「求人情報の掲示遅れ、募集期限切れ23件 大阪府立大」

マイスターです。

今日は、↓こんなニュースを見かけました。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「求人情報の掲示遅れ、募集期限切れ23件 大阪府立大」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/OSK200702200077.html

■「求人情報600件を放置 大阪府立大、23件期限切れ」(中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200702200288.html
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大阪府立大学(堺市)で、企業や自治体から寄せられた求人票や募集案内などの求人情報を学内に掲示するのが遅れ、うち23件が応募期限を過ぎていたことがわかった。学生からの指摘で判明し、同大学が20日発表した。原因究明などのため、同大学は近く調査委員会を設置する。
(「求人情報の掲示遅れ、募集期限切れ23件 大阪府立大」(Asahi.com)より)

大学によるプレスリリースは↓こちらです。

■「就職情報の学内掲出の遅れ(事務処理の不適正)について」(大阪府立大学)
http://www.osakafu-u.ac.jp/news/h18/070220.html

 今回の件でご迷惑をおかけした学生および保護者の皆様、府民の皆様、求人票をお寄せいただいた企業等の皆様には、心からお詫び申し上げます。
 なお、現在就職の決まっていない学生に対しては、就職情報の提供等、就職の機会が得られるよう努めてまいりますが、今後このようなことのないように、本学として再発防止に全力を挙げて取り組んでまいります。
(上記リリースより)

とのことです。確かに企業の方や学生の皆様にしてみたら、「なんてことを!」と思う事態です。
今後、このようなことが起きないようにしなければなりませんね。

……ところで、記事を読んで思ったのですが、

……今月初めに就職支援室を訪れた社会福祉学部の学生が、大量の求人書類が掲示されないまま室内に山積みにされ、一部がすでに応募期限を過ぎていることに気づいた。大学側が調査したところ、昨年11月ごろに届いた求人情報計642件の処理が遅れ、うち23件がすでに応募期限を過ぎていたという。
学生課によると、企業や自治体などから求人票や募集案内が届くと、就職支援室の職員が開封。職員2人が学生がアクセスできる学内専用のデータベースに求人情報を入力、就職支援室でも掲示して学生が閲覧できるようにしている。
(「求人情報の掲示遅れ、募集期限切れ23件 大阪府立大」(Asahi.com)より)

就職支援室は職員四人。募集案内は届くとすぐに掲示して、学生が閲覧できるデータベースに登録することにしているが、企業の募集が増えた上、学生への就職説明会も重なって忙しく、整理しきれなかったという。
(「求人情報600件を放置 大阪府立大、23件期限切れ」(中国新聞)より)

上記のような記述から想像するに、そもそも、業務負担に無理があるような気がしないでもありません。

■「就職関連情報:平成17年度求職・求人・就職の状況」(大阪府立大学)
http://www.osakafu-u.ac.jp/employment/college.html

↑こちらのページの数字によると、大阪府立大学中百舌鳥キャンパス(合併前の「大阪府立大学」に相当)の5学部に対する平成17年度の求人数は、8,890件。
他にも業務が色々とある中、8,890件のデータを二人で入力していたら、オーバーフローしてもおかしくないように、個人的には感じるのですが、実態はどうだったのでしょうね。
素朴な疑問ですが、データ入力のためにパートさんを雇ったり、外部の業者に入力を外注したりはされていたのでしょうか……?
もしかしたら、(予算の都合次第ですが)業務改善の余地がまだあったかも知れません。従来通り自分達の力だけでなんとか……と無理をされていたのではないかな、なんて個人的に勝手な想像をしたりします。

就職支援は大学の中でも、やるべき業務がこの10年の間で著しく増えた部門の一つだと思います。最近でこそ、ようやく景気が持ち直してきたとか採用数が増えているとかいった前向きな話も耳にするようになりましたが、皆様ご記憶の通り、バブル崩壊からこれまで学生の就職活動は大変でした。

企業の方を招いての説明会やコンサルタントによる各種セミナーの他、OB講演、就職模擬試験、業界研究会などなど、就職部門が手がけるイベントは現在も増えるばかりです。
インターンシップや資格対策講座、入学後の学生に対するキャリア養成講座といった企画も、次々に立ち上げていかなければなりません。
またその中で、求人票の整理や、学生に対するアドバイスなども行っているわけです。そのアドバイスも従来以上にきめ細かく、プロの視点が行き届いたものが要求される時代です。

その上で、今回の報道にあるように、求人情報の電子化も進められています。
今や学生さんは学内の端末やインターネットを介して求人を検索するのが普通ですから、企業から送られてきたフォーマットをデータに入力する作業がどうしても必要になるのですね。
(本来ならはじめからデータで求人情報を送ってもらいたいところでしょうが、企業の側はそれこそ数十、数百という大学に求人票を送っているわけで、いちいち各大学の都合に合わせてはくれないのだと思います)

そしてたとえ景気が持ち直しても、こういったサービスの質を以前のレベルに落とすわけにはいきません。マイスターが思うに、どの大学でも就職部門では、日々新たな業務が次々に派生していっている状況なんだと思います。

(というか、これは就職部門に限った話ではないですよね。入試も教務も広報も皆同じです)

サービスの範囲を拡大し、内容をより充実させるのであれば、相応の環境を整えなければなりません。根性論や精神論で乗り切れる量には限界があります。
しかし大学は年間の予算主義ですから、そう簡単にそう簡単に職員を増員したりはできないのが普通でしょう。

可能な部分はアウトソーシングを行うとか、データ入力が簡単に終わるような作業工程を考えるとか、そもそもデータ入力をこちらでやらなくてすむような方法を考えるとか、合理化を進める必要があります。しかしこれにもある程度のお金はかかってしまいます。
現場の方だけではなく、上の立場の方が責任者として抜本的な対策を講じなければ、また同じようなことはどこかで起きるように思われます。

原因究明などのため、同大学は近く調査委員会を設置する。
(「求人情報の掲示遅れ、募集期限切れ23件 大阪府立大」(Asahi.com)より)

と報道にはありますが、こういった調査委員会が、単なる「担当者つるし上げ」の場になってしまっては意味がありません。前向きに原因の分析と問題解決のための提案を行える、そんな建設的な場になることを祈ります。

こうしたことって、大阪府立大学だけに限った話ではないですよね。また同時に、就職部門だけに限った話でもないと思います。
私たちも、自分の周りに「オーバーフローしそうなんだけど誰かが無理して支えている」といった危うい業務がないかどうか、この機会に見直してみるといいかも知れませんね。

以上、マイスターでした。