(これまでの記事)
・Enrollment Management のススメ(1):「エンロールメント・マネジメント」とは
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50230391.html
・Enrollment Management のススメ(2):なぜ今、エンロールメント・マネジメントが必要なのか
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50230531.html
・Enrollment Management のススメ(3):日本に足りていない、「学内データの共有」
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50231189.html
エンロールメント・マネジメントについて、上記3本の記事、プラス2本のニュースをご紹介して参りました。
さて、エンロールメント・マネジメントを実施するにあたって、「そもそもアメリカの大学と全然違っているじゃないか!」という部分は、他にもあります。もっとも大きな、根本的な違いです。
それは、スタッフの種類と人数です。
日本の大学職員の分け方に、<大学>と<法人>というものがあります。
例えば私立大学なら、「学校法人」がその運営者ですよね。
「学校法人○○学園」とかいった法人組織があり、その法人が経営する一組織として、「○○大学」があるという構図です。大学だけでなく、付属の高校や中学を系列校として持っていたり、専門学校などを擁していたりする学校法人もありますよね。
したがって「大学職員」には、「大学」に所属して大学に関する業務だけをやっている人と、法人本部に所属して法人全体に関する業務を行っている人がいるわけです。
【「法人」業務の例】
総務、人事、広報、企画、経理、施設管理、(法人情報システム管理)【「大学」業務の例】
教務、学生生活、図書館、学生相談、研究支援、学習支援、学務、学部・学科事務、(教育情報システム管理)
このように、いかにも大学っぽい仕事(企業にはない仕事)は大学管轄の部署が担当し、企業にもあるような、組織を維持運営するための業務は、法人の部署が担当するという具合です。大学教職員にとっては今さらお話しするまでもないことですね。
法人付けの職員であるか、大学付けの職員であるかということは、大学職員同士の自己紹介の基本です(たぶん)。
「いやぁ、私はホウジンなもので、学生さんと接する機会が少ないから寂しいですよ」なんて感じで出てきます。
さて、みなさんの勤務先(もしくは母校)では、この「法人所属の職員」と、「大学所属の職員」の、どちらの人数が多いですか?
人数は…大学の規模にもよりますよね。
単科大学なら、法人と大学が、ほぼ1:1というところもあるでしょう。
大規模な総合大学なら、大学付き職員の割合が増える、のかもしれませんし、付属校などがあれば法人の仕事は増えるかもしれません。
そのあたり、ちゃんとした統計データなどを見たことがないので、マイスターには詳細はわかりません。でも、マイスターが思うに、大学職員の皆様の意識としては、「法人付け職員と大学付け職員は、人数の上ではほぼ対等」というところではないでしょうか。
それはいいのですが、マイスターは転職後、いろいろなセミナーで話を聞いたり、海外の大学のwebサイトを見たりしている中で、「あれっ?」と気づいたことがあります。
それは、どうもアメリカでは、「法人付けのスタッフよりも、大学付けのスタッフの方がはるかに人数が多い」ということです。
もっとも、日本と同じような「法人」「大学」という分け方があるのかどうかは知りません。そもそも、日本の学校法人とは、法人組織のあり方が異なると思いますし。
ただ、日本でいう「法人の業務」と「大学の業務」の比率を見てみると、どうやら、後者の方がずっと多いらしいのです。
1:1どころか、5倍以上の人数差がある大学もあるように思われます。
そもそも、部署の種類が多いです。
女子学生サポートセンターとか、
マイノリティの大学生活を支援するセンターとか、
勉強の仕方を(時間の使い方とか、ノートの取り方とか、かなり基本的なことから)教えてくれるセンターとか、
キャリアサポートセンター(日本の「就職課」よりサービスの幅が広く)とか、
耳慣れない部署がたくさんあります。
そして、それぞれの部署のサービスが手厚いです。
例えば、日本の大学では一般的に、奨学金を扱う部門は学生課などです。学生課の職員が、多様な業務の一つとして奨学金も扱っている、という状況ですね。しかしアメリカの大学では、奨学金に関するプロがいると聞きます。
奨学金に限りません。ひとつひとつのサービスに関する情報が、とにかく充実しているように思います。アメリカの大学のwebサイトを見ていると、
「そんなにキレイにデザインされてはいないけれど、とにかく情報量が多い。新しい情報を、担当者が次々に自分で発信していて、学生さんは最新の情報がいつでもサイトで入手できる」
という場面をよく見かけます。
どう考えても、他の業務をこなしながら、片手間でできるレベルの仕事ではありません。
アメリカの大学のエンロールメント・マネジメントを支えているのは、間違いなく、(日本で言う)「大学業務」に携わっている、大勢のスタッフ達です。
学生さん達をサポートするためのスタッフ層が、非常に厚いのです。
「アメリカの大学では、それぞれの業務の専門家が自分の仕事をしている」「日本に比べて、アドミニストレータの仕事が確立されている」といった話はよく聞きますが、この「人数」の話は、案外、日本では語られていない気がします。
充実したエンロールメント・マネジメントを行うのは、事務作業をこなすだけでカツカツになるような人数ではそもそも無理なのです。
考えてみれば当たり前ですよね。この前提を忘れたまま、「学生サービスの充実」などの理念が一人歩きすることに、自分は危うさを感じるのですが、いかがでしょうか?
以上、マイスターでした。
(お盆の間は、このまま短めで行ってみようかと思えてきました)
そうですね、日米で大きな差がありますね。
私が滞在したコミュニティーカレッジでは
勤務時間が終われば窓口(例外はあります)が締まります。
しかしそれで仕事が滞りなく回っているのです。給料が安いのですが、皆さんそれぞれのプロとして雇われているので仕事に誇りを持っていましたね
そうですね、日米で大きな差がありますね。
私が滞在したコミュニティーカレッジでは
勤務時間が終われば窓口(例外はあります)が締まります。
しかしそれで仕事が滞りなく回っているのです。給料が安いのですが、皆さんそれぞれのプロとして雇われているので仕事に誇りを持っていましたね