大学webサイトの考え方(4):リサーチを徹底して行おう【後編】

マイスターです。

昨日は、「サイトの現状調査には、『量』を測定する方法と、『質』をつぶさに調べる調査がある」といったことを書きました。

他にも、サイトを分析するにあたって、持っておきたい視点があります。

【サイトの現状調査には、「自校サイト内部」と「他サイト」の調査がある】

前述したログ解析やユーザーアンケートは「自校サイト内部の状況」を調べるための調査ですが、この他にも、ライバル校のサイトを調べたり、世の中のwebの流行を調べたりといった調査を行うことがあります。

「薬学教育における本学のブランドを確立することに寄与するサイトとする」
なんていうミッションを達成するとなると、自校だけを見ているわけにもいきません。ライバルの薬科大はどのようなサイトを作っているのかを調べ、比較検討しなければなりませんね。

「薬科大学」だけではありません。薬学部を持つ総合大学もまた、直接競合する相手です。
競合について、もう少し考えてみましょう。果たして「薬学部」だけがライバルでしょうか?

もしかしたら、応用化学や生物化学といった分野だって、研究職を目指す学生などから見たら薬学とライバルかも知れません。
「化学や生物が好き」で、「手に職をつけたいと考えている」女子学生からしたら、薬学と看護学が並列に並ぶ選択肢なのかも知れません。
また、産学連携のパートナーを探しているバイオ系企業の担当者からは、海外の医療系研究機関と国内の薬科大学が競合に見えているかも知れません。
医薬品メーカーのリクルーターは、工学部の工業化学科と、薬学部のどっちから学生を採ろうか悩んでいるかも知れません。

サイトを訪れる可能性があるユーザーの、なんと多様なことか。
このように様々な切り口で「競合」を想定し、ステークホルダーの目線に立って比較を行わなければならないのです。

そこで一つ、便利なサイトをご紹介しましょう。

■Alexa
http://www.alexa.com/

アレクサと言って、webサイトを企画する人の間ではかなり有名なサイトです。
「このサイトを訪れた人は、ついでに、こんなサイトも見ています」という情報(Related Links)を教えてくれるのです。

せっかく薬科大学を例えに出していますので、実在の薬科大を例に取ってみましょう。

■Alexaで「共立薬科大学」のサイトのRelated Linksを見た例
http://www.alexa.com/data/details/related_links?q=&url=http://www.kyoritsu-ph.ac.jp/index.html

共立薬科大学のサイトを訪れた方は、同時に中央大学、亜細亜大学、創価女子大学、テンプル大学ジャパンキャンパス、芝浦工業大学などのサイトも見に行っているということがわかります。何故この大学が?と思える大学名ばかりかもしれませんが、世の中の誰かが、こういう組み合わせで大学を見比べているということなのです。
「港区の学校」とか、「女子の進学先」といったあたりを切り口にして、他校と日買うされているのかも知れません。

■Alexaで「明治薬科大学」のサイトのRelated Linksを見た例
http://www.alexa.com/data/details/related_links?q=&url=http://www.my-pharm.ac.jp/

明治薬科大学では、また様相が違ってきます。農業や環境、工学系などの学校が、ネットユーザーから見た競合校です。このように、同じ薬科大学と言っても、どんな切り口でサイトが訪問されているかは、違うのです。

このように、Alexaを使うとネット上の意外な競合サイトを発見できます。ぜひご自身で、色々な大学のURLを入れて試してみてください。

※ちなみに大学以外のサイトが競合に入っている例としては、↓こんなのがあります。
http://www.alexa.com/data/details/related_links?q=&url=www.kyoto-u.ac.jp
経済学部に金融関係の寄付講座がたくさんあることが、こういった結果に絡んでいるのかなと推察します。

もう一つ、競合サイトとの比較分析を行う際に便利なサービスを提供している会社をご紹介します。

■ネットレイティングス
http://www.netratings.co.jp/default.htm

テレビと同じ要領で、「インターネット世界の視聴率」を調査している企業です。
調査にお金がかかりますが、他校サイトのアクセス状況調査だろうが、自校と他校の間を移動するユーザーの分析だろうが、何でもできてしまいます。ある意味究極のネット調査といえるでしょう。

……とこのように、webサイトの企画を行う際には、外部との比較も含め、様々な角度から自校サイトを分析することが必要です。

「薬学教育における本学のブランドを確立することに寄与するサイトとする」
「サイトによって、学生生活を豊かにするための様々な情報を在学生が得られるようにする」

なんていう漠然としたミッションも、こうした調査を通じて現状を把握すれば、現在欠けている点を明確にし、作るべきコンテンツや残すべきページを整理することができるでしょう。全体の企画の説得力も上がるでしょう。

調査の手間を惜しんでいては、成功するサイトは作れないのですね。

というわけで今日のテーマは「リサーチを徹底して行おう」でした。

以上、マイスターでした。