信州大学が、地元CATVに専門チャンネル開設

マイスターです。

・コミュニティ・ラジオでコンテンツを放送する、京都の大学達
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50232988.html

先日、↑こんな記事を書きました。この中で、

全国から学生を集める大学はもちろんありますが、それでもある程度、大学のステークホルダー(受験生含む)は特定地域に偏っているものです。大学の予算規模を考えると、全国マスメディアでアピールするより、地域メディアを使った方が効果的だという場面は、あるはずです。
(略)地域のコミュニティ・ラジオというのは、その意味では、とてもコストパフォーマンスの高いメディアの一つであるような気がします。
ラジオ番組は制作費が安いので比較的容易にコンテンツを制作できますし、ネット配信やpod castingといった方法で流通させるのも、他のメディアに比べれば簡単です。

…といったことを申し上げました。

そしたら今度は、「ローカルケーブルテレビに専門チャンネルを持つ」という大学が現れましたので、早速ご紹介したいと思います!

【教育関連ニュース】—————————————–

■「信州大学、CATVに専門チャンネル・10月から放送」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20060824c3b2404424.html
■「『信州大学テレビ』まもなくスタート! 2006/08/24」(信州大学)
http://160.252.69.13/news/htm/00290.htm

・「キャンパス発!地域に拡がる『知』の翼 信州大学テレビ(SUTV)」(信州大学)
http://www.shinshu-u.ac.jp/tv/index.html

・テレビ松本
http://www.tvm.co.jp/
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信州大学がケーブルテレビ(CATV)会社のテレビ松本(長野県松本市、佐藤浩市社長)から1チャンネルを借り受け、10月1日からデジタルテレビ放送を始める。地域への広報・情報発信を強化するとともに、情報リテラシー(活用能力)教育に生かす狙いだ。放送・映像メディアの制作に携わる人材を育成する専門大学院の開設も将来構想にあがっている。
名称は「信州大学テレビ」(SUTV)。信大がテレビ松本に年間120万円を払って1チャンネルを専有し、独自の番組を放送する。
放送時間は毎日午前10時―午後11時(日曜は午後10時まで)。当面、留学生の生活を追ったドキュメンタリーや飲食店などを紹介する情報番組、公開講座、バラエティーなど30番組を放送する。無料情報誌を発行するサークルや人文学部のゼミなど3つの学生グループが番組の企画・制作を担当した。
(上記記事より)

はい、信州大学の取り組みです。地元のケーブルテレビ局「テレビ松本」から大学専用のチャンネルを借りて、放送を始めるとのこと。

「私立大と比べて、国立大の広報・PRは遅れている」というのは過去の話になってきているなぁと、最近はよく感じます。旧帝大を始め、広報に力を入れる国立大学が増えてきていますよね。
今回の信州大学も、長野県内の4市町村に計7つのキャンパスを持つ国立大学です。地元密着でありながら、広域にキャンパスを展開しているという点がユニークですね。
このような地元密着型の国立大学が、ローカルCATVにチャンネルを持つというのは、様々な可能性を秘めた取り組みであるように思います。非常に興味深いです。

上記の記事に

当面、留学生の生活を追ったドキュメンタリーや飲食店などを紹介する情報番組、公開講座、バラエティーなど30番組を放送する。

とありますね。ちゃんとテレビ用のコンテンツを、毎日13時間分制作し、放送していくわけですから、なかなか大変です。信州大学のwebサイトにも、番組の情報がちょっとだけ紹介されていました↓。

【主な番組内容】

○大学トピックス・イベント情報
○生涯教育番組(授業公開、出前講座、公開講座)
○病院情報(医学部附属病院からのお知らせ、医療関係情報、駐車場状況)
○教員への取材番組(教育や研究など)
○学生制作のバラエティ、ドキュメンタリー番組
○市民の相談コーナー(地域や暮らし、健康にかかわる疑問を専門家が答えます)
○その他、信州大学のさまざまな施設や活動の紹介など
※番組表や番組内容はこのWEBサイトを通して公開します
信州大学webサイトより)

