生涯学習が好きなスイス人

マイスターです。

ちょっと面白いニュースを見つけました。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「スイス人は生涯学習が好き」(swissinfo)
http://www.swissinfo.org/jpn/front/detail.html?siteSect=105&sid=7744941&cKey=1177416609000
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スイスでは76%の大人が学校教育終了後も生涯学習を続けていることが、今回の連邦統計局 ( BFS/ OFS ) の調査で分かった。

ほとんどがインターネットや本を使っての独学だが、生涯学習を続けていると答えた人の半数は同時に学校にも通っている。

およそ3年ごとに連邦統計局は生涯学習の調査を行っている。今年も4万8000人を対象にした2006年のアンケートをもとに、調査結果をまとめた。それによるとスイス人は向上心が強く、特に現役の人では83%もの人が学習を続けている。

(上記記事より。強調部分はマイスターによる)

なんと!

これは初耳です。

初等・中等教育の関係者の間でフィンランドに視察に行くのが一時期流行しましたが、大学関係者はスイスに視察に行くと良さそうです。

いきなり話は日本のことになりますが……。
18歳人口減少の対策として、社会人入試の仕組みをとりあえず設けてみたり、社会人大学院を開設してみたりしている日本の大学。しかし現実には、「おっ、面白い専門職大学院ができたな」と思った2年後くらいにはもう定員割れしたり、元々は働きながら学ぶ人のために開設されていた夜学が続々と姿を消していたりしています。

これはマイスターの感覚ですが、日本の場合

「これから社会人にも門戸を開いていきます!」

と言っている大学は多いのですが、そのほとんどが、「ただ門戸を開いただけ」です。

門を開けたら、次は門をくぐってもらう努力をしなければならないのですが、日本では、それが十分に行われていないように思えます。
「門戸を開いた」だけで自動的に学生が集まるはずがありません。

でも、大学関係者の間からはしばしば、

「うちも社会人入試枠をつくったんだけど、いまひとつ応募者が集まらないんだよなぁ。何でだろうなぁ」

なんてぼやきが聞こえてくるのです。

そういう声を耳にするたびにマイスターは、冬の時代と言われる今でも大学の「待ち体質」は治っていないのかなぁ、と感じてしまうのです。

話をスイスに戻しましょう。
日本の大学にとっても、何かヒントになるものがあるかもしれません。

セミナーなどが好き

学習を続けている人の71%がインターネット、本、人から借りた資料、録音された講義などを使った、教師のいない独学の形を好んでいる。

またスイス人は講義、セミナー、アトリエ形式などを好み、国民の43%、現役の人にのみ絞った場合は53%の人がこうした形式の学習に参加している。

(上記記事より)

いかがでしょうか。

独学が好きだけど、講義やセミナーも好んでいるとな?
詳しく知りたいなと思って元データを見ましたらば、フランス語でした……orz
解読できる方は↓見てみてください。

■「Communiqué de presse(PDF)」
http://www.bfs.admin.ch/bfs/portal/fr/index/news/medienmitteilungen.Document.90123.pdf

インターネットを利用して学んでいる人も多ければ、セミナーに参加している人も多い、くらいの意味なんでしょうか。
とりあえず、意欲的に様々なチャネルを使いながら学ぶスイス人、みたいなイメージが浮かびます。

国民の43%、現役の人にのみ絞った場合は53%の人が「講義、セミナー、アトリエ形式など」の学びに参加している、というのは日本人であるマイスターの感覚からすると驚異的に思います。

もちろん、これが全部、「大学での学び」ではないでしょう。ただ日本では、アンケートで「何かやってみたいと思っている」と答える人は多そうですが、実際に参加している人はあまり多くないように思います。

「学びたいと思ったら、学べる」という環境がある、ということでしょうか。

男女の動機は違う

また連邦統計局によれば、学習を続けている人は、むしろきちんと職業に就いている人だった。つまり、現役で活躍している人の51%が学習を続けているのに対し、仕事に就いていない人の場合は21%にとどまった。

さらにスイスでは正式社員でも就業時間数を選んで仕事できるが、就業時間数100%の人の方が、50%以下の人より生涯学習を行う場合が多い。

教育程度では、高等教育を受けている人の方が、生涯学習を続ける傾向が強い。こうした人たちは義務教育のみを受けた人より4.9倍多く学習を続けている。

男女別では、学習を続ける比率に差はなく、男性では79%、女性では74%が学習を続けている。ただし、学習の動機には差があり、男性は現在就いている職業でもっと完璧になりたいため学習を続けるのに対し、女性では職業外の活動の学習を行う傾向が強かった。

(上記記事より)

むむむ。なるほど。
働いている人ほど学んでいる、って、大学関係者にとってはなんだかすごく理想的に聞こえますね。

学習熱心だから一所懸命に働いているのか、あるいは学ぶことに対するインセンティブが仕事の上で存在するのか。
男女の動機が違う、という点とあわせて詳細に調べていったら、なんだか面白いことが分かってきそうです。
(詳しいことはフランス語の原文に書いてあるのかな?
 どなたか、読める方がいたら教えてください)

以上、日本にとって参考になるのかどうかわかりませんが、スイスのニュースでした。

今日は時間の関係で詳しく調べられませんでしたが、こういうデータ、もっと集めて比較とかしたら面白そうですよね。
(大学アドミニストレーション関係の大学院で学ばれている方の論文テーマとして、いかがでしょうか?)

マイスターでした。

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(おまけ)
個人的な感覚なのですが、日本では、「興味はあるんだけど、時間とお金がない」と答える人が結構多いような気がします。

というわけで、↓スイスの労働時間です。

■「高収入と長い労働時間」(swissworld.org)
http://www.swissworld.org/jpn/swissworld.html?siteSect=304&sid=5049826&rubricId=11040

上記のリンクではUBS銀行の調査結果として、世界各都市の労働時間が紹介されています。これによるとチューリヒの年間労働時間は1,808時間、東京は1,954時間だそうです。東京の方がたくさん働いていますが、チューリヒだってヨーロッパでは最も働いているクラスになります。

学費はどうでしょうか。

■「スイス 大学留学の手引き:学生生活:学費、生活費等」(独立行政法人日本学生支援機構)
http://www.jasso.go.jp/study_a/oversea_info_13.html#gakusei

日本に比べたら安いですよね。でも、ヨーロッパには学費無料という国もあります。そういった国々が生涯学習に熱心かというと、必ずしもそうではないような。

うーん、一番違うのはどこなんでしょうね?

2 件のコメント

  • >うーん、一番違うのはどこなんでしょうね?
     一番ではないでしょうが、日本(特に首都圏)の通勤時間が長いというもの、要因ではないですか。