サイバー大学、携帯インターネットで授業を配信する検証を開始

マイスターです。

大学の授業をネット配信する仕組みは、今や世界中で行われています。

が、これは世界初でしょう。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「サイバー大学、携帯向け授業配信の検証を開始」(ケータイwatch)
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/37424.html
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サイバー大学は、インターネット上でパソコン向けに配信している同校の授業内容を、携帯電話向けに配信するための検証を開始したと発表した。ソフトバンクモバイルの3G端末で受信でき、検証用のコンテンツは同校の学生以外でも視聴できる。

(略)これまで授業の配信はパソコン向けに行なわれてきたが、28日には携帯向けの授業の配信が検証という形で開始された。配信技術などはすでに完成しているものの、広く意見や要望などを集めるため、一般のユーザーに向けて検証用コンテンツが公開された。

携帯向けに検証用として配信されているのは、吉村 作治氏によるオリジナルの体験授業「ピラミッド・ミステリーを解く」と、ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏による特別メッセージビデオの2種類。体験授業「ピラミッド・ミステリーを解く」は、携帯向けの正式配信を模したもので、パソコン向け授業の配信と同じ体裁をとり、1章15分の講義で全4章が用意されている。ソフトバンクの3G端末で「S!番組プレイヤー」を利用し、ストリーミング形式で視聴する。視聴にあたってはパケット通信料定額制サービスへの加入が推奨されている。

携帯向けの授業の配信は、正式導入後には3キャリアに対応することも検討されている。

28日には都内で記者向けに発表会が開催された。学長の吉村氏は、「携帯は生活に密着し、体の一部になっている。どこにもで持ち運びでき、“m- learning”(モバイル・ラーニング)として携帯電話に授業を配信できないかと、ソフトバンクに強くお願いして技術陣を動員してもらった」と、携帯向け配信の意義を語り、「パソコンに触れるのにも抵抗があるようなお年寄りでも、携帯電話なら使ってもらえるのではないか」と、より幅広い層に利用してもらえる可能性を示した。

同氏はまた、「携帯電話は実益の方向にいっているが、教育面でも十分に使える。ただの連絡だけでなく、教養、スキルアップなど、今までにない使い道に気付いてもらえるとより有効になるのではないか」と語り、携帯電話の教育面における活用に意気込みを見せた。

検証開始ということで、一般向けに検証用の体験コンテンツが公開されているが、吉村氏によれば「1〜2カ月反応を見て、サイバー大学の全科目を学生向けに配信できるようにしたい」とのことだった。現時点では、正式な配信開始は2008年の4月が検討されている。配信されるコンテンツはパソコン向けと共通の内容で、履修などの面に置いても、パソコン向け配信と同じ扱いになる。また、通常の講義はほとんどが携帯電話で受講できるようになる見通し。ただし、現時点では「演習」の授業がパソコン向けのみとなるほか、各教授の専権事項としている期末のテストは、基本的にパソコンで受講する形になるだろうとしている。

このほか、学生向けの各種のコミュニケーションサービス、教授とのやりとりができるサービスなど授業を補完できるようなサービスが携帯向けに用意される。

吉村氏は質疑応答の中で、携帯電話向け配信における“講義の質”に関する疑問が一部にあるが、と問われると、「批判は自由だが、現実的に言えば、既存の通信教育も、通学制の大学も講義の質に問題が無いと言えるのか」と通信教育を画一的に批判する声を非難。「さまざまな問題が指摘されながらも、なぜ携帯電話はここまで普及したのか。携帯電話で得をした、便利になったことがたくさんある。批判を恐れていては文明は進まない。国民が、携帯の講義を見て、受けて、どう感じるのかが重要」と語り、図らずも同氏の教育に対する情熱が語られる場面となった。

(上記記事より)

というわけで、サイバー大学が、携帯インターネット向けに授業を配信する仕組みの実証実験を始めました。
モバイルによるインターネットが世界一普及しているわが国だからこその試みかも知れません。

例えば仕事をしている人の場合、プライベートな目的のためにPCを使えるのは朝か夜、もしくは昼休みだけです。昼休みも、職場のPCで授業を受けるのはちょっと抵抗がありますね。

しかし携帯電話なら、外で食事をしながらでも、あるいは電車通勤している途中も、授業を受けることができます。
体験コンテンツは「一章15分」で作成されているそうですが、このくらいのボリュームなら、生活のスキマ時間を使って学びを進めることもできます。

従来の「授業」の常識からすれば、驚天動地のスタイルです。
学長の吉村氏が自ら言及しているように、講義の質に関して、「そんなので本当に学んでいると言えるのか」等々、色々な批判も出ることが予想されます。

しかし一方で、モバイルツールが持っているメディアとしての特性をもし高等教育で活用できたら、これは大変なことです。
何しろ、「いつでもどこでも学べる」「スキマ時間を使って学べる」ということが可能になるのですから。
大学での学びに関心があっても、これまでは時間等の制約で学べなかったという層にとっては、一気に大学への距離を縮めてくれる仕組みになるはずで、高等教育を社会に普及させるための起爆剤にもなり得ます。

ただ、果たして携帯で本当に「学ぶ」ことができるのか。
こればっかりは、実際に体験してみないと何とも言えません。

体験の結果、「案外いけそう」という意見が多ければ、批判するよりも、より良いものを目指して実践を重ねていく方が建設的かもしれません。
逆に、「これは無理があるだろう」という意見が多ければ、単位の発行などはまだ行わずに慎重な検証を繰り返す、あるいは方向性を見直すことも必要でしょう。

広く意見や要望などを集めるため、一般のユーザーに向けて検証用コンテンツが公開された。

と冒頭の記事にはあります。
最初に、パブリックに公開して意見を求めようというわけですね。ふむふむ。

それではと、さっそくマイスターも自分の携帯電話を使ってサイバー大学にアクセス……

……しようと思ったら、

「体験授業はソフトバンク3G携帯電話のみアクセス可能となっております」

の文字。

何じゃそりゃー……って、よく見れば冒頭でご紹介した記事にもそう書いてありました。

というわけで、ソフトバンクの携帯を持っていないマイスターは、意見も要望も言えませんでした(T_T)

携帯向けの授業の配信は、正式導入後には3キャリアに対応することも検討されている。

と記事にはありますから、2008年4月以降には見られるようになるのでしょうが、うーん、残念です。

ソフトバンクの携帯をお使いの方は、お時間のあるときにでもお試しあれ。
下に、サイバー大学携帯サイトへのQRコードを(勝手に)貼り付けてみます。

■サイバー大学 携帯電話向けウェブサイト
http://cu-m.jp


このブログは、大学関係者の方々に広くアクセスしていただいていますが、大学のプロである皆様であれば、一般のユーザーとはまた違う視点で、こういった実証実験を体験していただけるのではないかと思います。
よろしければ、アクセスできないマイスターに代わって、感想をお聞かせいただければ幸いです。

以上、ちょっと気になるニュースをご紹介させていただきました。

マイスターでした。