若手職員のモチベーションを維持し高めるには、どうすればいいか

人生で、今が一番、楽しく勉強できている気がするマイスターです。

学びに対するモチベーションは、これまでの人生で最高です。
大学院生の時より、学習に対する意欲が生まれている気がします。
それを、仕事へのモチベーションにつなげてます。

ところで、「モチベーション」って、ここ10年くらいの間に一気に普及した言葉のような気がするんですが、どう思われますか?

「動機」とか「やる気」って意味ですよね。モチベーション。
こうした言葉が社会の中で良く使われるようになったというのは、興味深いことだと思うんです。
かつては動機がなくても就職したり、働いたり、そのまま定年を迎えたりできたのに、今はそれがないと生きていけない社会になったってことのようで。

ちなみに話はズレますが、サッカーの解説でも、「選手のモチベーション維持が課題ですね」とか言ってますが、サッカーの場合は「根性」「気合い」「精神力」と意味が同じな気がします。
「試合後半になっても、選手の気合いを下げないことが課題ですね」
っていうと、なんだか精神論だけみたいで微妙な感じなのに、モチベーションって言うと技術の問題のように聞こえるから不思議です。

昨日は、情熱を燃やす若手勉強グループの紹介をしました。

そこで今日は、彼らのような若いスタッフのやる気の炎をどうやったら消さずに維持できるか、管理職クラスの皆様と一緒に考えたいと思います。

【学校経営に役立つネタ】——————————————–

■「2010年の経営戦略は“働くモチベーションの再生”がカギ」(株式会社野村総合研究所)
http://www.nri.co.jp/news/2005/051205.html
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NRI(野村総研)のレポート。

上場企業の20~30代の正社員を対象に、インターネット上で実施した「仕事に対するモチベーションに関する調査」の分析結果です。

「75%が現在の仕事に無気力感、約半数が潜在的な転職志願」なんて見出しがついてますね。

新社会人達が就職後1~2年くらいで辞めてしまうというのが、日本社会の中で問題視されていますが、そうした背景には、モチベーション不足という問題があるのではないかとNRIは言いたいのでしょう。
んで、組織を強くするためには、いかにモチベーションを維持し、高めるのかが重要なんだとしているわけです。

年配の方なら、

「何を甘いこと言っとるんだ!」

と憤慨するかも知れません。
社会人である以上、やる気を出して働くのは当然のことで、そんなことは仕事を辞める理由にならないと。
それは確かに正しい。

でも、社会も変わっているのです。
オジサン達の就業感が通じないのにも、理由はあります。

まず、現代日本は、「とりあえずどんな仕事をしても、食ってはいける社会」なのです。
下流社会 新たな階層集団の出現」なんて本が売れていますが、年収300万円でも、生きてはいけます。
フリーターでも、とりあえず死にません。

「まっとうに生きること=正社員になること」

だった時代とは、環境がかなり違っています。
自分の能力に自信のある若者が、かえってすぐ辞めたりします。

また、そもそも現代は「正社員になること=安泰」ではありません。

今の20代は、バブル崩壊後に大学生活を送った世代です。

「大企業でもつぶれる!」
「終身雇用を信じるな!頼れるのは自分だけだ!」
「実力主義の会社に入れ!」

といったメッセージを、メディアを通じて浴び続けた世代です。
終身雇用だの年功序列だのに、懐疑的な人が多いと思います。

「雇用があること=働くモチベーション」

という構図が、彼らの中では必ずしも成立しないのだと思います。

ついでに、よく引用される理屈も一つご紹介しておきましょう。

マズローの「欲求5段階説」なんて呼ばれている話です。

・「人格の成長:欲求の階層(マズロー)」(札幌太田病院)
http://www.sapporo-ohta.or.jp/ohta/N/N-1.htm

人間の求めるものは、階層構造になっているという説です。

水や食料などの根本的な欲求が満たされてくると、次は安全と安定を求め始める。
これらは、生物としての基本的欲求です。
それが満たされてくると、今後は愛情や、「いずこかの集団に属したい」という欲求が生まれる。
このように、下位の欲求の上に上位の欲求があり、人間は徐々に上の欲求を満たそうとするってわけです。

その上に来る「自尊心」「他者による尊敬」は、かなり高いレベルの欲求です。
最も高い次元の欲求は、「自己実現」や「意味」「楽しみ」など。
これらは、成長欲求なんて呼ばれます。

人間は、こうして、より高い次元の欲求を満たそうとする生き物なのだというのが、マズローさんの説なわけですねー。

何が言いたいかというと、つまり今の20代が求めているのは、自尊心や自己実現などの成長欲求なんじゃないかってことです。
基本的欲求は生まれた頃から満たされているし、今後も失うことは無さそうなのですから。

昔ながらの働き方として、滅私奉公で組織に尽くすことが、悪いことだとは思いません。
しかし、仕事に対して、自己実現などの目的を求めることも、同じように悪いことではないはずです。

ただ、バブル崩壊後に就職活動を経験している若者達には、後者のタイプが少なからず混じっているということを、管理職の方々には知っておいて欲しいのです。

さて、冒頭のNRIの調査結果に戻りましょう。

「若手がやりがいを感じる仕事」のアンケート結果があります。

回答が多い順に並べると、以下のような感じです。

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<どんな仕事に『やりがい』を感じるか(3つまでの複数回答、N=1,000)>

