アメリカの大学で人気なのは、どの国の言葉?

マイスターです。

多くの新入生が大学に来てから悩むことの一つが、「どの言語を大学で学ぶか?」です。

最初に頭に浮かぶのはやはり英語ですが、第二外国語というものもあります(大学設置基準の大綱化以降は、英語だけで卒業する人も増えているのではと思いますが)。

日本の大学でメジャーな第二外国語は、ドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語あたりでしょうか。
かつて日本が進んだヨーロッパから学問を「輸入」していた時代には、ドイツ語やロシア語ががかなり大きな意味を持っていたといいます。そのときの名残かもしれません。今でもこういった科目を置いていない大学はほとんど無いと思います。

ただ、こういった言語が現代の私達にとっても一番重要かと言うと……必ずしもそうではないでしょう。
例えば日本の製造業の動きなどを見ていると、中国語や韓国語、マレー・インドネシア語などの方が、実はヨーロッパの言語よりも重宝されるかも知れません。
国際関係を考えると、アラビア語も重要そうです。

しかしもちろん、ヨーロッパ言語の重要性が下がっているわけではありません。
国際機関で働こうとすれば、フランス語やロシア語が今でも大きな意味を持ちますし、環境関連のことを学ぼうとすれば、ドイツ語を使えることが強みになるでしょう。

その言語で何を学びたいのか。
その言語を使って、社会にどういう動きを起こしたいのか。

つまるところ、その点に尽きるのだろうと思います。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「アラビア、中国語に人気 米大学履修、日本語は6位」(中日スポーツ)
http://www.chunichi.co.jp/s/chuspo/article/2007111401000157.html
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米国の現代言語協会(本部ニューヨーク)は13日、全米約2800の大学で2006年度に学生が履修した外国語の講座数に関する調査結果を発表した。4年前と比べて、フランス語、ドイツ語が伸び悩んだ一方、アラビア語が倍増、中国語などアジア系言語も人気を集めた。日本語は6位だった。

同協会は「学生は将来、世界がどうなるかを考え言語を履修する傾向がある」と指摘。経済発展が著しいアジアや、政治情勢が激動している中東に関心が向いていると分析している。

(上記記事より)

こういった調査結果は、非常に気になります。

言語の人気は、そのまま、その国の国際社会での影響力に関わってきます。
それの重要性を知っているからこそ、中国が今、世界中に中国語教育の拠点をつくったりしているわけですし。

(過去の関連記事)
・世界100カ所に中国語教育の拠点を : 中国の「孔子学院」戦略とは(2006年09月19日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50245478.html

さて。
冒頭の記事で取り上げられているデータは、おそらく↓コレです。

■「Enrollments in Languages Other Than English in United States Institutions of Higher Education, Fall 2006(英語)」(Modern Language Association)
http://www.mla.org/2006_flenrollmentsurvey

各言語の順位はPDFの「Press Release」でもわかりますが、「Full Report」の方がグラフ化されていてよりわかりやすいです。10ページ以降に掲載されていますので、ご興味のある方はどうぞ。

2006年度の履修者数は、一位から順に、

・スペイン語  823,035人
・フランス語  206,426人
・ドイツ語  94,264人
・アメリカ手話(American Sign Language)  78,829人
・イタリア語  78,368人
・日本語  66,605人
・中国語  51,582人
・ロシア語  24,845人

……となります。
スペイン語の圧倒的な強さが際だっています。
スペイン語圏は確かに広いですが、さらに、スペイン語を使う方がアメリカ国内に多いこと、ラテンアメリカ諸国との地理的関係とも関係があるでしょう。

ところで、こうして書いてみると、日本語、けっこうがんばっていると思いませんか。
まさか、ロシア語の倍以上も履修者がいるとは、知りませんでした。
しかも、中国語ほどではないにしろ、ここ数年で履修者が大きく増えています。
今後はどうなるかわかりませんが、それでも現時点では、アジア系言語では一番人気なのですね。

あと、目をひくのが、アメリカ手話(American Sign Language)の存在。
手話も、言語のひとつになっているのですね。
考えてみれば確かに、コミュニケーションツールですから、他の言語とあまり区別する必要も無いのでしょう。

資料にはこのほか、ラテン語やヘブライ語、古代ギリシャ語などの履修者数もまとめられています。
面白いですので、よろしければご覧ください。

というわけで今日は、ちょっとしたデータのご紹介でした。

マイスターでした。