地元のローカルCATVで放送する以上、当然のことではありますが、「地域に対する情報発信」の姿勢が非常に鮮明です。ローカルCATVにはよくあるのですが、どうやら生活者情報がふんだんに盛り込まれることになりそうですね。

この「生活者情報」が、大学がローカルCATVにチャンネルを持つことの、大きな意義のひとつだとマイスターは思います。

大学病院の混雑情報や、地域や暮らしに関する疑問に答えるコンテンツなどは、その地域に住んでいる人々が、日々の生活の中で自然に見てくれる情報ですから、ある一定の住民層には、大きな価値があるのです。

病院の開院時間前には、その日の病院の診療情報が住民によって視聴されるでしょう。リアルタイムの映像で、担当医の情報や、混雑状況を知っておけるというのは、住民にとっては便利です。
こどもの日や文化の日などの祝日には、大学で何かやっていないかと、イベント情報を確認する方も出てくるでしょう。webサイトではなかなか、イベントの様子までは伝えられないものですが、映像で宣伝すれば、興味を持つ方もいるかも知れません。
学生による商店街紹介コンテンツ、なんてのもおもしろそうです。その日のお買い得情報を、学生レポーターに紹介してもらいましょう。

番組の作り方によっては、「毎日、決まった時間に必ず見る」という住民層を作り出すことだってできるかも知れません。

つまり、「地域住民の生活の中に、大学の存在が自然に入り込んでいる」という状況を作り出すことができるのです。

マイスターが思うに、大学がチャンネルを持つのであれば、地域生活に密着していればしているほど、住民に見てもらえると思います。
教員による講義コンテンツや、大学の宣伝コンテンツなどももちろん重要ですが、下手をすると、NHK教育以上に堅い構成になってしまいます。「大学らしさ」を過度に気にすると、「おじいちゃんと大学関係者以外、誰も見ないチャンネル」になってしまいかねません。
日本の大学は、しばしば「良い内容なんだから、見てくれる人は(きっと)ほっといても見てくれるでしょ」「立派なことをやっているんだから、知られなくてもいいでしょ」という思考に陥りがちです。でも、せっかく作るんだったらそれはもったいないですよね。今回のようにCATVで番組を放送するという場合でも、それは同じ。やっぱりなるべく見てもらえた方がいいと思います。

信州大学の場合、学生制作のバラエティ番組なども放送されるようですが、これは、番組の質がすべてですから、結構大きな賭です。いくら「学生さんが制作した」と言っても、おもしろくなければ学外の人間は誰も見てくれません。視聴者にとっては、教育効果が高かろうが低かろうが、関係ないのです。
従って視聴者を確保するためには、他の手もあわせて用意しておいた方がいいように思われます。そのときに、上述したような「生活者情報」というのは、手堅いんじゃないかなぁと思います。制作コストもあんまりかかりませんし、毎回アイディアをひねり出す必要もありません。

そのほかにも、例えば講義コンテンツを流すなら、専門的な内容だけでなく、語学講座なども織り交ぜてみるなど、あれこれ工夫されてみると良いかもしれませんね。
バランスを取りながら、「住民に見てもらえて、かつ、大学のPRにもなっているチャンネル」を目指しましょう

最後に一点。

信大がテレビ松本に年間120万円を払って1チャンネルを専有し、独自の番組を放送する。

この値段、破格の安さです。大学は公的な存在であるということで、こういった値段設定がなされたのでしょうね。テレビ松本にとっては、「パブリック・チャンネル」という位置づけになるのだと思います。

こういうことができるのは、社会的に中立な存在である、大学の強みですよね。
その気になれば、様々なメディアの協力を取り付けて、色々とおもしろい取り組みができるのではないでしょうか。

他の大学さんも、CATV、いかがですか?
番組を制作し続けるのは、非常に大変だと思いますが、教育効果、広報効果など、得られるものも大きいと思いますよ。

以上、マイスターでした。