三千三百六人)。合格者は前年度より百四人減った。
(略)来年の合格者の目安は新試験二千五百―二千九百人、旧試験約百人。旧試験は一〇年まで新試験と併存した後、廃止となるが、一一年からは法科大学院修了者以外でも予備試験にパスすれば新試験を受験できる。
(上記記事より)

もともと「極めて難関」の試験として知られていた、旧司法試験。
ただでさえ合格率が低かったこの試験ですが、司法制度改革の狭間で合格者を絞る中、なんと合格率が0.79%までダウン。
ちょうど制度改革に翻弄される世代の受験者は、熾烈な競争に飛び込むこととなりました。
合格率1%を切る試験に挑戦するというのは、大変なことだと思います。

ちなみにこの話題と直接関係はありませんが、かつて中国で行われていた「科挙」は、(時代にもよりますが)一説によると3,000倍近い競争率だったとか。合格率で言うと0.03%になるわけで、やはり歴史に残る難関試験というだけありますね。

【順調に機能するか、大学間連携。】
■「Newsクリック:やまぐち 軌道に乗らぬ大学間連携 /山口」(毎日jp)

今夏、高校生に大学の講義を一足早く体験してもらおうと、コンソーシアムやまぐちが下関市で開いた大学ガイダンスセミナー。全国30番台で推移する県内高校生の進学率を高め、かつ県外流出を防ぐのが狙いだった。だが、生徒数人が姿を見せたのみ。新たなアイデアづくりを迫られる結果となった。
(略)コンソーシアムやまぐちでは、他の大学連合では定番とも言える単位互換制度の導入にも踏み切れない状態が続く。各大学の担当者から「大学が広範に分散され、物理的に難しい」という声が口々に漏れてくる。下関市の大学は対岸の北九州市立大などと「関門大学連合」も構成、「両者のすみ分けが明確でない」(下関市の私立大関係者)との声も。「福岡、広島という大都市に挟まれ求心力が薄い県の地域性が反映されている」とある関係者は分析する。
(上記記事より)

全国で大学間連携の事例が増えていますが、順調に成果があがっているとは、必ずしも言えないようです。

■「大学コンソーシアムやまぐち合同パンフレット」(大学コンソーシアムやまぐち)

↑こちらのパンフレットには、「コンソーシアムやまぐち」加入大学の位置関係が分かる地図が載っています。

各大学の担当者から「大学が広範に分散され、物理的に難しい」という声が口々に漏れてくる。

……とのことですが、パンフの地図を見る限り、全大学とはいかないまでも、単位互換を有効に活用できる大学もあるようです。
まずは導入してみて、どの程度活用されるかを見てみるというのも一手かもしれません。

【大学のガバナンス。】
■「『大学の意思決定を速かに』…エディンバラ大技術移転センター所長」(中央日報)

B型肝炎ワクチン、羊水検査、世界最小のカラーテレビ、携帯電話やカメラの長高密度集積回路など。 すべて英エディンバラ大学で胎動したものだ。425年の伝統を持つこの大学のさまざまな科学的成果が商業化されるうえで、1984年に設立された技術移転センター(韓国大学の産学協力団に相当)が大きな役割を果たした。 特許や会社設立などを支援する組織だ。
この技術移転センターで20年間勤めたデレク・ウォデル所長が(48)が訪韓した。 ウォデル所長は教育科学技術部と韓国学術振興財団の招請で最近開いた「2008産学協力EXPO」に出席した。
ウォデル所長は「私は教授ではなく経営者出身」と語った。 通信会社マルコニの系列会社で技術商用化担当幹部として働いていたが、88年に職場を移った。 韓国では教授でない人が大学産学協力団長に任用されるケースは少ない。
ウォデル所長が赴任した後、エディンバラ大技術移転センターは急変した。 6人だった職員は現在75人に増えている。ウォデル所長は「主に経営能力と交渉技術をともに備えた修・博士を採用した」と紹介した。組織も技術評価チーム・商用化チーム・特許登録チーム・諮問委員団に細分した。
これを受け、過去5年間に技術開発580件、特許323件、ライセンス(使用権)契約200件の実績をあげた。ウォデル所長は産学協力の活性化要件に「柔軟性と意思」を提示した。 「大学は意思決定に長い時間を費やすケースが多い。産学協力機関は企業のように柔軟に対処し、商用化に向けて積極的に動かなければならない」
(上記記事より)

韓国メディアの記事ですが、日本の高等教育関係者にとっても参考になるかと思いましたので、ご紹介させていただきます。
韓国では、日本と同じかそれ以上に、大学改革に対する危機感が拡がっているようで、こういった記事がよくメディアで報じられます。

【悪質な留学仲介業者による書類偽造。】
■「英大学で中国人留学生50人が除籍処分―学歴詐称で」(サーチナ)

12日付中国新聞社電によると、英国のニューカッスル大学が中国人(大陸)留学生49人と台湾の留学生1人を除籍処分したことが、同日までに分かった。入学申請のために提出した英語の学習証明や大学の卒業証明などが偽造または改ざんされたものだったことが判明したためという。
除籍処分になったのは、同大学商学部の大学院修士課程の33人と、学部学生17人。大部分は2008年9月入学生だったという。大学側によると、処分決定から14日以内に異議申し立てを行うことを認める。
大学側発表によると、証明書は極めて巧妙に偽造されており、通常の方法ではチェックが不可能だった。海外からの留学生に対しては英語のレベルを測定する試験を受けさせているが、これらの学生は成績が著しく劣り、専門科目を履修することが不可能であることが判明。不審に思い、証明書を発行した機関に直接問い合わせたところ、大量の偽造書類があったことが分かったという。
同大学は警察と内務省に事態を報告し、英国内の他大学にも入学申請時の偽造書類に注意するように呼びかけた。同大学の広報担当者によると、多くの場合、偽造書類は留学の仲介機構が大学に提出しており、学生本人は事情をよく知らなかったとみられるという。
(上記記事より)

入学した学生がみな、授業のレベルについていけないことで発覚した、書類の偽造問題。
仲介業者にとっては、何人を留学先に送り込めたかが実績になるわけです。そんな実績を稼ぐためか、大学が発行した書類とは異なる内容のものを、留学先に提出していた模様。
学生達がそんな事実を知っていなかったのだとしたら、学生もある意味、被害者といえるかも知れません。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。