マイスターです。
この4月から「准教授」「助教」という新ポストが導入されたのは、皆様もご存じだと思います。教授のサポートとして位置づけられていた助教授や助手を独立した研究者、教育者として育成しようというのが主旨です。
新しい学校教育法の
第58条6 教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
第58条7 准教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
第58条8 助教は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。(上記記事より)
とあります。
が、実際には機械的に「助教授→准教授」と振り替えただけだったりします。
「特に優れた」とか「優れた」とかいう記述の意味って何!?
……なんて批判の声も、ちらほら聞かれます。
そんな中、ちょっと興味深い報道を見つけました。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「上位教授職、東北大が導入へ…世界のトップ30目指し」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070405ic22.htm
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東北大は5日、10年後に大学の総合評価で世界トップ30位内の大学を実現するため、独自の教員制度を来年度導入すると発表した。
教育や研究、社会貢献で先導的な役割を担っている教授を「フェロー教授」に、国際的影響力のある優れた教授を「ユニバーシティ・プロフェッサー」に、それぞれ任命する。
これらの新しい教授職は、上位の教授として位置づけ、給料もアップ。ユニバーシティ・プロフェッサーは63歳定年制の適用も除外するなど、待遇面でも既存の教授と差を付ける。いったん就任すると定年まで身分が保障される教授職に競争原理を導入し、研究や教育の活性化を図るのが狙いだ。
このほか、在職中に世界的な研究を行って定年を迎えた教授を「特務教授」として採用し、教養教育を担当させる。
(上記記事より)
「教授」よりも上のポストを新設するという、新手の(?)姿勢を打ち出したのは、東北大学です。
(過去の関連記事)
・用語解説「特任教授」とは?(2005年11月18日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50096469.html
↑以前、「特任教授」という、たまに大学が設けている特別ポストのことを調べてご紹介したことがありました。特任教授というのは大学によって扱いが様々で、定年が延長されるだけの名誉職のような意味合いであったり、任期付きなだけで普通の教授とあまり位置づけが変わらなかったりします(詳細は上記のリンクをご参照ください)。
今回の東北大学の「フェロー教授」や「ユニバーシティ・プロフェッサー」は、大学の戦略的意図を感じさせます。
常に適度な競争意識が働くよう、教員組織を活性化したい。けど、アメリカのテニュア制度のようなシステムは、既存の教員への兼ね合いもあって採用できない。そこで、より上位のポストを設けることで、競争意識を高めようと考えた……のかなぁ、なんて勝手に想像します。
研究で成果を上げた教員に教養教区を担当させる「特務教授」の制度も、日本ではユニークです。
アメリカの伝統ある小さなリベラルアーツ大学にいくと、かつて世界的な研究功績をあげたベテラン教員が、教育に力を注いでいたりすると聞きますが、そのような感じでしょうか。
(もしかすると、「研究ばかりに力を入れていて、教育がおろそかなのでは」という批判をかわす狙いも、多少はあるのかも知れません)
それにしても東北大学は、「世界レベルの研究大学」という点を意識しているのか、ここ数年、アグレッシブな動きが多いように感じます。
(過去の関連記事)
・東北大学が構想するスーパー大学院(2006年04月14日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50181973.html
・東北大、国際学会対策として、「神田外語大から講師を呼んで」英語特訓(2007年01月17日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50282016.html
ブレイクスルーを目指して、けっこう大胆な変化を続けているような気がします。
こういった改革が今後、どのように花開くのか。とても気になります。
以上、マイスターでした。