ここ数日間ずっと売り切れて困っていたのに、納豆についての健康番組がやらせだと分かった途端、急に近所のスーパーで納豆が買えるようになり、個人的にはむしろ助かったマイスター(納豆大好き)です。
今日はセンター試験の二日目でした。受験生の皆様、試験の運営に関わった皆様、おつかれさまでした。
これからいよいよ、
受験生は心身両面のスタミナを問われ、
保護者の方はお弁当や晩ご飯にカツを何度も用意し、
高校の先生は生徒からの合格報告をどきどきしながら待ち、
塾や予備校は出陣式を敢行し、
大学は受験者&入学手続者の数字をにらんで一喜一憂する、
そんな大学入試シーズンがスタートします。
入試が一通り終わる頃には、全員へとへとになっているはず。
みなさま、先は長いですので、体調管理にはくれぐれもお気をつけください。
さて、それでは今週のニュースクリップをお届けします。
「司法試験合格」の後にも試される、各法科大学院の教育成果。
■「司法修習卒業試験:落第者向けの追試を廃止 最高裁」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20070119k0000m040093000c.html
司法試験合格者が専門知識を学ぶ「司法修習」の卒業試験で落第者が急増しているが、最高裁の「司法修習生考試委員会」は落第者を救済するための「追試」を廃止することを決めた。法曹関係者の間に「司法試験合格者数が増加して質が低下しているのでは」と懸念する声があり、委員会も「最低水準に達していない修習生を追試で救済するのはふさわしくない」と判断した。
(上記記事より)
司法試験に合格しても、それですぐに法曹になれるわけではありません。司法修習を受け、その最後の卒業試験に合格する必要があります。その合格率が年々低下しているのを危惧した最高裁が、卒業試験の追試を廃止したとのこと。なるほど、法曹の質を保つために、こうした手が打たれているのですね。
ちなみにこの卒業試験を「司法修習生考試」と言い、これはれっきとした国家試験です。
ところで、法科大学院構想を含めたここ数年の司法制度改革によって、司法修習の期間は年々短くなっております。かつては2年間の修習を求められましたが、新司法試験合格者の場合は1年だそうです。大学院で基礎的な実務を学んだから、ということなのでしょう。
ということは今後……
「司法試験合格率の高い法科大学院はどこか」
という評判だけでなく、
「司法修習生考試合格率の高い法科大学院はどこか」
という評判についても、各法科大学院であれこれ評判の差が出たりするっていうことなのでしょうか。
専門職大学院が社会的評価を得るというのは、なかなか大変ですね。
地元の文化芸能関係者を巻き込んでの取り組み。
■「大阪市立大:一般教養科目に落語 桂春団治一門を講師に」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20070119k0000m040139000c.html
大阪市立大(大阪市住吉区)は18日、新学期からの全学共通(一般教養)科目として、桂春団治一門を講師に招いて落語の魅力を探る講義を開設、一般からも聴講者(130人)を募集すると発表した。落語家による講義は、桂文珍さんらが学生向けに講義した関西大(大阪府吹田市)などのケースがあるが、多数の一般聴講者を招く正規の講義は初の試みという。
「大阪落語への招待」と銘打ち、講師として桂春之輔さんや蝶六さんら、一門の現役落語家が2人ずつ登壇。「長屋の暮らし」「落語とオペラ」などのテーマで講義する。師匠の桂春団治さんも最終回近くに登場予定という。授業後には毎回アンケートに回答してもらうほか、学生(220人)には期末レポートも課し、通常と同じ2単位を与える。
(上記記事より)
一般の方からも受講生を募集しているのが特徴です。
■「平成19年度前期授業『大阪落語への招待』受講者募集」(大阪市立大学)
http://www.osaka-cu.ac.jp/news/rakugo/index.html
■「桂 春団治一門『大阪落語への招待』プレオープン興行」(大阪市立大学)
http://www.osaka-cu.ac.jp/news/rakugo/haru.html
落語というのは長い歴史を持った芸能であり、文化でもあります。そういった芸能の担い手が、大学で学生に対して直接講義をしてくれるというのは、非常に意義のあることであるように思います。映画監督や現代アーティストが大学の教壇に立つことは今や珍しくありませんが、落語においてもそういった試みが行われているのですね。
また大阪市立大学はその名の通り、(独立行政法人ではありますが)大阪市の公立大学です。こういった公立大学においては「市民がその都市の文化に関連する知識を得られる場所である」、ということも、大学に求められる大切な役割であるように思います。
実際、各地の公立大学で地域に関する教養講座が開講されていると思います。この大阪市立大のように、地元の芸能の担い手達を巻き込む動きも、おそらく今後はこれまで以上に盛んになってくるのでしょう。
シリコンバレーに日本の大学のネットワークを立ち上げ。
■「日本の大学 世界に売り込め」(SankeiWEB)
http://www.sankei.co.jp/keizai/sangyo/070118/sng070118000.htm
