マイスターです。
本ブログでは、ちょっと未来の大学業界の話題もご紹介しております。
(過去の関連記事)
・仮想社会の中で、リアルな動きを起こそうとする人々
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50259424.html
以前、↑アメリカ発のオンラインゲーム「Second Life」をご紹介しました。
(「Second Life」をご存じない方は、上記の記事をご覧ください)
この記事の中で
そのうちオンラインゲーム内にサテライトキャンパスを開設する大学なんてのも出てくるのではないでしょうか。
という感想を述べたところ、コメント欄にて、↓すでにそういう動きがあることを教えてくださった方がいらっしゃいました。
(情報のご提供、ありがとうございました!)
■「バーチャル世界『Second Life』で大学の授業を」(HOTWIRED JAPAN)
http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20040929104.html
上記は2004年9月24日の記事ですが、このとき既に「Second Life」内で授業を行う大学教員の活動が取り上げられています。
マイスターは、「こりゃ面白い実験だなぁ。ほかの大学でもこういう試みがそのうち流行するんじゃないかな?」と思って上記の記事を読んでいたのですが、甘かったです。
すでに実験段階は通り越していました。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「最終学歴はカリフォルニア州立大学Second Life校?–教育界が注ぐ仮想世界への熱い視線」(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/special/media/story/0,2000056936,20343522,00.htm
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「仮想世界は既に大学教育を変え始めている」–複数の教育専門家がそう証言している。
仮想世界に建物を建ててカリキュラム管理ソフトウェアを提供しているMoodleroomsの最高技術責任者(CTO)兼主任アーキテクトStuart Sim氏によれば、70校を超す総合大学が「Second Life」の「アイランド」にキャンパスを建てているという。また、Moodleroomsは現在、Second Life内の学生と彼らが利用するカリキュラムの効率的な管理を支援するツールを、各大学向けに開発中だとも語った。このツールは、各大学がSecond Life内のキャンパスに学生のアバターを追加または削除するためのアプリケーションとなる。このプロジェクトは「Sloodle.com」と名付けられている。
カナダのバンクーバーにあるGreat Northern Way Campus。同校のデジタルメディア修士課程プログラムでエグゼクティブディレクターを務めるGerri Sinclair氏は、同氏が監督するプログラムでは、現在、バンクーバーのキャンパスに加え、Second Lifeに仮想キャンパスを建設中だと語った。「生まれたときからデジタルに親しんできた当校の学生には、昔ながらのコミュニケーションが通用しない面がある。だから、われわれは、本物のキャンパスを建てるのと同じように、仮想キャンパスを建てている」(Sinclair氏)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の公開講座であるEntertainment Studies and Performing Arts(ESPA)のディレクターJane Kago氏も、Sunのカンファレンスにおいて、UCLAがデジタルフィルム専攻の学生に向けてSecond Lifeのアイランドを開設したことを発表した。
オンラインゲームへの参入について、「タイミングとしては今が面白い」と語ったのは、Sunの最高ゲーム責任者(CGO)、Chris Melissinos氏である。「このテクノロジと新しいコミュニケーション方法を使えば、できることはより大きく広がる」(同氏)
(上記記事より)
この通り、
既に70校の大学が
「Second life」内にキャンパスを建設中だそうです。
実験どころじゃありません。とっくに実用段階でした。
すみません、マイスターの情報も遅れていたようです。
上記ではカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の講座でも「Second life」を活用している旨が紹介されています。
記事によれば、さらにアメリカ最大級の総合大学であるカリフォルニア州立大学(CSU)も参入するとのことです。同大の関係者は↓このように語っています。
同大学群は、23のキャンパス、4万6000人のスタッフ、40万人以上の学生で構成されている。その最高責任者であるCharles Reed氏は、将来的な教室スペースの確保に懸念を感じていると言う。その理由は主に、増え続ける入学者数だ。
Reed氏は語る。「したがって、これからは在宅型の学生が増えていくと思う」。すなわち学生たちは、キャンパスで教職員やクラスメートと顔を合わせるのは週に1度で、週の残りの日はシミュレーション、仮想世界、ダウンロードした情報を使って、履修した授業をこなしていくようになるのだ。
(上記記事より)
日本大学の学部・短大・大学院生合計が81,366人だそうですから、40万人以上というのはやはり驚愕の数字ですよね。いくらアメリカの広大な土地に23ものキャンパスを持っていようと、これではスペースの心配もあるでしょう。
