お、あなたのところにも届きますかそうですか。
しかしあれですよ、最初見た時、ブログであれこれ書いたことに対してご本人から苦情のメールが来たのかと思い、ビクッとしたではないですか。
白石さんをこんな風に利用してはいけません!
さて、師走ということで全国の学校があわただしくなる中、今日も12月最初のニュースクリップをお届けします。
【教育関連ニュース】——————————————–
■「三位一体改革・補助金削減、総額6540億円に」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20051130ur21.htm
■「三位一体改革:義務教育費「国庫負担」明記--政府・与党合意文書」(毎日新聞 MSNニュース掲載)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/archive/news/2005/11/30/20051130dde001010009000c.html
■「自民党、三位一体改革を了承・補助金削減6540億円に」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20051130AT1E3000430112005.html
■「教育を考える:三位一体 生活保護 削減せず 各省庁譲歩」(産経web)
http://www.sankei.co.jp/databox/kyoiku/etc/051130-2etc.html
■「税源移譲額3兆円超す 三位一体改革の政府・与党合意案」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/politics/update/1130/005.html
■「児童手当、小6拡大3400億円 負担増額分厚労省試算」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200512030355.html
■「教育を考える:『3歳児神話』に根拠あり 乳幼児期に母性大切 文科省検討委が報告書」(産経web)
http://www.sankei.co.jp/databox/kyoiku/etc/051128-4etc.html
■「深刻な大学生の学力低下 教員の6割問題視」(Benesse教育情報サイト)
http://benesse.jp/blog/1/3/98.html
■「IC学生証の代わりに『フェリカICチップ搭載携帯電話』で試験運用」(札幌大学 キャンパスICカードプロジェクト)
http://www.sapporo-u.ac.jp/whats-new/051118_keitai_pi.pdf
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今週はご覧の通り、義務教育費の国庫負担金額の扱いに決着がついたということで、各メディアはこぞってその内容を報道しました。
義務教育費国庫負担金、負担率引き下げで合意です。
「三位一体の改革」の合意文書内容が明らかになりました。
文教分野に関する、各紙の報道内容をまとめると以下の通り。
○盲、ろう、養護学校も含めた公立小中学校教諭の給与のうち国が負担する義務教育費国庫負担金の負担率を、2分の1から3分の1に引き下げ
○義務教育費国庫負担金のあり方については、「義務教育制度の根幹を維持し、国庫負担制度を堅持する」と明記
○今後、与党内で義務教育や高等教育の在り方について「国、都道府県、市町村の役割について検討する」と記述
○各省庁あわせての最終的な補助金削減額は、目標を240億円上回る6540億円。
地方に移譲する税源額は6100億円で、昨年までの移譲分と合わせ、総額は3兆90億円となる
というわけで、<地方&政府 VS 文部科学省&自民党文教族(&中教審?)>という構図でここ数ヶ月の間続いていた綱引きは、双方痛み分けのような形でとりあえず決着しました。
ただ、地方には制度の堅持に対して「国による干渉の維持だ」と反発する声もあるようで、今後も負担額のさらなる削減や、制度の廃止を求めていく動きは見られるかも知れません。
児童手当、充実させると当然予算が必要になりますが…
与党が少子化対策として打ち出している、児童手当の拡充について、厚生労働省が必要な予算の試算結果を出しました。
-現在の児童手当は0歳から小学校3年生までに、第1・2子に月額5000円、第3子以降に1万円を支給。サラリーマンの標準世帯で年収780万円の所得制限がある。
公明党はこれを6年生までに引き上げ、所得制限を年収1000万円まで緩和することを求めている。試算では、その場合、給付に必要な財源は6400億円から9800億円に膨らむとしている。自民党内には3歳までの支給額を増やすよう求める声がある。試算では、現行の1.5倍にした場合で1100億円、2倍にした場合は2200億円が新たに必要としている。-
そりゃ、予算も必要になるわい。
ときに、もちろんこうした制度が充実していないよりは、少しでももらえた方がありがたいでしょうが、これを実現させるとどの程度少子化を食い止める効果が生まれるのかな?
そのあたりの根拠が書かれていないのが気がかりです。
「3歳児神話」に根拠…あるの?