○報酬の高い仕事:29.0%
○自分だけにしかできない仕事:22.0%
○新しいスキルやノウハウが身につく仕事:21.8%
○自分の実績として誇れる仕事:21.5%
○お客様から感謝される仕事:21.0%
○社会的に意義がある、貢献のし甲斐がある仕事:16.8%
○自ら創意工夫ができる仕事:16.6%
○将来のキャリア形成に役立つ仕事:16.4%
○目標や成果の明確な仕事:14.6%
○自分の個性を発揮できる仕事:14.6%
○新しく挑戦的な仕事:11.8%
○これまで自分が経験したことのない仕事:11.8%
○社内で高く評価される仕事:8.1%
○部分的な作業ではなく、全体像に関われる仕事:7.9%
○目立つ仕事、注目される仕事:6.0%
○成果がすぐに出る仕事:6.0%
○規模の大きな仕事:5.4%
○世の中を変えていくような仕事:5.1%
(○仕事にやりがいと求めていない:2.9%)
○根性や忍耐が培われる仕事:0.7%
○その他

野村総研調査結果より。ただし赤色の強調はマイスターがつけました)
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これを見て
「若造が、贅沢だ!」
と思われる方もいることでしょう。
でも、確かに、こうした仕事に携わることは、モチベーションを上げるのに効果的だと思います。

ところで、大学職員としてのキャリアは、この中の何を満たし、何を満たしていないのでしょうか?

学校は基本的に非営利組織ですから、すべてが民間企業と同じではありません。
非営利組織ならではのやりがいもあるでしょうし、民間企業のやりがいを、すべて満たせるとも思いません。
それでも、若手の活用を考えるにあたり、参考になることは多そうです。

赤色のチェックは、マイスターが付けました。

「大学職員として働いていて、満たされる『やりがい』」

はこれかな、とマイスターが個人的に感じた項目です。

一番上の「報酬」が満たされているのは、他業種の方から見れば、うらやましいことだと思います。
(というか、非営利組織なのに報酬に不満がないって、考えてみればすごいことです)

ただしご覧の通り、

自分の能力を活かせるとか、
自分のキャリアになるとか、

そういう「成長・自己実現」に関する項目に関しては、大学職員はあまり満たされていないんじゃないかとマイスターは考えています。
つまり給与の優位性が崩れると、途端にモチベーションを失いかねない仕事です。

これは、危ういです!

何しろ、「大学も倒産する」という時代です。
社会的意義と給与の高さだけが仕事のやりがい、なんて働き方は、悪くはないのですが、
現代にあっては、逆にちょっと不健全な気もします。

だからこそ、管理職の方は、チャンスです。

若手の「やりがい」を高めるには、

○自分だけにしかできない仕事
○新しいスキルやノウハウが身につく仕事
○自分の実績として誇れる仕事
○自ら創意工夫ができる仕事
○将来のキャリア形成に役立つ仕事
○目標や成果の明確な仕事

などを与えればいいのです。
ね、拍子抜けするほど、簡単でしょ?
でも、案外、こうしたことをきちっとやらせている上司っていないもんです。

とは言っても、何も、いきなりビッグプロジェクトの責任者にする必要なんてありません。

ちょっとしたミーティングの進行役をやらせたり、
仕事のために何かの知識を勉強させて、それを発表させたり、
外部の人間の前で「コイツは○○を担当して、良い仕事したんですよ」とアピールしてあげたり、
一年単位の仕事を、短期で区切って目標を明確にしたり、

まずはそんなことから始めてみてはいかがでしょうか?

大学職員の業務は、公務員と同じで、「ミスをしないことが大事」という性格のものが少なくありません。
でも、それだけをやらせていると、上記のようなやりがいは、なかなか得られません。
なので、やりがいを感じられる仕事を、上司が作ってあげることも、時には必要なのかなと思います。

こうして若手職員のモチベーションを維持し高めることが、ひいては日本の高等教育改革の成否を分けることにつながると思います。

いや、大げさでなく。

高次元の動機を持った人材が、組織の中で一定の割合を占めると、その組織は変わると思います。

逆に「安全・安定」「組織への所属」などの基本的欲求を満たして満足しているようなスタッフばっかりだと、その組織はなかなかエネルギーを得られません。
自己変革のエネルギーは、外圧などではなく、ただただ熱意ある個人の内から生まれてくるものであるはず。
マイスターは、そう思っています。

なので、モチベーション対策を軽く見ていてはいけません。

仕事に対するモチベーションって、大事です。
現代では、モチベーションを上げることを業務にしている企業もあるくらいです。

■「Link and motivation」
http://www.lmi.ne.jp/

■「JTB Motivation」
https://www.jtbm.co.jp/index2.html

それくらい、今の社会が「やる気、やりがい」で動いているということなんだと思います。

 
「金銭だけが仕事の動機じゃない。安定があれば幸せというわけじゃない。やりがいで仕事を決めて何が悪い。」

以下の本なども、そうした新しい労働観がよくわかる一冊ではないかと思います。
それこそ、学校などの非営利組織で働いている方は、読めばモチベーションが上がることうけあいです。
まだ読んでいない若手にも、管理職の方にも、経営者の方にもオススメです。

チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える

というわけで、最後ちょっとまとまりが悪いけど、

 若手のモチベーションを向上させることは大事ですよ、
 ぜひ、真剣に彼らの話を聞いて、
 彼らのやりがいを高めるような仕事も与えてあげてくださいね。

ということが結局言いたかった、マイスターでした。