慶應義塾大学 「セカンドライフキャンパス」設立 日本の大学で初

マイスターです。

(過去の記事)
・仮想社会の中で、リアルな動きを起こそうとする人々(2006年11月02日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50259424.html
・「Second Life」内にキャンパスを建設する大学、増加中(2007年02月21日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50291733.html

↑以前、これらの記事で、仮想世界で生活するオンラインサービス「Second life」での大学の動きをご紹介しました。

最近では、Second lifeのブームはやや過熱気味であるとか、思ったほどユーザー数は増えていないのではとか、いやいやインターネットだって最初は誰も理解していなかった、とか、批判も含め議論がそこかしこで成されているようです。

マイスターもその後、実際にアバターを作ってsecond life内を飛び回ってみました。確かに、アメリカの大学がたくさん土地を持っていたのですが、非公開なのか、入れないところが大半でした。
(マイスターはまだ操作方法もロクに知らない状態ですので、もしかしたら入れるのかも知れませんが)
で、入れるところは、そんなにおもしろいことをやっていないような気がしました。

そんなsecond lifeですが、それでも今後、何らかのムーブメントを起こす可能性はあると思います。
今はまだ荒削りで、一般ユーザー向けとは言えない部分も多いサービスですけれど、それでも今後の仮想世界の「原型」となる要素は持っているのではないでしょうか。
ちゃんと研究したら、面白いような気はします

というわけで、今日は↓この報道をご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「慶応大学がセカンドライフへ進出」(東京経済 こちらセカンドライフ特派員)
http://www.toyokeizai.net/online/tk/blog/1/2007/07/post_18.html
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7月31日、電通の「バーチャル東京」内に慶応義塾大学が「セカンドライフ・キャンパス」を開設すると発表した。
湘南藤沢キャンパス・SFC研究所の村井純教授、稲蔭正彦教授、金子郁容教授、國領二郎教授らが参加。バーチャルキャンパスの構築・運営は電通グループがバックアップする。

これまで埼玉大学などが研究室レベルでセカンドライフを活用している例はあったが、大学単位での参画は日本初。米国ではハーバード大学をはじめ、多くの大学がセカンドライフに仮想キャンパスを設けているが、慶応大学は、その栄誉ある日本第一号として名乗りを上げることに成功したことになる。

慶応大学がセカンドライフ・キャンパスを置くのは電通が保有する13SIM(85万㎡)のうち実験用SIMを除く12SIM(78万㎡)のうちの 1SIM。バーチャル東京の一部として運営されるため、キャンパスのデザインは、バーチャル東京を監修する水口哲也キューエンタテインメント代表取締役兼 COOが決めていくものと見られる。
なお慶応大学は、バーチャル東京へ進出する企業・団体としても、公表第一号である。もともと電通は7月31日にマスコミ向けにバーチャル東京を大々的にお披露目する予定だったが、8月下旬に延期した経緯がある。慶応大学は、”日本初”の栄誉を得るためにも、この延期を待ちきれなかったようだ。

(上記記事より)

日本語化されたsecond life。電通が「バーチャル東京」という開発プロジェクトを発表していたのですが、慶應義塾大学が、そこにセカンドライフキャンパスを設立するとのことです。

大学として公式にsecond lifeに参入する大学は、日本では初めてです。

では、具体的にsecond lifeではどのような活動を展開していくのでしょうか。
慶應義塾大学と電通によるプレスリリースを見てみます。

■プレスリリース:慶應義塾と電通がセカンドライフ内での共同研究を開始
『慶應義塾セカンドライフキャンパス』で、日本で初めて大学の講義を公開(PDF)」(慶應義塾、電通)
http://www.keio.ac.jp/pressrelease/070731.pdf

1.共同研究の概要
電通がセカンドライフ内に開設する仮想都市空間「バーチャル東京」内に、共同研究拠点「慶應義塾セカンドライフキャンパス」を設置します。キャンパスの土地およびその管理権限は電通から慶應義塾大学SFC 研究所に提供され、研究者グループは、この土地を活用して研究を推進します。
面積はSIM(256×256 メートル、16 エーカー)を一つの単位とし、当面は1 SIM が提供されます。
ここを舞台に、下記の研究を行います。

(1)慶應義塾はセカンドライフキャンパスにおいて、KEIO University SFC Global Campusなどを通じて今まで経験を積んだ遠隔授業の手法をもとに、新しい教育を模索する予定です。
慶應義塾で今までに蓄積された教育映像コンテンツを用い、教育分野におけるセカンドライフの可能性を検証していきます。大学の正規科目の講義のセカンドライフ内での公開は、日本初の試みとなります。

(2)慶應義塾はセカンドライフキャンパスおよびバーチャル東京内において、セカンドライフ内における生活者の行動、および仮想通貨などの経済活動についての研究を行います。
セカンドライフ上で流通する仮想通貨「リンデンドル」などを用い、ゲーム内の仮想経済のメカニズム、生活者の行動分析、法的・倫理的課題などについて研究を行うほか、セカンドライフの技術的側面に関して、開発元のリンデンラボ社と連携しつつ研究を行います。

2.研究体制
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス・SFC 研究所から村井純 環境情報学部教授、稲蔭正彦 環境情報学部教授、金子郁容 政策・メディア研究科教授、國領二郎 総合政策学部教授らをはじめとする、インターネット、デジタルメディア、これらの新技術の社会活用を専門とする研究者が参加します。
電通はマーケティング部門、メディア・コンテンツ部門が共同研究に参加するほか、電通グループ各社からも協力を得てバーチャルキャンパスの構築・運営にあたり支援を行います。

(上記リンクより)

というわけで、ざっくり言うと遠隔教育の展開と、仮想社会の研究の二種類ですね。

慶應義塾大学は、↓こんなサイトで、これまで講義の映像を無料配信していきました。

■「KEIO University SFC Global Campus」(慶應義塾大学)
http://gc.sfc.keio.ac.jp/

まずは、ここに蓄積された映像をそのままsecond life内で配信しようということのようです。
まだ、とりあえずできることからやってみるか、という段階なのでしょう。

今後、どのような展開を見せるのでしょうか。
慶應の取り組みが何らかの成果を上げたなら、他大学もこぞって参入したりするのでしょうか。
違ったアプローチでsecond lifeに進出するところが出てきても、面白いかもしれません。

以上、マイスターでした。