ニュースクリップ[-2/22] 「皇学館大が撤退和解金…市債残金と同額6億5976万円」ほか

マイスターです。

■「【S3P】 スーパースペースシステムズプログラム、いよいよ始動!」(スーパープログラム・ブログ)

↑先週から、東京大学工学部・中須賀真一研究室と共同で行うプログラムがスタートしました。
「CanSat」と呼ばれる小型人工衛星の制作がテーマ。
マイスターも毎回、担当スタッフとして参加しています。

その一方、塾の校舎では毎週、各大学の経済系の教授陣による特別公開授業シリーズ「くらしと経済」が行われています。
金融危機や少子化、ニートなどの就労問題、企業経営などなど、6人の教授がそれぞれのご専門をもとに、高校生に対して「経済」という視点で語るという企画。
高校生にとってはイメージしにくい「経済学」ですが、この経済学によって、世の中の様々な問題にアプローチをすることが可能だということをまずは知ってもらおうのが狙いです。

毎週、様々な形で塾生達は大学の空気に触れています。
大学のアカデミックな雰囲気を熱く伝えられるよう、マイスターもがんばります。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【補助金の行方。】
■「皇学館大が撤退和解金…市債残金と同額6億5976万円」(読売オンライン)

三重県名張市の皇学館大学名張学舎が撤退する問題で、市は19日、撤退に伴い大学側に求める用地や補助金の返還条件を明らかにした。すべての用地と建物を市に返還または無償譲渡し、大学への補助金交付のために市が借金した残金と同額を和解金として支払う内容。大学側は市が提示した条件を全面的に受け入れる、としている。両者は3月中頃、正式に合意するとの覚書を締結する。
(略)焦点となっていた市が大学側に交付した約21億円の補助金の取り扱いについては、「返還」という形ではなく、市が補助金交付のために発行した市債の残高6億5976万円(2007年度末現在)を大学が市に「和解金」として支払うことになった。
自治体が誘致して開校した大学が撤退した前例では、市、大学とも「補助金返還や和解金が支払われたことはほとんどない」との見解を示したが、亀井市長は「撤退が分かっているのに、未償還分の市債を払うことは市民が納得しない」と和解金の必要性を指摘した。
大学によると、市に無償譲渡される学内の建物の評価額は約20億円(07年度末現在)、市に支払う建物撤去費用相当額は数億円にのぼるとみている。
皇学館大の大竹辰也・法人本部事務局長は「大学にとっては厳しい条件だ」としたうえで「10年で撤退する責任として和解金が必要だと判断した」と条件を受け入れる理由を示した。学内の合意は1月27日の理事会で得ているという。
(上記記事より)

皇學館大学が開設10年で名張市のキャンパスを撤退することに関して、続報です。

自治体が大学を誘致する場合、土地や各種の補助金を提供するなど、様々な優遇措置を行うのが一般的。
今回は、短期間での撤退ということで、市が拠出した補助金などをどうするかという点が問題になったようです。

結論は、上記の通り。
経営上の事情で撤退を決める大学にとっては厳しい条件だと思いますが、市や市民の立場を考えると、こうした要求が出てくるのもわかります。

(過去の関連記事)
■皇學館大学社会福祉学部が募集停止・キャンパスも撤退

【流行防止の拠点構築が急がれる。】
■「遅れる新型インフル対策 大学病院の8割が訓練せず」(NIKKEI NET)

大学病院の8割が新型インフルエンザに対応した訓練を実施したことがなく、所在地の行政機関との連携体制も4割近くで構築できていないことが、文部科学省が実施した調査で分かった。設備の整った大学病院は大流行(パンデミック)の際に患者治療や感染拡大防止の拠点になる可能性もあり、文科省は早急に対応を進めるよう大学側に求めている。
(上記記事より)

その脅威について報道が続く、新型インフルエンザ。
万が一これが流行すると、大変なことになります。

こうしたときに期待が集まるのが大学病院、なのですが、まだ対策が進められていないところも多い様子。
対応が急がれます。

【新型インフルエンザに素早い対応。】
■「学生、教職員にマスク配布へ・・・九州大」(読売オンライン)

九州大は20日、新型インフルエンザの発生に備え、有川節夫学長を本部長とする対策本部(13人)を設置した。近く学生約1万9000人と教職員約7000人の計2万6000人に、予防対策マニュアルとマスクを配布する。国内で感染を確認した場合、休講とし、全学生や教職員を自宅待機とする方針を明らかにした。
(略)今後、大学では、発生を想定した訓練を行うほか、学生や教職員に対して、電子メールや電話による連絡体制の整備、正しく情報が伝達できたかを確認するためのシステムづくりを進める。また、発生後の感染拡大を防ぐため、フローチャート形式の具体的な行動計画を今年度中に策定し、会議を開かなくても対応できるようにするという。
(上記記事より)

一方、大学病院ではありませんが、こちらは対策を早く進めている事例。
大学としてキャンパスの流行を防ごうという取り組みです。

連絡体制など、システムを整備し、「会議を開かなくても対応できるようにする」というのが素晴らしいですね。

(過去の関連記事)
■はしかの驚異 各大学が対策を進める
■はしかの脅威 大学によって対応分かれる?

