学生を「インターンシップ」で地域の学校に派遣している大学!

昨日とほとんど変わらない記事タイトルになりました。マイスターです。

・学生を「学校ボランティア」として地域の学校に派遣している大学!
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50211456.html

↑昨日の、東北大学教育学部に関する記事を読んでくださった方から、また、新たな興味深い試みを教えていただきました。

というわけで、「大学生を地域の小中学校や高校に派遣しよう!」シリーズ、第二弾です。

【教育関連ニュース】—————————————-

■文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)
「人間性とキャリア形成を促す学校Internship
 小中高大連携が支える実践型学外教育の大規模展開」
http://www.kansai-u.ac.jp/koudai/gakuinte/html/gpaisatu.html
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【本学の取組の概要】

学校インターンシップとは、大学生が高校、中小学校等で就業体験を積み、キャリアデザインと人間形成に役立て、受入校にとっては若い力によって学校現場を活性化する取組です。本学では、学校インターンシップを希望する学生を面接、選考し、受入校とマッチングし、事前の講習を課して学校現場に送り出す、研修後には事後報告会を開いて、学生、受入校教員とともに取組の成果を検証する、受入校教員の評価も参照しながら単位認定する、こうしたプロセスで進めております。他大学の同様の取組に比べて、手厚いケアを保ちながら、300人規模の学生を送り出している点が本学の特色であります。

【教育実習との違い】

教育実習は、教科指導を主とします。しかし、教師の仕事は教科指導だけではありません。補習・勉強会、学校行事の運営、部活動指導、進路指導、生徒会活動指導、図書館業務、さまざまな問題を抱える生徒へのケアなど、多面にわたります。学校インターンシップでは、教師のこうしたさまざまな仕事の補助をすることで、学校現場の実情を理解し、将来像をいっそう現実的に思い描くことができます。

【企業・行政でのインターンシップとの違い】

企業・行政でのインターンシップは、インターンシップ先に勤めているおとなの指示にしたがい、社会人として適応する姿勢を培います。学校インターンシップでも、もちろん、受入校の教員の指導にしたがいますが、対象が年少者であり、しかもまた学校現場の特性から、学生がみずから状況を観察し、理解し、臨機応変の工夫をする必要があります。年少者を援助することで促されるおとなとしての責任の自覚と、状況に即した創造的な思考にもとづく行動力の向上が、学校インターンシップの効果です。

(以上、いずれも関西大学webサイトより)

昨日の東北大学の事例は、地域の要請を受けて「ボランティア」を派遣するというプロジェクトでした。

それに対し、今日ご紹介する関西大学の取り組みはこの通り、完全に学生の教育を中心においた、インターンシップ・プログラムとして設計されています。
全学的な取り組みとして成果を上げていることもあり、文部科学省の特色GPに採択されました。

・教育実習、母校は避けるべき 中教審の協力者グループ
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50207297.html

マイスターは上記の記事で、↓このようなことを書きました。

○学生が、大学で学びながら定期的に地元の学校を訪れて実習を行うという仕組みは、教育上のメリットだけでなく、大学の地域貢献モデルと結びつけて計画することが可能なのではないか。

○学校で何かを教える、あるいはサポートする体験が必要なのは、むしろ教員志望者ではなく、将来全然違う職業に就いていく学生達なんじゃないか。

○コーオプ教育の一環として学校を定期的に訪れ、3、4年生頃になって教職を志すことにした学生は教育実習に参加する、なんていうカリキュラムがあったらいいのでは。

○教職志望者は、より自分の将来をじっくり考えることができる。一方、子供に関わる経験をして、結果的に他の職業に就いた学生達も、今後の日本の社会の中で、大事な役割を果たしてくれるはず。

……なんてことはない、既に実例があったのですね。
しかも特色GP。知らなかった自分が恥ずかしい……。(教えてくださって、ありがとうございます!)

この学校インターンシップですが、特色GPということで成果についての資料が公開されていました。

■「第1回研究会 基調報告(2006年2月年16日・PDF)」
http://www.kansai-u.ac.jp/koudai/gakuinte/pdf.word/06gpshympo-houkoku.pdf

【インターンシップの活動内容(2005年度)】

授業補助 :48
行事補助 :41
補習 :19
部活動 :18
校務補助 :9
図書館業務 :9
進路相談 :7
生徒活動補助 :7
介護・ケア :3

「第1回研究会 基調報告」より)

このように授業補助および行事補助業務が多く、その後、補習、部活動と続いています。
「授業補助」は、疑問点を残した子供達の質問に答えるなど、きめ細かな教育の実現につながります。「補習」もそうですね。「行事補助」は、子供達一人一人に目を行き届かせ、安全を確保するという意義があります。進路相談は、身近な先輩の意見を聞ける場を生徒達に提供することになります。
学校にとっても、大学生を校内に迎えるということには、これだけのメリットがあるのですね。

(ところでマイスターは、地味ですが「校務補助」って重要だと思います。激務に追われて授業改善のための時間が取れない教員にとっては助けになるでしょうし、学生にとっても学校運営の実態を体験できるいい機会になります。
学校教員の仕事が授業だけでないことを知っている人が増えていくのは、教員達にとっても悪いことではないはずです)

