AO入学者のためのセンター試験になるか? NPOによる全国統一学力試験

マイスターです。

受験生の時、センター試験を受けました。
マイスターが受けた時は、ある教科の平均点が例年より低くて、得点修正をするとかしないとかいった話を聞きました。(その時は結局、修正は一切されませんでした)

センター試験は「どの科目も、平均点が60点になるような試験」という前提で実施されていますよね。とは言え、毎回そんなにキレイに平均点が揃うわけもないので、どの科目が有利とか不利とか、毎年批判は出ているようです。問題を作成する方も大変だろうな、と思います。

さて、そんなセンター試験に関係がありそうな記事です。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「NPOの全国統一学力試験 道内9大学・短大が活用 合否、推薦の判断材料に」(北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060720&j=0046&k=200607206558
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特定非営利活動法人(NPO法人)の教育制度研究フォーラム(東京)が十月、第一回全国統一学力判定試験を実施し、道内では九つの大学、短大が来年度入試の判定材料として活用する。推薦入試などで受験生の自己PRに使う例が大半で、大学入試の多様化が今後さらに進みそうだ。

試験は、センター試験に比べ出題範囲を限定して、高校卒業程度のより基礎的な学習内容の理解度などを判定する。平均的学力の高校三年生が受験した場合、六割の得点率が期待できる内容で、センター試験と高卒程度認定試験(旧大検)の中間レベルという。

教科は国語、数学、英語、理科、社会の五つで、マークシート方式で解答する。何教科を受験するかは自由。昨秋に試験的に実施し、全国で約四千八百人が受験した。

本格実施となる今回は、全国で大学や短大など約百二十校が来年度の入試に同試験の結果を利用する。うち道内で利用するのは小樽短大、専修道短大、千歳科技大、函館大、道情報大、道東海大、道都大、北見工大、公立はこだて未来大。

このうち小樽短大は、同試験の結果を合否判断にも使う。難易度がセンター試験よりも低いことから「難関校以外を目指す受験生にとって試験が受けやすく、大学にとっては受験生確保にもつながる」とみている。

その他の八大学・短大は、推薦入試や、受験生の能力、意欲を面接などで総合的に評価するアドミッション・オフィス(AO)入試の自己PRの材料として参考にする予定だ。

同法人は「約三万人の受験者数を目標に準備、PRを進めたい」としている。試験は十月一日に、札幌、旭川、釧路の道内三カ所を含む全国六十一カ所で実施する予定。
(上記記事より)

というわけで、センター試験の競合(?)になりそうな試験が登場しました。

■全国統一学力判定試験
http://www.to-itsu55.org/

国家的に実施される大学入試センター試験と異なり、こちらはとあるNPOが主催する試験です。

■「特定非営利活動法人 教育制度研究フォーラム」
http://www.kyoiku-npo.org/index.html

こちらのNPO、役員は↓こんな顔ぶれです。

会長:中島 章夫 [元文部省大臣官房審議官] 理事長:織田村 佳之 [元全国高等学校長協会理事] 理事:富田 和巳 [大阪総合医学教育研究会副理事長] 理事:田賀谷 清三 [ウィザス高等学校校長・元全日本中学校長会副会長] 理事:明田 英治 [ベネッセコーポレーション 文教カンパニー・カンパニープレジデント ] 理事:生駒 富男 [ウィザス 常務取締役] (「役員紹介」より)

株式会社の方が理事の半分を占めているという点は特徴的ですね。

さて、この試験の内容はというと……。

試験は、センター試験に比べ出題範囲を限定して、高校卒業程度のより基礎的な学習内容の理解度などを判定する。平均的学力の高校三年生が受験した場合、六割の得点率が期待できる内容で、センター試験と高卒程度認定試験(旧大検)の中間レベルという。

「基礎学力が身に付いているかどうかを判定する試験」という主旨だということで、センター試験よりも難易度を落としているそうです。

(平均点が6割というのは、センター試験とあんまり変わらない定義に思えますが、内容は易しくなっています。後述しますが、この事件は10月に実施されますので、その時点の高校三年生が6割正解できるということなんだと思います。)

「全国統一学力判定試験」webサイトのトップページには、この試験の結果を導入している高等教育機関の一覧が出ています。
7月20日現在の情報では、「全国124大学・短大・専門学校で利用・活用されます」とのことですから、初年度としては、異例の注目度だと言えましょう。

Q.高校の認知状況は?
A.平成17年度の試験については、全国の高校にご案内を送付いたしました。また、6月の新聞報道等を受け、大半の高校には認知いただいております。(当初は、団体受験希望校は100校を超えました。)今後、(株)ベネッセ・コーポレーションの高校への普及活動等を通じて、飛躍的に認知は高まるものと考えられます。

ベネッセも、PRに力を入れているようですね。

基礎学力試験という点では、既にセンター試験があるわけです。
にもかかわらず、この「全国統一学力判定試験」がこれだけ注目されるのには、それなりの理由があると考えるのが自然です。

マイスターなりに、こぞって大学がこの試験の導入を決める理由を考えてみました。
やはり一番大きいのは、【AO入試との相性が非常に良い】という点ではないでしょうか。

<特徴>

●この試験で大学・短大・専門学校にて学ぶに必要な一定学力を判定した後、大学個々で真に必要とする特定の能力(意欲や特定科目の学力など)による選考が可能となる。
●AO入試や推薦入試とのマッチングを想定して試験時期を定めている。
「概要 当試験の背景・目的(利用学校用)」より)

この統一試験のwebサイトでは、このように特徴がアピールされています。
「AO入試や推薦入試とのマッチングを想定して試験時期を定めている」

そう、実はこの試験、
試験実施日が10月1日なんです。
この背景には、各校が導入している「AO入試」があるわけです。

どの大学も今や、AO入試を行っています。
そしてその際、面接やプレゼンテーションだけではなく、「基礎学力調査」のような形で筆記試験を課しているところが、少なくありません。

今回の学力試験は、
「基礎学力の有無を問う」という内容も、
「10月に実施」というタイミングも、
AO入試の中で取り入れやすいようにできているのです。

というより、AO入試が普及している実態を受けて、この統一試験が開発されたというのが正確なのかもしれません。

つまり、世の中でAOによる入学試験が増えれば増えるほど、この試験の顧客も増えていく可能性があるということです。民間企業が入っているだけあって、ビジネスとして巧くできていると思います。AO入試拡大の現状を見る限り、確実にこの試験へのニーズは、増大していくことでしょう。
センター試験ではなく、こちらの試験に照準を合わせた学習を進める生徒も、一定の割合で出てくるのではないかと思います、

細かく見ていくと、さらに色々な特徴があると思います。
マイスターもあれこれと考えてみたのですが、結局、この試験が良いのか悪いのかは、「それぞれの大学の考え方次第」なんだろうと思います。
自分達の入試方針に合うと判断すれば利用するでしょうし、合わないと思えば利用しない、ただそれだけのことなのかな、と思います。
(というわけで、本日はちょっと短めで終わります)

AO入試全盛の中で登場したこの新たな統一試験。果たして、どのくらい普及していくのでしょうか。

以上、マイスターでした。