ブラジルの大学で学生が総長室を占拠

マイスターです。

たまには海外の話題を……
というわけで、大学で起きているこんな「事件」をご紹介します。

【今日の大学関連ニュース】
■「50万レ以上の公費流用=大学総長の退陣求める学生=ブラジリア総合大講内を占拠」()

一九六九年に起きた東大の安田講堂事件は、今も日本の学生運動の語り草の一つだが、今回、ブラジリア総合大学(UnB)での公費流用問題などを巡り、総長退陣を求める学生による本部棟占拠が起きている。
三日午後から始まった本部棟占拠は、三百人の学生による抗議行動に端を発したもの。棺桶を担いだ学生らによる構内の団体行進後、大学側が夜になったら話し合うと通達してきたことから、一部学生が本部棟に居座ることを決めた。
最初に占拠されたのは本部棟にある総長室などで、初日は百人近くが本部棟で夜を明かした。
学生たちの要求は、現総長のムリョランド氏と副総長のマンヤ氏の退陣、後任の選挙には学生も教授たちと同じ重さを持つ投票権を持って参加することなど。
(上記記事より)

そんなわけで、ブラジルの、ブラジリア総合大学(ブラジリア大学)での出来事です。

同大は、最高学府サンパウロ大学に続く名門の国立大学。
その学生が、大学の総長室を含むキャンパスの一部を占拠、大学トップの退陣を求めているとのこと。
確かに、日本のかつての学生運動を連想するような内容です。

当然、この占拠行為は違法。
学生達をここまで駆り立てたものはいったい何でしょうか。

総長のムリョランド氏については、総長用アパートにと、研究・調査費として計上されていた経費から四十七万レアルを流用して、贅を尽くした高級家具や日用品(千レアルのゴミ箱など)を購入、車にも七万二千レアルを使用したことが明らかにされており、大学と関連した財団基金の公費流用として、コ―ポレートカードの議会調査委員会への召還も予想されている。
UnBと関連財団の公費流用については、政府関係者のコーポレートカードによる公費乱用が摘発され始めた時期から取り上げられていたが、総長や関係者の辞任など、具体的な処分がされていないことが学生の退陣要求につながったといえる。
(上記記事より)

はい、理由はこれです。
大学トップの公費流用ですね。

50万ブラジルレアルは、日本円でおよそ3,000万円。
流用の額としては、小さくありません。

しかも、本来なら大学のために使われるはずのこのお金を、自分の贅沢のために使っていたというのですから、学生も怒るでしょう。
(「千レアル=6万円のゴミ箱」なんて聞くと、なんじゃそりゃ!? って感じますよね)

しかも、

司法当局は、占拠開始直後の四日に本部棟の即時明渡しを命じ、四日午後五時以降の占拠については、一時間につき五千レアルの罰金も言い渡されているが、学生側は、七日午後の総会で占拠継続とその拡大を決定。総長退陣要求が認められない限り明渡しはないとし、本部棟の五階まで占拠区域を拡大。途中、警備員との揉め合いも起こり、双方にけが人も出たが、構内の機材破損などの行為は無いとしている。
これに対し大学側は、大学キャンパスの拡大などについては交渉に応じるが、総長退陣は交渉の枠外と明言。前総長で上院議員のブアルケ氏が、事態収拾のために総長休職を提案したことについても、ムリョランド氏は、提案を呑む意思はないと返答している。
(上記記事より)

……と、総長は、退陣や休職などを行うつもりはないと、強気の返答。

日本でも、大学関係者が研究費を流用することは、しばしばあります。最近でも、教育を司る某中央省庁の方が、立場を利用した大学がらみの不正で甘い汁を吸っていたことが発覚し、大学関係者や国民の怒りを買いました。
でもブラジルのこれは、横領額も開きなおりっぷりも、それを上回っているようです。

そんなこんなで学生の抗議行動は拡大。
事態は膠着するかに見えました。

が、ここ数日で、少し進展が。

■「ブラジリア総合大総長辞=学生たちの圧力が牙城崩す=今日にも臨時総長選任へ」(ニッケイ新聞)

正副総長の辞任などを求めるブラジリア総合大学(UnB)学生たちの抗議行動は、ムリョランド総長ならびマミヤ副総長の辞任により、新しい山場を迎えることとなった。
三日から始まった学生たちによる本部棟占拠は社会的にも注目を集めたが、UnBでは十日に出された総長の休職通達では満足しない学生たちによる占拠が継続され、伯字紙が連日、その動向を伝えている。
総長の休職後、総長代行を務めたのは副総長のマミヤ氏。しかし、学生たちの要求は正副総長ならびに執行部の退陣でもあったため、圧力はさらに加わり、十一日には学生たちによる授業放棄も行われた。
このような動きの中、十二日に、副総長が文部相に会見を申し入れ、文部省に総長同行で出向。副総長はこの会見で辞意を表明したが、総長は無言。しかし、十三日に文部相と大学関係者や学生代表らによる話合いの場に総長からの電話が入り、辞意が伝えられた。
この総長からの辞意表明により執行部退陣が決まったことで、文部相は本日十八時までに、大学教授、職員、学生ならびに大学審議会代表らが協議して総長候補を指名するよう要求。期限までに候補者が絞りきれなかった場合は、文部相自らが指名することになる。
(略)学生側はさらに、総長選挙に当り、教授が七十%、職員と学生が十五%ずつの重みを持つとされる現行定款を、三者が同等の重みを持つものに変更することを要求。十四日午後の時点では、この要求が受け入れられるまで占拠を継続する意向を表明している。(上記記事より)

この通り、学生側の要求に従う形で、執行部が退陣することになりました。
ただ、投票権の重みをめぐる要求が通っていないとのことで、占拠は継続するとのことです。

こうした事態がいつまで続くのかは、わかりません。
名門大学の混乱が長引くと、社会にもそのうち影響が出てくるでしょう。
全員が納得するような解決法が見つかれば良いのですが、ただ、

UnBは、連邦大学の中でも公費払出し用のコーポレートカードの使用額が最も大きく、昨年は百三十五万レアルを使用。その他の連邦大学でも公費の不正使用は起きているが、公金使用の実態についての監査機能が働いていないなどの問題も指摘されている。このため、文部相は、公費の使途の決定や監査について、現状よりも厳しい基準を定め、十四日に署名した。
(上記記事より)

……と、実は他の大学でも公費の不正使用が起きているらしいのです。
他の大学でも、これに触発されて、今後同じような抗議が起きないとも限りません。
むぅ。

占拠の理由が完全にブラジル国内の事情であることからか、日本のメディアはあんまりこの一連のニュースを報じていませんので、ご紹介させていただきました。
学生の皆さんや、不正をされている偉い方々は、参考にどうぞ。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。