東北大学の取り組みと同様、参加している学生の学部構成も、法、文、経済、商、社会、総合情報、工、そして大学院と、全学部に分散しています。すばらしい。

「学校インターンシップは学生の人間的成長を促す広い意味での教養教育だ」

……と、関西大学のGP解説ページには書かれています。

同感です。
マイスターは、学校ボランティアや学校インターンシップの取り組みは、現代の実践型全人教育になりうる可能性を持っていると思います。

大学生が高校や小中学校等に行き、受入校の生徒の成長を助ける。それによって大学生自身も成長する。だからこそ、大学と高校、小中学校は若い世代を育てる機関として連携する必要がある。ここに私たちは高大連携、小中高大連携の新たな意義を見出しました。高大連携というと、まだまだ入試、出張講義、公開講座等、大学へのアドミッションに関わる事業を連想しがちです。しかし、これに対して関西大学では、高大連携の目標を、次代の知的継承者の育成、在学生への教育効果、社会貢献・地域連携と捉え、社会全体で若い世代を育てるなかで大学がその一翼を担うものと受け止めております。
関西大学webサイトより)

上記の宣言は、そんなマイスターの考えと一致しています。教育とは、社会全体が一丸となって、次世代の若者を育てていくことなのですよね。なんだか、教育の原点を見た気がしました。

さて、そんな素晴らしい関西大学の「学校インターンシップ」ですが、弱点もあります。

あくまで「インターンシップ」ですから、学校が学生を受け入れる期間が決まっているのですね。関西大学の場合、8月から12月の時期だそうです。つまり受け入れる学校側は、この間しか、学生の力を借りることができません。
これでは、学校の業務を恒常的に改善するとか、学生の力を借りた教育プログラムを年間を通じて実施するとかいった取り組みは、実現しにくいと思います。

また学生さんにも「ずっとこの学校で過ごしていたい」というニーズはあるでしょうが、インターンシップである以上、そうもいきません。
(インターンシップとして「単位を出す」ということは、一人の学生が何回も履修するのはNGなんでしょうか? だとしたら、そこも、ちょっともったいないですよね)

この点においては、昨日の東北大学教育学部の「学校ボランティア」の仕組みの方が秀でていると言えそうです。こちらは「ボランティア」の文字通り、学生が自発的に学校に通うモデルですから、学生本人と受け入れ校が望めば、4年間ずっとボランティアに通い続けることだって可能です。ある程度、恒常的に学生の力をアテにできるのであれば、学校業務の改革だってできるでしょう。
地域との間に、より密接かつ安定的な関係を構築できているのかな、と思います。

このように「学校ボランティア」も、「学校インターンシップ」も、それぞれの長所を持っていますから、総合的にどちらがいいとは言えません。
ただどちらも、未来の教育の在り方、大学の在り方を考える上で参考にするところの多い、非常に興味深い事例であることは確かです。

同じ目的を持っているけれど、若干アプローチの仕方が違う2事例ということでおもしろかったので、今回、二日連続でご紹介させていただきました。
これらの事例が参考になって、またどこかでよりよい教育プログラムが実現されればいいなと思います。

以上、マイスターでした。

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【追記(7/9)】

関西大学特色GP取組責任者の方から、本気時に対してコメントをいただきました。

コメント欄にありますように、関西大学では、「学校・学生双方が期間終了後も継続を希望する場合には、ボランティアに切り替えて続けられる」仕組みを持っておられるとのことです。
(わざわざコメントをいただきまして、ありがとうございました!)

また、

○大学として、事前事後の講習を用意
○学校・園教員をお招きする会を年数回開き、若い世代を育てる小中高大共通の取組という点をアピール

……といった取り組みもされているとのこと。なるほど。

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※しかし、昨日書いた記事に対していただいた情報を元に、翌日こうして第二弾をご紹介できているのですから、ブログって便利ですよね。

普段はあまりこういうことがないのですが、今回は、ブログメディアの持つ機動性がありがたかったです。メディア自体が持っている特性なのでしょうね。

2 件のコメント

  • 関西大学の特色GPの取組責任者の品川と申します。私どもの取組にご注目いただき、適切に理解いただき、ありがとうございます。ご指摘のボランティアとインターンシップの違いですが、学校・学生双方が期間終了後も継続を希望する場合には、ボランティアに切り替えて続けております。単位認定する以上、大学が事前事後の講習を用意しているのもボランティアとの違いです。学校・園のなかにはたんに若い労働力を望んでいるという域を出ない場合もあります。学校・園教員をお招きする会を年数回開き、若い世代を育てる小中高大共通の取組という点をアピールして、徐々に概念が共有されてきたというのが現状です。今後もお気づきの点がございましたら、よろしくご指摘願います。

  • 関西大学 品川哲彦様:
    こんにちは、マイスターです。お返事が遅くなって大変失礼致しました。お忙しいところコメントをいただき、ありがとうございます。
    インターンシップからボランティアに切り替えて活動を継続できる仕組みを持ってられるとのこと。情報をいただき、ありがとうございます。web上ではなかなかそういった情報がわからないので、直接ご指摘いただいて、助かりました。本文末尾に、【追記】の形で記述を入れさせて頂きました。
    今後も本ブログに関して、説明不足や誤り等ございましたら、ご指摘頂ければ幸いです。
    どうぞよろしくお願い致します。