【入学式に参加したい保護者が増えている?】
■「我が子の晴れ姿見たい?保護者増え 京大が学外で入学式へ」(京都新聞)

京都大(京都市左京区)は16日までに、今年4月7日に開催する入学式の会場を、西部構内(同)にある総合体育館から、みやこめっせ(同区岡崎)に変更することを決めた。入学式では保護者の参加が年々増えており、今年は体育館に入りきれないことも予想されるため安全面を考慮したという。
入学式には3000人弱の学生のほか、多くの保護者が参加している。総合体育館が1972年に完成以降、体育館で行ってきた。
近年は保護者の参加が増えたため、式が行われる1階フロアは学生のみの入場とし、地下に保護者のために中継会場を設け1500席を用意しているが、昨年はほぼ満席状態だった。
式後には親子で記念写真をとろうと会場周辺が大混雑となる。緊急時の避難誘導も困難なため会場を変更することにした。
(上記記事より)

入学式への出席を希望される保護者が増えているというニュースは、しばしば目にします。
その都度、少子化など様々な要因が指摘されますが、我が子の晴れ舞台を祝福したいという気持ちは自然ですし、よくわかります。

個人的には、入学式の参加イコール甘やかしとは思いませんので、保護者が出席するのは悪いことではないと思います。
ただ、

「祝福する場面では大いに祝ってあげる、でもそれ以外の部分は、いっさい口を出さない」

……という姿勢が大事だというのが、マイスターの意見。

保護者がこうして我が子に付き添うのは入学式と、せいぜい卒業式の2日間だけで、その間の4年間は基本的に、いっさい本人のやることに口や手を出すべきではありません。
それが子育てにおける、保護者の皆様の最後の役割であり、義務だと個人的には思います。

むしろ保護者の方々に大学からそうした「約束事」をお伝えする機会として、保護者の方々がいらっしゃる入学式の場が活かされれば良いのではないかな、と思うのですが、いかがでしょうか。

(過去の関連記事)
■入学式についての報道から

【教員免許更新、ギリギリになってあわてる人が出てきそう。】
■「教員免許更新講座受け入れ、近畿で1400人超不足」(読売オンライン)

来年度から始まる教員免許更新制に合わせ、大学が教員向けに開設する講座(必修12時間、選択18時間)の受け入れ人数が、必修は20府県、選択は19府県で不足していることが文部科学省のまとめでわかった。中でも、近畿地方は計1400人超の不足が生じており、兵庫県の不足数は必修で961人、選択で1421人で、ともに全国最多。文科省は講座増設を呼びかけているが、「定員割れすれば赤字になる」と慎重な大学が多く、受講のため遠隔地に通わねばならないケースが出てきそうだ。
文科省によると、昨年12月時点で全国の受講対象者は約8万7000人。講座の受け入れ予定人数は必修10万人、選択10万5000人と総数は充足している。
ところが、近畿2府4県では、受講対象者計1万3058人に対し、受け入れ人数は必修で計1万2150人、選択で計1万2552人。大阪、兵庫、滋賀各府県は必修が、滋賀、京都、兵庫各府県は選択がそれぞれ不足している。選択で対象者の4割超が県内で受講できない見通しの兵庫県教委の担当者は「東京まで行かなければならない人が出てくる」と心配する。
一方、来年度から受講者の募集を始める大学の多くは「定員割れの可能性がある」などとして増設に消極的だ。大阪府教委は「他大学の出方を見ながらシビアな計算をしているのでは」と推測する。
(上記記事より)

いよいよ本格的にスタートする、教員免許更新の仕組み。
しかしどうやら、更新のために、意外に遠くまで出かけなければならない人が出てきそうです。

教員免許更新の仕組みは、継続的なプロフェッショナルのサポートに大学が本格的に関わる事例として、日本では非常に画期的な出来事。ただ、当の大学側が二の足を踏んでいるようです。
社会人向けのプロフェッショナルスクールで定員割れや大赤字を経験する大学が少なくありませんし、不安に思う要素も多いのでしょう。

解決すべき課題はまだまだたくさんありそうです。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。