マイスターです。
ここしばらく、「大学webサイトの考え方」というテーマで書かせていただいております。
今日は、「webサイトやwebコンテンツを企画・制作するときには、まずリサーチをじっくり行おう」という話です。
はい、そのままの意味です。
Webサイトというのは、割と簡単に公開してしまえるものですから、ついつい勢いで作り始めてしまうのです。加えて、どんな大学でも大体用意すべきコンテンツは大体同じだと一般的に思われているものですから、なんとなく他大学のサイトを参考にして、内容を適当に企画してしまうのですね。
でも確実に成果を上げるサイトを制作したいのなら、やはりきちんと然るべき調査を行い、論理的に企画していくことが大事です。
そのためには、前段階でのリサーチが欠かせません。
また、サイトができあがった後も、達成すべき成果に向けて順調に進んでいるのかどうか、常に検証していくことが肝要です。
そう、webサイトはとにかく調査、調査、調査! 分析、分析、分析! なのです。
ちゃんとしたサイトを持とうとすると、けっこう手間がかかるものなのですね。
普段のサイト運用における「調査」についてはまた回を改めて書きたいと思いますので、今回は「サイトやコンテンツを制作する時の調査」を考えていきましょう。
もっとも、ゼロから新しいサイトを制作する大学はほとんどないと思いますので、「サイトを全面リニューアルする」という場合で考えます。
イメージしてください。あなたは広報部所属のwebマスターです。
あなたの大学は創設60年目の私立薬科大学。webサイトは、これまで何度かデザインなどを変更しつつ作り上げてきたものが既にあります。これを全面リニューアルするのがあなたの使命です。
達成すべき様々な目標を抱えることになりそうですが、中でも特に、大切なミッションが2つ与えられました。
(1):「薬学教育における本学のブランドを確立することに寄与するサイトとする」
(2):「サイトによって、学生生活を豊かにするための様々な情報を在学生が得られるようにする」
・・・・・・です。どちらもまだ漠然としていますね。
あなたはwebサイトリニューアルの担当者として「どうすればこういったミッションが達成できるか」を、役員の前でプレゼンテーションすることになりました。
説得力ある企画にするためにも、当然、調査をすることになりますね。
さて、どんなことを調べておくといいでしょうか?
色々ありますが、一番重要なのは、「現状を把握する」ための調査です。
全面リニューアルとは言っても、既に何年も運用してきたwebサイトがあるわけです。
このサイトがこれまでどのように機能していたかを調べれば、それは新しいサイトの構成を考える上で大きなヒントになるはずですよね。これを使わない手はありません。
それにwebサイトの場合、全面リニューアルとは良いながら、実際にはそれまで制作してきたページの大半を何かの形で使い回すケースがほとんどです。どんなページを活かしどんなページを捨てるのかを判断する上でも、やはり現状調査は必要です。
【サイトの現状調査には、『量』を測定する方法と、『質』をつぶさに調べる調査がある】
サイトの使われ方を調べようとしたとき、まず行われるのが「アクセスログ解析」でありましょう。
webサイトは、訪れたユーザーの行動をサーバーに記録として残します。それを調べることで、サイトが実際にどう閲覧されていたかがわかります。月間の訪問ユーザー数や、一人あたりの閲覧ページ数、各コンテンツの直帰率などなど、ログから調べられる情報は非常に豊富です。どんな検索キーワードでサイトを訪れた人が多いか、その方々がその後どう行動したかといったことも分かり、とても便利です。
「サイトによって、学生生活を豊かにするための様々な情報を在学生が得られるようにする」というミッションを達成しようと思ったら、こうした調査は欠かせません。
アクセスログ解析は、非常にポピュラーなサイト分析の手法ですので、webマスターの皆様にはなじみ深いかも知れません。
ただ気をつけていただきたいのは、ログ解析ソフトが出した数値を眺めるだけで、サイトを調査・分析した気分になってはいけない、ということです。
「ウチのサイトってどんな風に使われてるんだ?」と上司に聞かれたとき、ログ解析サービスサイトのログインIDとパスワードを渡し、「これで見られますよ」なんて答えたりしていませんか?
それでは分析したことにはなりませんよね。
解析ソフトがはじき出した数値を元にあれこれと仮説を立てたり検証したりして、「見るべき点」をきちんと説明できるようになってこそのアクセスログ解析です。せっかくの解析データですから、絞れるだけ知見を搾り出しましょう。
ところでこうしたログ解析は、言ってみれば「量」の調査です。サイトを訪れた個人個人の行動記録を、量的に解析するわけですから、サイト利用の実態がかなり正確にわかります。
しかしサイトを訪問したユーザーがそれぞれどんな感想を持ったか、といったことまでは、こういった量的な調査だけでは解明できません。
そこで、「質」の面での調査もあわせて行うことをオススメします。
具体的には、サイト上で行うユーザーアンケートや、実際の利用者を呼んでのインタビュー調査などです。実際、企業のwebサイトなどでは年に一回など、定期的にユーザーアンケートを行っているところが少なくありません。そこでいただいたご意見を、サイトの改善に役立てようというわけです。
「しょうがないからいつも使っているけど、実はあのコンテンツは見づらいので何とかして欲しい」といった隠れた不満や要求は、質的な調査によって聞きだしましょう。
大学のサイトには、在学生から企業リクルーターまで、非常に多様なユーザーが訪れます。そういったターゲットごとの意見を比較分析する際にも、こうした調査が役立つでしょう。
この他にもサイトの調査を行うにあたり、押さえておきたいポイントがあります。
それについては明日、続きを書きます。
以上、マイスターでした。