修士(政策・メディア)という学位を持つマイスターです。
個人的には気に入っているのですが、どんな内容なのか他人に説明するのには、少々苦労する学位です。「Media」と「Governance」についての知見を駆使して世の中の問題にアプローチする、みたいな意味だと自分では思っているのですが、すぐには理解してもらえません。
っていうか、「せいさくめでぃあ」と口頭で説明すると、「制作メディア」だと思う人が大半です。そりゃそうだよなぁ。
さて今日は、↓こんな話題をご紹介します。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「カタカナ学部:グローバル・メディア、ホスピタリティ…大学で急増 少子化背景に」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2007/04/20070416dde041040073000c.html
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学部や学科の名称にカタカナをつける大学が増えている。一見しただけでは、何を学ぶのか見当が付かないものも。学問の範囲が広がって日本語では表現しにくくなっていることや、少子化を背景に「他大学と差別化を図りたい」との狙いがある。大学全入時代を迎え、カタカナ学部・学科はまだまだ増えそうだ。
(上記記事より)
というわけで、確かに増えているという実感もある、カタカナ学部。
記事では、
○グローバル・メディア・スタディーズ学部(東洋大学)
○異文化コミュニケーション学部(立教大学)
○ホスピタリティ・ツーリズム学部(明海大学)
○シティライフ学部(宇都宮共和大学)
○キャリアデザイン学部(法政大学)
○ライフデザイン学部(東洋大学)
……といった例が紹介されています。
他にどんなカタカナ学部があるか調べてみると……
あれ、もしかして、国立大学にはカタカナ学部って皆無ですか!?
いやいや、マイスターの見逃しかも知れません、どなたか、「ウチは国立だけどカタカナ学部だよ」という方がいらしたら、教えてください。
しかしそれにしても、国立大学はカタカナがあまりお好きでないようです。
公立はというと、
○システムデザイン学部(首都大学東京)
○コンピュータ理工学部(会津大学)
○システム情報学部(公立はこだて未来大学)
○システム科学技術学部(秋田県立大学)
……と、4つありました。全部理工系です。
というか、システムやコンピュータは、日本語に訳すとかえってわかりにくくなりそうですから、やむを得ませんよね。
カタカナが多いのは、やはり圧倒的に私立大学です。
「ビジネス」「キャリア」「マネジメント」「デザイン」「コミュニケーション」「コミュニティ」「グローバル」……このあたりは、見ていると胃にもたれるくらい、たくさんありました。
どうやら私立大学は一般的に、カタカナ学部にあこがれを抱いているようです。
ちょっと長め、もしくは珍しい名称だと思えたのは↓このあたりでしょうか。
○グローバルスタディーズ学部(多摩大学)
○ソーシャルワーク学部(創造学園大学)
○総合リハビリテーション学部(神戸学院大学)
○未来デザイン学部(園田学園女子大学)
○ソフトウェア情報学部(青森大学)
○ファッション造形学部(神戸ファッション造形大学)
○アジア太平洋マネジメント学部(立命館アジア太平洋大学)
○グローバルエンジニアリング学部(工学院大学)
特筆すべきは東京工科大学です。
学部が3つあるのですが、
「メディア学部」
「バイオニクス学部」
「コンピュータサイエンス学部」
と、ぜんぶカタカナ。もはや意地でやっているという感じすらします。
まさにカタカナ大好き大学チャンピオンです。
帝京平成大学も興味深いです。
「現代ライフ学部」
「ヒューマンケア学部」
「健康メディカル学部」
「薬学部」
の4学部で構成されているのですが、なんだかこの4つの名称って、内容が重複しているかのような印象を与えそうです。学外者には、これらの学部名称から内容の違いを瞬時に判断するのは難しいように思うのですが、いかがでしょうか(唯一シンプルな「薬学部」の存在が、事態を余計に混乱させているような気も……ああ悩ましい)。
受験生の皆様は、すぐに違いがわかるのかな……?
さて、このように増殖するカタカナ学部。
いったいどうして増えているのか?
カタカナを使った学部や学科が増えたのは、文部科学省が大学設置基準を緩和した91年以降。大手予備校・河合塾によると、学部名の種類は、91年度の1307に対し、06年度は1915と15年間で約600増えている。神戸悟教育研究部チーフは「学部・学科の名称は学生募集への影響が大きく、他大との差別化を図るという狙いがある。だが、インパクトが大きければいいというわけでもなく、名が体を表さないと逆効果」と話している。
(「カタカナ学部:グローバル・メディア、ホスピタリティ…大学で急増 少子化背景に」(MSN毎日インタラクティブ)より)
……と、冒頭の記事では指摘しています。
もちろん中には、「時代の変化に対応するために、まったく新しい学問領域の創出を目指した結果、カタカナで表現せざるを得なかった」というところも少なからずあるでしょう。
しかしマイスターも、実際のところはやはり「受験生にウケるネーミングを考えた」というのが大きいんだろうな、と想像します。
それ自体は、別に悪いことだとは思いません。「名前を変えたのに中身はまったく変わっていない」というケースはあまり褒められたものではありませんが、でも、ネーミングで勝負するというのも、それはそれで大事です。
ただ、ちょっと心配もあります。
というのは、卒業したときにもらえる学位の名称。いったい、どんな学位名になるのか、ちゃんと考えておいた方が良いと思います。
「学士(○○)」の○○の部分に、学部名がそのまま入ったりする大学も、もしかすると結構あるのかもしれません。
あんまり突飛な名称だと、卒業生が海外に留学しようと思ったときなどに、どんな内容を学んだのか説明に困ることになるかもわかりませんよ。そもそも、その大学でしか発行していないようなマイナーな学位は、余所ではあまり価値のあるものとして評価してもらえない可能性もあります。
そのあたり、ご配慮されているでしょうか。どうぞ入学時だけでなく、卒業後のことも考えてあげてください。
でも新しい学部名というのは、その時代の社会の問題や流行を、ある程度反映させたものですから、調べてみると面白いですね。
時代の空気を見事に反映させた、周囲を唸らせるような秀逸な学部名がありましたら、どなたか教えてください。
以上、マイスターでした。
日本で初めて「カタカナ学部」を設置したのは、芝浦工業大学の「システム工学部」という話もありますが、本当なのでしょうか?
大学院の研究科だと
バイオサイエンス研究科がnaistにあります。
http://bsw3.naist.jp/index.html
筑波にはバイオシステム研究科もありますね