マイスターです。
「日本のエリート高校の生徒で、アメリカ等の大学に進学する子が増えてきている」
そんな記事が、少し前に日本の新聞に掲載されました。
勉強ができるなら東大を始めとする日本の有名大学へ……という従来の「常識」が少しずつ変わってきているのでは、という指摘で、興味深い内容でした。
ただそれでもやはり、日本にあるほぼすべての高校の進学指導は、「日本の学校に進学する」ためのものです。
保守的な考えを持つ生徒や親が多いのか、高校側にノウハウがないのか、その理由はわかりません。
そもそも日本では、高校の教育方針やカリキュラム自体が、日本の大学入試を乗り越えるためのものとして設計されているような気もしますし。
そんな中、↓こんな報道を見つけました。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「米国でも認められた韓国エリート高校の力」(朝鮮日報)
http://www.chosunonline.com/article/20071201000017
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韓国のテウォン外国語高校と民族史観高校が30日、米ウォールストリート・ジャーナル紙の発表した米国名門大学進学率上位高校ランキングでそれぞれ 13位(進学率14.1%)と25位(同10.5%)に入った。このランキングで40位以内に入った海外の高校はこの2校だけだ。
同紙によると、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)といった米国の名門大学8校に今年入学した新入生約7000人を出身高校別に分類、それらの高校の卒業生数に対する米国名門大学8校の入学者数の割合を調べたところ、テウォン外国語高校と民族史観高校が上位にランクインしたという。
テウォン外国語高校では海外大学進学クラスの卒業生78人のうち11人が、民族史観高校では卒業生133人のうち14人が米国名門大学8校に進学していたことが分かった。また同紙は、「テウォン外国語高校の米国名門大進学率14.1%は、(米国有数の名門公立高校の一つ)ニューヨークのホーレース・グリーリー高校の4倍以上」と驚いている。
(上記記事より)
ネタ元となっている、「ウォールストリート・ジャーナル」の原文記事は、おそらく↓こちらです。
■「How to Get Into Harvard(英語)」(The Wall Street Jounal)
http://online.wsj.com/public/article/SB119638146482608732.html
The 10 schools that performed best in our survey are all private schools. Two top performers overall are located in South Korea. Daewon Foreign Language High School in Seoul sent 14% of its graduating class to the eight colleges we examined — that’s more than four times the acceptance rate of the prestigious Horace Greeley High School in Chappaqua, N.Y.
(上記記事より)
アメリカの名門エリート大学に進学してくる学生の出身高校を調べたら、25位までに韓国の高校が2校入ったというのですから、結構すごいことです。
しかも、「このランキングで40位以内に入った海外の高校はこの2校だけ」ということですから、ヨーロッパやカナダ、その他の英語圏を加えた中でも突出しているということなのでしょう。
ここまでになると、学力的な面もさることながら、韓国内での米国大学に対する進学熱の高さも、この背景にはあるのかなと思います。
上記で取り上げられているテウォン(大元)外国語高校。
米国名門大進学率14.1%が、アメリカの名門公立学校を大きく上回るということですが、よく記事を読んでみると、
テウォン外国語高校では海外大学進学クラスの卒業生78人のうち11人が
とあります。
海外大学への進学を目指す、特進クラスのようなものがあるわけですね。
で、それがおそらく、↓こちら。
■「Global Leadership Program(英語)」(大元外国語高等学校)
http://daewon.seoul.kr/dflhs/dflhs_eng/daefh_mseng02.asp
Students in our Global Leadership Program prepare for study in the US by taking additional courses such as English literature and US history after regular school hours. This program, which began in 1998, is the largest and oldest of its kind in Korea, with 320 current students and 258 graduates.
Although we do not follow the AP or the IB curriculum, all GLP courses are comparable in depth and rigor. Most of our GLP teachers have studied at top schools such as Princeton, Stanford, Columbia, and Penn.
(上記記事より)
「Global Leadership Program」の名称が、すこし誇らしげです。
アメリカの大学に進学することを目的としたコースだと、はっきり謳われていますね。
「English literature and US history」を放課後に追加プログラムで学ぶとありますが、これはSAT(Scholastic Assessment Test、アメリカで用いられている大学進学適性試験)を構成する科目のうち、外国人が苦労すると言われる「文学」と「米国史」を意識したものでしょう。
カリキュラムに、米国大学の受験対策が組み込まれているのだと思います。
また、「Most of our GLP teachers have studied at top schools such as Princeton, Stanford, Columbia, and Penn.」というくだりも目を引きます。
学力などの指導もさることながら、「卒業生が身近にいる」というのは、生徒達にとっては非常に大きな意味を持つことでしょう。
その大学の様子や魅力をリアルに聞けますし、何よりも自分にとってのロールモデルになります。
……してみると、日本の高校から海外の大学に進学する生徒がまだまだ多くない理由のひとつとして、「海外の大学で学んだ人が身近にいない」という要因もありそうですね。
大元外国語高等学校のやり方が理想的かどうかは人によって評価が分かれそうです。
韓国の中でも、一般的な高校とは少々毛色が異なる、特殊なエリート養成学校の部類に入る学校だと思われますし。
ただ、この「ロールモデルを子供の近くに」というのは、日本の高校にとっても参考になりそうな気がします。
そんなわけで今日は、韓国の興味深い事例をご紹介させていただきました。
マイスターでした。
韓国の民族史観学校のような学校を日本に創るには、何をどうすればいい、とお考えでしょうか?