「子供は三歳くらいまでは家庭で母親の手で育てなければ、その後の成長に悪影響を及ぼす」という考え方、聞いたことがあるかも知れません。
よく、AERAあたりで「女性の自立の障害となる俗説」みたいに批判されているこうした考え方を、「三歳児神話」なんて言います。
例えば、キャリアウーマンが出産し、産休を終えてさぁ職場復帰だというときに、周囲の専業主婦(自分の母や義母含む)から、
「3歳まではママがいてあげなきゃかわいそうよ。何を考えているの? 子供より仕事が大事なの?」
なんて言われてしまうわけですね。
で、子供がようやく3歳になる頃には、職場復帰が実質不可能になっているというわけです。
(それでなくても日本では、妊娠が決まった時点で職場を辞める人が半数以上だと言われています)
こうしたケースでは、何故かパパは何も言われないというのがポイントです。
この報告書についての記事もそうで、「母親をはじめとした家族からの愛情を受け」と、父親ではなく母親が子育ての中心になるのが理想としています。
検討会委員の一人は著書で、「少なくとも生後八歳くらいまでは、母親は家にいること! そして適切で豊かな愛情を注ぎ続けてほしい」とまで述べているそうです。
小さいうちに家族の愛情を受ける重要性はいいとして、それが母親でないといけない理由が気になります。
なんだか科学っぽく見えますが、そのへんは男性中心社会が求める「理想の母親像」というあいまいなイメージが、ハバを効かせているような気がしないでもありません。
つーか、この「三歳児神話」が生きている限り、男性が育休を取得しようとしても「奥さんが家にいればいいじゃないか」と言われてしまいそう。
また、三歳児神話に基づくと、「成長に悪影響」を及ぼした子供は日本よりもヨーロッパなどに多いと言うことになるわけですが、そのあたりどうなのでしょうかね。
結局のところ、仮に母親が子供の成長に重要だとしても「父親が働き、母親が家で子を育てる」というモデル通りにいかない家族が増えている以上、「母親は家にいなさい」というのは、あまり建設できてはないんじゃないでしょうかね。
本当に求められているのは、「どうやったら、母親の自己実現を最大限に支援しながら、かつ子供がすこやかに成長していく社会を作るか」ではないでしょうか。
脳科学の成果は参考にはなりますが、それに100%従うことが、理想の社会づくりにつながるわけではないわけでしょう。
そのあたりが、こうした報道でねじ曲げられてしまわないかと心配です。
大学生の学力低下、やっぱり入試科目の多様化も一因?
以前のニュースクリップの中でもご紹介した調査結果についてです。
「所属学部で学力低下がどれだけ問題になっているか」などの質問に、教員が答えたものです。
理工系学部で学力低下の指摘が多いようですが、これは別に「文系の学力が維持されている」ということではないみたいです。
理工系の場合、数学や物理などの学力が、そのまま大学の授業の基盤としてダイレクトに求められるからだと思われます。
なお柳井晴夫・大学入試センター教授らの調査結果から、大学教員が痛感する学力低下の内容では、多い順に
(1)自主的に課題に取り組む意欲が低い
(2)論理的に考え表現する力が弱い
(3)日本語力、基礎科目の理解が不十分
などの背景があると明らかになっているようです。
(1)と(2)については、もともと日本の初等中等教育でほとんどトレーニングされていないものですから、無理もありません。
(3)については、受験指導に偏った高校までの教育を見直さないと解決しないような気が、個人的にはしますが、どうでしょうか。
札幌大学、おサイフケータイをキャンパスライフの支援ツールに使う実験を開始です。
札幌大学の意欲的なプロジェクトです。
既にこの4月から、ソニーの非接触形ICチップ「Felica」を搭載した学生証を用いた「IC出欠確認システム」の運用を開始しており、その情報を総合学生支援システム「アイトス」に蓄積して活かす試みを札幌大学では行っています。
学生は個人ポータルから自分の授業での出欠確認ができ、教員も学生の出欠把握が迅速にできる、とのこと。
修学指導・就職指導にも活用されているようです。
情報ネットワークを、教育の質向上のために最大限に活用する姿勢は素晴らしいです。
そんな情報活用先進キャンパスで、今度は学生証の代わりにFeLicaICチップ搭載携帯電話、いわゆる「おサイフケータイ」を使う試みを始めたようです。
これまでの教学サポートだけでなく、電子マネー機能を加えることで、学食、学内自動販売機や証明書自動発行機のキャッシュレス化をはかるということのようです。
今はまだ一部で実証実験をしている段階で、実際に全学的に導入する際には、他機種の携帯電話を使っている学生でも不都合なく過ごせるような施策が必要でしょう。
逆に言うと、こうした取り組みには、携帯キャリア企業が喜んで協力してくれるはずです。
このプロジェクトの結果「在学中はDoCoMoを持っている方が便利」と学生が思うようになったら、NTT DoCoMoにとってはプラスの効果が非常に大きいわけですよね。
学生の間、おサイフケータイの便利さに馴染んだ学生は、卒業後もそれを使い続けるという目算も成り立ちます。
ここは他大学でもひとつ、DoCoMoの他、auやVodafoneなどを巻き込んで実験をしてみてはいかがでしょうか?
うまくすると、企業の資金を使って、キャンパス機能の高度化が図れるかも知れませんよ。
以上、今週のニュースクリップでした。
というわけで、今週も1週間ありがとうございました、のマイスターでした。