最先端の技術開発や産学連携の場である米カリフォルニア州シリコンバレーで、早稲田大、慶応大、法政大、東北大、横浜市大、大阪大、九州大、鹿児島大の日本の8大学が今月、現地日本企業などを巻き込んだ新たな産学官のネットワークを立ち上げた。「内向き」と評されがちな日本の大学が世界に打って出る原動力となったのは、「日本が正当に評価されていない」との危機感からだった。
(上記記事より)
シリコンバレーにおいて、日本の存在感はそう大きくはなかったようです。地理的な面ももちろんありますが、それだけではなく記事にあるように日本の大学の「内向き」な組織姿勢も大きかったのでしょう。
そんな現状に危機感を覚えたのか、日本の大学がネットワークを立ち上げました。
記事によれば、同ネットワークは大学だけでなく、日本学術振興会や在サンフランシスコ総領事館、日本貿易振興機構、さらにIT系企業やベンチャー・キャピタルなどの現地日本企業も参加した「オールジャパン」の組織だそうです。
息の長い活動をするとなったら、大学だけではなくこういった諸機関も巻き込むことが大事です。それもボランティアではなく、お互いにとってメリットがあるようなあり方に持って行くことが大切であるように思われます。
既に先を行っている国があるでしょうから、そうすぐに成果は上がらないと思いますが、合理的、効果的、継続的な取り組みを行っていってほしいと思います。
ベテランの知恵やスキルを子供達のために。
■「団塊を教育サポーターに 小学英語、博物館ガイドも」(SankeiWEB)
http://www.sankei.co.jp/shakai/wadai/070119/wdi070119003.htm
今年から大量退職が見込まれる「団塊の世代」の人材について、文部科学省は19日までに学校や文化施設などで働く「教育サポーター」として活用していく方針を決めた。
退職者に現役時代の知識、技能を生かせる機会を与えるとともに、生涯教育の充実を図るのが目的。早ければ平成20年度にも実施する方向で、同省は研修内容や配置計画について本格的な検討を始める。
人材不足が指摘される小学校での英語教育や、工作教室の講師など学校現場での活動のほか、博物館の外国語ガイドや中高年の健康相談員としての活用方法も検討する計画。
現場のニーズに応じボランティアや再就職などの形で参加を促す。
(上記記事より)
これはなかなか意義のある取り組みだと思います。
教員以外の、多様な知識や経験を持った大人が教育現場に入ってくるのは、悪いことではありません。リタイアした方々の生き甲斐も創出できて、まさに一石二鳥。
ただ上の記事でも指摘されているのですが、キャリアや知識はすばらしくとも、「教える」ことには不慣れな人が多いはず。加えて、なにしろ社会で長く活躍してきたベテランさん達であるだけに、それなりのプライドを持っていることが予想されます。
ちゃんと人選&講習をしないと、かえって現場が混乱してしまう可能性もあります。
……と心配な点はあるものの、うまく彼等の力を引き出し、社会のために再度活躍してもらえるような仕組みにできれば、これはすばらしいことです。
個人的にはとても期待する構想です。
韓国の教育熱。
■「韓国、『人間教育』に力 詰め込み反省、多様化の兆し」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200701190194.html
親の月収以上の教育費をかけたり、厳冬下の入試の最中に親が校門前で願掛けしたり――激化する一方だった韓国の教育熱が最近、変わりつつある。豊かな環境で自発性を養うフリースクールが存在感を増し、情操面を育む塾にも人気が集まってきた。
(上記記事より)
平準化政策や、激しい大学受験競争のイメージが強い韓国。そんな韓国で、情操教育などに注目が集まってきているという報道です。
韓国の保護者が小学生の子供のために一緒に海外留学している様子をおったドキュメンタリーなどを最近、報道番組などでよく見かけるなぁと思っていたのですが、この記事を読む限り、必ずしも「他の子に負けるな競争」ばかりではないのかな……?
と思っていたら、上の記事と同じ日、韓国メディアには↓こんな記事が。
■「就学前に算数・英語もマスター、高まる早期教育熱」(聯合ニュース)
http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?News_id=042007011806200&FirstCd=03
就学前の児童に、ハングル、算数、英語、漢字などをあらかじめ教える傾向が強まっている。以前はハングルの読み書きだけ覚えて就学するケースがほとんどだったが、「ほかの子に遅れないか」との父兄の心配がこうした「早期教育」につながっている。就学前に小学校1~2年の過程を学習させることから、子どもたちの好奇心を刺激するとの見方もあるが、反対に就学前に学業への興味を失わせてしまう懸念も出ている。
(上記記事より)
幼い子供を持った親が早期教育に熱を入れてしまう傾向は、むしろ一層ヒートアップしているようです。
やっぱり一度盛り上がった「教育競争熱」は、そう簡単には収まりそうにありません。
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログをご覧くださいまして、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
マイスターでした。