むしろ逆に、40万人もいて23ものキャンパスに分かれているからこそ、皆がいつでもアクセスできる特定の場所、つまり「Second Life」のようなスペースを欲するのかも知れません。
もっとも、70もの総合大学が既に「Second Life」内にキャンパスを建てているとなると、単にスペースが足りないというだけの理由だけではなさそうです。
いつでも好きなときに、半分バーチャル、半分リアルな感覚で参加できるサイバー世界のコミュニケーション空間は、大学にとって利用価値がある。
そう、考えられはじめているということなのかなと思います。
さて、では日本での動きはどうでしょうか。
■「日本語版は「1~2カ月以内」 Second Lifeのいま」(ITMedia NEWS)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0701/18/news068.html
3D仮想世界「Second Life」を運営する米Linden Lab幹部が来日し、Second Lifeコミュニティーについて、1月17日に開かれたセミナーで語った。約270万の登録ユーザー(1月18日現在)のうち、日本人は約1万4000。日本語版は1~2カ月以内には公開したいとしている。
(上記記事より)
このように、いよいよ日本語版の公開が近づいているようです。日本の大学が本格進出する日も近い……と思ったら、上記の記事にこんな記述が。
企業や大学の進出も目立つ。日産自動車やソニーBMGなどがプロモーションを展開しているほか、米国の大学は60以上も進出。Second Life内で講義などを行っている。東京大学も近く進出予定という。
(上記記事より)
もう、東大の進出が予定されているようです。
東大は歴史の長い巨大組織ですが、最新の動きに対してこういうアグレッシブさを見せるあたり、なんだかんだいってすごいなと思います。
でもやはり、日本で「Second life」に対して最も進んだ取り組みを行っているのは、↓この大学でしょう。
■「セカンドライフ・デジタルハリウッドランドプロジェクト | Second Life DH Land Project」(デジハリ)
http://www.dhsl.jp/
すでに「デジハリランド」を
「Second Life」内に建設中だそうです。
バーチャル空間にキャンパスを立ち上げるとなると、クリエイター集団はやはり強いです。恐るべしデジハリ。
それだけではありません。デジハリは、広告代理店の電通と共同で「Second Life」の研究会を立ち上げ、広告業界から熱い視線を集めています。
■「電通とデジタルハリウッド大学院、「セカンドライフ研究会」を設立」(MYCOMジャーナル)
http://journal.mycom.co.jp/news/2007/02/08/385.html
■「プレスリリース:電通とデジタルハリウッド大学院、米国3Dバーチャルコミュニティ・サービス『セカンドライフ®』参加企業のための「セカンドライフ®研究会」及び企業や個人の参加方法について研究を行う『セカンドライフ®研究所ジャパン」を設立』(デジハリ)
http://www.dhw.co.jp/news/release/contents20070208.html
また、「Second Life」を開発した運営会社「リンデン・ラボ」社の推薦を受けた講座を開設したり、各種のセミナーや連載記事をスタートさせたりしています。
■「リンデン・ラボ社推薦 デジタルハリウッド大学大学院 セカンドライフ研究室 監修 セカンドライフ・トレーニング講座」(デジハリ)
http://www.dhw.co.jp/sl/
■「CNET、Second Lifeでのものづくり講座を開始–バーチャルオフィスも開設」(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20343129,00.htm
■「デジタルハリウッド、『Second Life』の特別セミナーを開催 仮想世界で生まれる新たなライフスタイルとビジネス」(インプレスGAME Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070119/secondl.htm
いずれも、かなり目の付け所がいいなと感じさせる動きであるように、マイスターは感じました。自分達の強みがどこにあるか、よく分かっておいでだと思います。
どうやら「Second Life」においては、デジタル・ハリウッド大学院の取り組みが日本の他大学に先行しているようですね。
(過去の関連記事)
・「中国から熱い視線注がれるデジタルハリウッド大学」
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50280306.html
↑デジハリは中国の大学に教育プログラムを提供するなど、国外でも着々と成果を上げています。「Second Life」内に建設されるバーチャルキャンパスは、そういった活動をさらに強化する役割を果たすかも知れません。
少々長くなってきましたので、今日はこの辺にしたいと思います。
こうなってくると自分でも「Second Life」にアクセスしてみたくなりますよね。
マイスターも、現在ネット環境を再構築しているところですので、それが終わったらちょっと見て回ってみたいと思いました。
以上、マイスターでした。
コメントをして以降、デジハリの記事はどこかで目にしたのですが東大は初耳でした。
総合大学が導入して上手くいけば、他の大学にもどんどん広まっていく可能性は大いにありますね。
ただ、一般企業が広告目的で進出するのとは違い、正式に講義をするのであれば授業料はどうするのか、一企業のシステムに頼っていいのか、などという問題も出てきそうです。
殆どの大学はしばらく様子見ということになるのでしょうか。
私もブロードバンドを導入したら米国の大学に「もぐって」みようと思います(笑)