箱根駅伝予選会実施 次の箱根を走るのはこの23チームだ

マイスターです。

「箱根駅伝」と言えば、もはや国民的番組になった、正月の定番イベントです。

出場大学の学生や教職員、卒業生などが関心を寄せるのは言うまでもありません。
想いのこもったたすきを繋ぐため、そしてチームの勝利のために全力を尽くす若者達の姿には、関係者でなくとも心動かされるものがあると思います。
2日間にわたり往路・復路で展開される駅伝の様子は毎年テレビ中継され、かなりの視聴率をたたき出しています。テレビやコース沿道で応援する方も、少なくありません。

「大学対抗」という形、
たすきを繋ぐ駅伝スタイル、
「シード権」や「予選会」の存在、
花形選手によるごぼう抜き、
過酷な箱根路のコース、 などなど、つい見入ってしまう様々な工夫が盛り込まれているのも、人気の理由でしょう。
こうして毎年、様々なドラマが生まれるのが、箱根駅伝の魅力です。

ところで箱根駅伝に出場できるのは、毎年20校だけ。
その20校に選ばれるためには、いくつかの条件があります。

【関東学生陸上競技連盟の加盟校であること】

箱根駅伝を主催しているのは「関東学生陸上競技連盟」です。
ですので基本的には、この関東学連の加盟校しか、参加できないのです。
どれだけ陸上競技で成果を上げていても、北海道や関西の大学では、箱根駅伝には出場できません。
(たまに行われる記念大会では、招待チームとして関東以外の大学も入ることがあるようですが)
高校生も含め、このことをご存じでない方は、結構多いようです。

ちなみに箱根駅伝の選手紹介テロップには、出身高校の名前も出るのですが、関東以外の地区から進学してきた学生さんが結構います。競合大学は、全国の高校から優秀な選手を関東までスカウトしてくるのです。このスカウト合戦に勝たなければ、当然、退会に出場することは難しくなります。

【前回の大会で、シード権を獲得していること】

前年の本選で総合10位以内に入ったチームは次年度の予選を免除されます。これを「シード権」と言います。優勝だけでなく、このシード権を争うという要素があるため、本選はいつも終盤まで盛り上がります。
なお、今年初めの箱根駅伝でシード権を獲得したのは、駒澤大学、早稲田大学、中央学院大学、亜細亜大学、山梨学院大学、中央大学、帝京大学、日本大学、東洋大学、それに関東学連選抜チームです。

【箱根駅伝予選会を勝ち抜くこと】

シード権を得られなかった、あるいは箱根駅伝初出場の大学は「予選会」に参加し、チームの総合力を競うことになります。
この予選会を見事勝ち抜けば、関東学生陸上競技連盟の加盟校である限り、どんな大学でも箱根駅伝に出られます。
逆に何十回も出場している伝統校、強豪校であっても、シード権を逃し、予選会で負ければ、箱根を走ることはできません。

箱根への夢をかける新しいチーム、先輩達からの伝統を途切れさせまいとする強豪チームなど、色々な想いがぶつかり合うのがこの予選会です。

さて18日、そんな箱根駅伝の予選会が行われました。
今年も、歓喜の涙、悔しさの涙があったようです。

【今日の大学関連ニュース】
■「城西大がトップ通過 青学大33年ぶり出場…箱根駅伝予選会」(スポーツ報知)

第85回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝、報知新聞社後援)の予選会が18日、東京・立川市内の20キロコース(陸上自衛隊立川駐屯地スタート、国営昭和記念公園ゴール)で47校が参加して行われ、10時間13分20秒でトップの通過した城西大など13校が本戦の出場を決めた。上武大が群馬県勢では初めて本戦出場権を獲得したほか、青学大が本戦進出ギリギリの13位で33年ぶり14回目の出場を決めた。
競技は各校10~12人が全員一斉スタートするの20キロのタイムレースで行われ、各校上位10人の合計タイムによりまず10校を決定。つづく3校については関東学生陸上競技対校選手権大会(インカレ)の総合順位とエントリー数をポイント化して換算した「アドバンテージ・タイム」を加味して順位が決まった。
(上記記事より)

■「わずか6秒…青学大と法大で明暗/箱根駅伝予選会 」(sanspo.com)

青学大と法大が明暗を分けた。滑り込みの13位で33大会ぶりの本大会出場が決まった青学大はお祭り騒ぎ。原監督は「やったあ。選手に感謝したい」と両手を突き上げ、歓喜にむせび泣いた。9月まで主力選手が故障に苦しみ「確率0パーセントと思っていた」という状況から予想外の出場だ。
一方、14位で11大会ぶりに出場権を逃した法大の成田監督は「選手に危機感が足りず、いいか悪いかのどちらかと心配していた」と不安が的中し、肩を落とした。
(上記記事より)

まず、予選会で走るチーム10人のタイムにより10校を。そして続く3校は、インカレの総合順位に基づくポイントを加味した上で選抜しました。この13チームが晴れて予選会を突破し、来年の箱根を走ることになります。

