ニュースクリップ[-9/24] 「国立大学の資産も改革対象」ほか

マイスターです。

今日は「一回、どんなものか観てみたい」という動機で、なぜか大相撲を観に行きました。

これまでテレビでもちゃんと取組を観たことはなく、「押し出し」と「寄り切り」ってどう違うの?などという質問をかますくらい競技知識がない人間なのですが、テレビやwebサイトで現在の勝敗状況などを調べて、生まれて初めて行ってきました。
(こんなやつが千秋楽の両国国技館に行ってしまってすみません)

で、↓こんな現場を目撃しました。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060924AT3S2400G24092006.html

奥様と連れ添って枡席に登場、会場は盛り上がっていました。
もし自分も近くの席にいたら、「国立大学は9月入学になるんですか!?」とか質問できたのかな、と一瞬思ったのですが、よくよく考えてみたら枡席の値段は非常に高いので、どっちにしろマイスターには無理でした……。

さて、今日は日曜日ですので、ニュースクリップをお届けします。

国立大学の資産、圧縮の対象に?
■「国立大学の資産も改革対象」(TX Flash NEWS)
http://www.tv-tokyo.co.jp/biz/nms/days/060922/t1.htm
■「資産債務等専門調査会報告(中間整理)のポイント:平成18年9月22日(PDF)」資産(経済財政諮問会議・債務等専門調査会)
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/0922/item1.pdf

経済財政諮問会議の専門調査会がとりまとめた政府の資産と債務の圧縮に関する中間報告で、新たに地方自治体や国立大学などの資産も改革の対象としたことがわかりました。7月に決まった「骨太の方針」では、およそ700兆円ある政府の資産を今後 10年間で140兆円規模で減らすとしています。専門調査会の中間報告では、圧縮すべき資産と債務の対象を、特別会計として保有する国有資産や独立行政法人などに広げ、国立大学や地方自治体についても今後、新たな資産目標を検討するよう求めています。
(TX Flash NEWS記事より)

広く公的部門をとらえ(特別会計、独立行政法人、国立大学法人、地方自治体等を含む)、保有する財産について新たな目標を検討。(経済財政諮問会議資料より)

というわけで、政府の財政立て直しに関連して、「公的部門」である国立大学の資産も、見直しの対象になるようです。
実行されるとなれば、まず経済財政諮問会議と文部科学省との間で調整が行われると思いますが、国立大学の関係者は、今からちょっと身構えておいた方が良いかもしれませんね。

教員組織の再編。
■「『学系』に再編 岩手大の教員組織」(岩手日報)
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2006/m09/d21/NippoNews_7.html

岩手大は21日、教育研究評議会(議長・平山健一学長)を開き、2007年度から教員組織を「講座制」から「学系」に再編する方針を決定する見通しだ。運営交付金、人件費の削減などに伴い、教育研究組織である学部、研究科と教員の所属組織「学系」を分離し、学部横断的な教育・研究指導を充実させる。
(略)
同大は国立大学法人化後、毎年約6000万円の運営交付金が削減された。05年度には大学法人にも公務員と同じ5%の人件費削減策が示され、同大は今後5年間で、教員20人と事務職員25人を削減する方針だ。
今回の再編には、学内から組織が複雑になるなどの指摘もある。斎藤理事は「閉鎖的な学部間の壁を乗り越え、限られた教育・研究資源を有効に活用するなど効果を発揮するだろう。組織再編は、大学が生き残るための最善の道だ」と話す。
(上記記事より)

教育と研究の組織を分けた筑波大学や、教育研究と教員の所属を分けた早稲田大学など、組織構造の改革を行っている大学はいくつかあります。

岩手大学も、独自の組織再編を行うとのこと。その背景にあるのは、運営交付金や人件費の削減です。
どんな組織形態がいいのかは大学によってそれぞれ異なると思いますが、教育・研究効果の向上や、人件費の効率化・合理化を図っていくことは避けられません。

国公立大学は法人化をきっかけに、こういった動きを進めてきておりますが、少子化による受験生減にあえぐ私立大学も事情は似たようなものでしょう。
人員削減などのマイナス部分ばかりに目を向けるのではなく、組織再編によって実現できるプラス面を大きくできるようにしたいものですよね。

大学の地域連携情報を、市の公式サイトに。
■「豊橋市企画課HPに『大学と連携したまちづくり』サイト
http://www.tonichi.net/articledetail.php?artid=13208