33年ぶりに出場を決めたのが、青山学院大学。かつて何度も出場していた古豪が復活です。
逆に、箱根の常連校となっていた法政大学が、まさかの予選会落ちとなりました。

上記の記事には、各大学のタイムが掲載されています。

1位 城西大学 10時間13分20秒
2位 東京農業大学 10時間13分46秒
3位 上武大学 10時間15分47秒
4位 日本体育大学 10時間17分04秒
5位 拓殖大学 10時間17分43秒
6位 神奈川大学 10時間18分04秒
7位 東海大学 10時間18分15秒
8位 専修大学 10時間19分25秒
9位 明治大学 10時間19分30秒
10位 大東文化大学 10時間21分01秒
11位 国士舘大学 10時間17分57秒※(差し引きタイム3分35秒)
12位 順天堂大学 10時間20分13秒※(3分50秒)
13位 青山学院大学 10時間20分33秒※(1分15秒)
---------ここまでが予選通過
14位 法政大学 10時間20分39秒※(3分10秒)
15位 國學院大學 10時間25分51秒※(30秒)
16位 平成国際大学 10時間30分11秒※(2分20秒)
(※はポイント換算後のタイム)
(上記記事から。大学名の正式表記、および強調部分はマイスターによる)

13位の青山学院大学と、14位の法政大学では、なんとたった6秒しか差がありませんでした。
10人の合計タイムで6秒差ですから、それぞれがもう1秒ずつタイムを縮めていたら逆転出場できたということになります。

逆に言うと、青山学院大学が出場を果たせたのは、それぞれが1秒ずつ頑張ったおかげ。
両校の嬉しさ、悔しさはいかばかりでしょうか。

ちなみにテレビで報じられていたのですが、億単位の予算を持つチームもあるなか、青山学院大学の年間予算は500万円ほどなのだそうです。

今回は、強豪校も涙をのむ中、初出場を決めた大学がありました。

■「箱根初切符の上武大 早大黄金期支えた花田監督、就任5年目の歓喜」(MSN産経ニュース)

東海大、順大など常連校が苦戦する中、創部5年目の上武大(群馬)が3位で初の箱根切符をつかんだ。
気温24度の中、集団走で全体のタイムを押し上げ、出場45校で唯一、10人全員が2けた順位でゴールする安定感だった。「みんな痛いところはないな。オレは横で走りすぎて痛いけど」。冗談交じりに声をかけた花田勝彦監督は、選手からの胴上げに「まだ夢のよう」と目頭を熱くした。
早大で4年間箱根を走り、3年時に4区区間賞で総合優勝に貢献した花田監督。卒業後はトラック種目でアトランタ、シドニー両五輪に出場、2004年に引退した。
「箱根への道をつくってほしい」と上武大陸上部マネジャーから依頼があったのは、その直後。無名校を率いる不安は大きかったが、食事の取り方も分からない選手たちが逆に新鮮に映った。
「指導しがいがある」と、新設される駅伝部の監督就任を受諾。「一緒に世界を目指そう」を口説き文句に全国を勧誘して歩き、発足時の部員14人から80人の大所帯に育て上げた。

(上記記事より)

■「上武大学」

上武大学は、群馬県伊勢崎市に本拠を置く大学。
創部5年目の若いチームが、見事、箱根への切符を手にしました。

監督は、マネージャーが送った1通の熱いメールがきっかけとなって、着任したのだそうです。

大学のwebサイトではさっそく、写真付きでこの快挙を報じています。

■「【駅伝部】第85回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)出場決定!」(上武大学)

第85回東京箱根間往復大学駅伝競走(平成21年1月2日~3日)の予選会が18日(土)東京都立川市の陸上自衛隊立川駐屯地~立川市内~国営昭和記念公園までの20キロのコースで行われ、本学駅伝部は予選を3位で終え、見事本戦出場権を獲得しました。
今年の大会で、本学駅伝部の福山選手が学連選抜のメンバーとして出場しましたが、大学としての出場は初となり、群馬県の大学としても箱根駅伝初参戦となります。
たくさんの方々にご声援いただきありがとうございました。
来年1月2日3日の本戦に向け、チーム一丸となって前進していきますので、引き続きご声援をよろしくお願いいたします。
(上記記事より)

ちなみに箱根駅伝に出場することは、大学にとっては大変な広報にもなります。全国のお茶の間で、家族がそろう中、校名が連呼される効果は測り知れません。
(皆様も、「箱根駅伝で初めて名前を知った」という大学、あるのではないでしょうか)

そう言う意味では、チームだけでなく、大学全体にとっても大きな貢献をしたことになるかも知れません。

というわけで、最終的に、箱根駅伝に出場するのは以下の23チームとなります。

【2009年1月の箱根駅伝に出場する大学】
駒澤大学
早稲田大学
中央学院大学
亜細亜大学
山梨学院大学
中央大学
帝京大学
日本大学
東洋大学
城西大学
東京農業大学
上武大学
日本体育大学
拓殖大学
神奈川大学
東海大学
専修大学
明治大学
大東文化大学
国士舘大学
順天堂大学
青山学院大学
関東学連選抜

というわけで、以上、箱根駅伝予選会の様子をお伝えしました。

ところで箱根駅伝も大学スポーツの一つですから、推薦による学生の引き抜きや、駅伝部員の学業のことなど、色々あります。さきほど申し上げたとおり、広報的な影響も大学スポーツの中で最大級です。
批判を集める部分も含め、大学経営・運営という観点で、考える部分は少なくありません。
そんなことも、そのうちご紹介していきたいと思います。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。