豊橋市は、市内にある3大学との連携強化を図るため、市役所企画課ホームページ内に新サイト「大学と連携したまちづくり」を設けた。3大学のホームページと相互リンクできる。
地域振興を図るため大学の知的財産を活用しようと、豊橋市は豊橋技科大、愛大、豊橋創造大とそれぞれ包括協定を結び、産業振興、生涯学習、文化、福祉、まちづくりなどで相互に連携・協力を進めている。
市民大学トラム、図書資料の相互貸借、サマーカレッジ・チャレンジショップなどで、大学と地域が連携したまちづくりワークショップなども開いている。
新サイトは情報の共有化を図ることで、一層の連携強化を図るのが狙い。
(上記記事より)

というわけで豊橋市では、市および各大学の公式webサイト上に、地域と連携についてのページを設けています。

■「大学と連携したまちづくり」(豊橋市)
http://www.city.toyohashi.aichi.jp/kikaku/daigaku/index.html
■「豊橋技術科学大学と地域の情報連携」(豊橋技術科学大学)
http://www.tut.ac.jp/erl/chiikito_daigaku.html
■「愛知大学の地域との連携」(愛知大学)
http://www.aichi-u.ac.jp/chiikirenkei.html
■「豊橋創造大学の地域との連携」(豊橋創造大学)
http://www.sozo.ac.jp/houmonsya/renkei.html

例えば豊橋技術科学大学なら、「教員紹介」、「本学の研究者と研究」、「共同研究技術シーズ情報」、「特許情報システム」、「技術相談」といったコンテンツを用意しています。
そして、それぞれ共通のバナーを用意して、相互にリンクを結んでいるのですね。

市のサイトから市立大学にリンクを張っている例はたくさんありますが、豊橋市のような取り組みは、意外に少ないかも知れません。
大学にとっても、地域連携事業を市に広報してもらえるのはメリットです。大学から提案を持ちかけてみるのも良いかもしれませんね。

エンジニア不足のため、中国の風力発電政策がピンチ?
■「風力発電:エンジニア不足が深刻、大学に学科設置へ」(中国情報局)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0923&f=business_0923_001.shtml

中国では風力発電関連の企業で働くエンジニアが大幅に不足する見通しだ。22日付で新華社が伝えた。
中国で2005年に完成した風力発電プラントの発電能力は合計で50.3万キロワットに達する。国家発展・改革委員会(国家発改委)は2020年までに総発電設備容量を現在の126万キロワットから3000万キロワットへと引き上げる計画だ。
これに伴い風力発電関連の企業では数十万人を雇用する必要があるが、中国で風力発電に関する専門学科を設置しているのは華北電力大学だけ。今年、同学科に入学した大学生は30人で、2010年までに定員を120人にまで増やす予定。このほかにも瀋陽工業大学、北京交通大学、蘭州理工大学などでも専門の学科を設ける準備を進めている。
(略)
しかし現状では、いくつかの大学で専門学科を開設しても、風力発電のエンジニアは到底足りない計算になる。中国政府の風力発電に関する政策が実現するかどうか、予断を許さない。
(上記記事より)

国としての政策方針が決まったものの、それを実現させるための人材育成が追いついていないという報道です。
(機械工学系の学科では流体力学や、電気工学の初歩なども教えていると思うのですが、やはり「風力発電の専門学科」じゃないとダメなのかな? という疑問もわきますけれど……)

新技術に対するニーズが社会の中で高まったとき、それを教えるための教育機関や、そこで教育を受けた人材を活用する就職先をいかに素早く整備するかということは、国家や大学が抱える、重要テーマの一つですよね。

ところで、新技術のニーズが縮小したり変わったりしたときに、一度整備した体制をうまく組み替えられるかどうか、ということも、同時に考えておくことが重要だと思われます。

ここ数年の日本でいうと、情報系学部がそういった問題に直面した例です。ITブームを背景に、いくつもの大学が情報系学部を新設しましたが、できた頃には既にアメリカでITバブルが一通りはじけて、世界の情報産業のビジネスモデルは変わってしまっていました。整備のタイミングが、数年遅かったのですね。
そのため「開設された時点で既にカリキュラムが古い」という事態に陥っている大学が、今でも少なからずあると思います。しかし日本では、一度決まったカリキュラムや教員体制は簡単には変えられないので、最初に読み間違えたら影響は後まで残ってしまいます。

中国では、そのあたりが制度上どうなっているのかわかりませんが、「風力発電を支えるエンジニアを大量に育成するための環境を整備する」ことと同時に、「風力発電より効率の良いエネルギー技術が発見されたときはどうするか」ということも、アタマの片隅で考えておくといいんじゃないかな、と思います。

韓国の大学入試に変化の兆し?
■「学生簿が論述の2倍以上反映 ソウル大06年度定期募集」(東亜日報)
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2006091855508
■「2008学年度、大学入学試験学生簿中心」(innolife.net)
http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=2&ai_id=63156

2006年度の入学生たちが受けた今年1月のソウル大学の定期募集で、学校生活記録簿の成績が論述成績の2倍以上の割合で、合否に影響を与えたことがわかった。
学生簿が与えた影響力は、やや難しかったという評価を受けた昨年の修学能力試験(日本のセンター試験に該当)の影響力と似たような水準だった。
ソウル大入学管理本部は17日、「2006年度の志願者たちの点数分布による選考要素別の影響力を評価した結果、学生簿の成績が論述より2倍以上合否を左右する要素として働いた」と明らかにした。
(東亜日報記事より)

高麗大と延世大、西江大などソウル市内の7つの私大入学処長たちは今日会議を開き、2008学年度大学入試は学生簿中心にするという立場を確認した。7つの私立大入学処長会代表であるヒョン・ソンへ成均館大入学管理処長は、「2008学年度入試で学生簿反映割合を50%以上拡大する事にした」とこのように明らかにした。
(innolife.net記事より)

ソウル大学およびソウル市内の私立大学は、入学志願者の判定に際して、学校生活記録簿の成績を重視するようになってきているとのことです。

・韓流受験戦争の後ろにあるもの ~韓国の大学事情~
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50102792.html

韓国の場合、高校の平準化政策のような独特のシステム(詳細は↑こちらの記事をご参照ください)もありまして、高等教育は、日本以上に色々と複雑な背景を抱えています。

受験競争は、非常に厳しいようです。毎年、日本のセンター試験にあたる「修能試験」の日の様子は、日本のメディアにもしばしば取り上げられますね。

(駅から大学まで受験生をバイクで送迎するボランティア部隊が編成されたり、企業や政府が受験生の移動を気遣って出勤時間をずらしたり、受験会場前に家族や後輩達の大応援団が出現したりと、国を挙げてのすさまじい盛り上がり方を見せるのですね。プレッシャーのあまり、試験日の朝に投身自殺を図る受験生が出てしまったりもしています)

様々な問題が指摘される中、入試の仕組みについては各大学とも、試行錯誤を行っているのでしょう。ただ、同じように大学入試のあり方を模索してはいるけれど、その方向が日本とはまた違うようですね。
学生生活簿が重視されるとなると、また受験のための熾烈な競争がこれまでとは違うところで勃発し、新たな問題を生むおそれもあると思いますが、果たしてどうなのでしょうか。
韓国から、目が離せません。

以上、ちょっと少なめですが、今週のニュースクリップでした。

相撲は、試合そのものも面白いのですが、それを支える様々なシステムも非常に興味深いです。これまでこの競技のことを全然知らなかったので、色々と新鮮でした。

例えば懸賞金のシステム。取組の前に、企業名の入った旗のような懸賞幕が、土俵の周りをぐるぐるとまわるアレです。
相撲の場合、「各取組ごと」に懸賞金のスポンサーがついているので、人気のある力士が誰なのかは、かけられる懸賞の数で一目瞭然です。
(「それなりに強いけど人気がない人」とか、「まだそれほど階級は上位じゃないけど人気があるから懸賞金がどっさり付いている人」とかいるのですね)
広告の仕組みとしては、あまり他に例がないと思います。なかなか面白いです。

この懸賞幕の存在は知っていたのですが、さらに実はこのとき、会場ではスポンサー企業の社名とともに、各企業のコピーが読み上げられていたのですね。これは知りませんでした。
『この取組には、味ひとすじ・お茶漬け海苔の永谷園、いい家建てようタマホーム、から懸賞金が出ています』といった感じです。

「ほぅほぅ、社名だけじゃなくてコピーも放送してくれるのか、面白いな。でも、一試合にいくつも懸賞金がかかったら、読み上げるの大変だな」と思っていたら、実際、なんと50本もの懸賞金がかかっている取組がありました。場内では延々と2~3分くらい、ひたすら企業のコピーが放送されていて、読み上げている方が大変そうでした。
NHKは、「特定団体の広告にあたる内容は絶対に放送しない」というルールを持っているので、テレビではこのあたりの様子はわかりません。
実際に行ってみないとわからんものだよなぁ、と思いつつ、堪能しました。

ちなみにある取組で、「早稲田大学 eスクール」という懸賞幕が土俵の周りを回っていたのを、マイスターは見逃しませんでした。
自分で観に行っておいてこんなこと言うのもなんですが、なかなか渋いところに広告を出してますね、早稲田大学。
まさか大学の宣伝を土俵の上で行うなんて、マイスターも思いつきませんでしたよ。

今週も一週間、本ブログを読んでいただき、ありがとうございました。
明日からも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。

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