マイスター、今期は「桜美林大学大学院 大学アドミニストレーション専攻」の科目等履修生です。「高等教育システム論」と、「大学マーケティング戦略論」を履修することになりました。
同級生の皆様、どうぞよろしくお願い致します。
「科目等履修生」の仕組みは、大学教職員の皆様ならご存じでしょうが、世の中ではまだまだ、いまひとつマイナーな制度である気がします。
ものすごく簡単に言うと、「単位をもらえる聴講生」ですね。
自分の好きな授業を選んで、その科目だけ聴講する、
そして、正規の学生と同じようにちゃんと試験を受ければ、その科目の単位がもらえる、
そういう制度です。
例えばマイスターの場合既に、学部時代に135単位くらい、
大学院修士課程に50単位くらいの単位を取得しています。
これプラス、今回、桜美林大学の科目等履修生として単位を無事に取得できれば、4単位分の学習歴がマイスターの人生に刻まれるわけです。
単位というのは一生ものですから、理屈の上ではこうして際限なく単位を積み上げていくことができるのですね。
学位を二つも三つも持っているような方の場合、生涯に取得する単位数も相当なものです。
そうして集めた単位が、その方のそれまでの学習歴を保証することになります。
え、単位を集めてどうするのかって?
もっともな疑問ですね。
「新しく学位をとる」というと、まだ比較的、価値がわかってもらえやすいのですが、わずか4単位ぽっちを集めてどうする? と、思われる方も多いことでしょう。
例えば一つの例ですが、
この「科目等履修生」の制度を利用する人の中で最も人数が多く、かつ目的がわかりやすいのは、
「一度大学を出た後、働きながら教員を目指している方」
だと思います。
教員免許取得のためには、免許の種類ごとに、大学でとっておかなければならない単位が定められています。「数学教員の免許なら○○学と○○法」、「理科の免許なら○○学と○○学」をとっておくことが条件、という感じです。
で、大学生の時にそういう科目をもれなく履修されていればいいのですが、そういう方ばかりではありません。「元々教員になるつもりなんてなかったけど、社会に出てから教育の道に目覚めた!どうしても教師になりたくなった!」という方の場合、学生時代は教職関係の科目なんてほとんど履修していなかったという方も多いはず。
そんなとき、欠けている単位を集めるために、働きながら「科目等履修生」をやって少しずつ単位をためていくという方法があるわけです。「教育実習」だってれっきとした大学のいち科目ですから、教育実習だけ科目等履修生でこなす方だっているのではないでしょうか。
教員免許以外にも、資格を与える前提として、特定の科目の単位取得を義務づけているものはあるでしょうね。このように、資格取得のために単位を集めるという目的で、科目等履修生になる方は少なくないわけです。
もうひとつ。
アメリカの大学や大学院等に留学するために、科目等履修生になる方もいると思います。
アメリカの大学院などでは、入学希望者を選考する際、
「これまでどんな学習を積み上げてきているか」
「これまで、どんな成績をおさめてきたか」
「学院に進学する明確な目的や目標があるか」
といったことを結構、考慮すると聞きます(もちろん日本でも考慮するのでしょうけれど)。
学校としてはこうしたバックグラウンドを見て、最後まで授業に付いてこれそうな学生を選びたいわけです。
ところで仮に、マイスターがアメリカの大学のメディカルスクール(日本の医学部に相当する大学院)に進学したくなったとします。医者を目指す志にあふれていたとします。建築学科卒ですが、それなりに良好な成績をとっていたとします。でも、メディカルスクールの入学は、認められないでしょう。
何故かというと、実はマイスターはこれまで生物学系の勉強をまったくしていないので、そういった科目の単位を持っていないのです(最後に生物の勉強をしたのは中学生の時…)。
いくらやる気があっても、生物学の基礎知識ゼロでは、医学部への進学は無茶、とあちらには判断されるでしょう。授業についていくのは困難でしょうからね。
でも大学卒業後に、科目等履修生として熱心に勉強し、生物学系の単位をいくつか(それも、わりといい成績で)取得していたとしたらいかがでしょうか。
あちらにとっては、
「この学生は、本当に医学を学びたいのだ」
と判断する材料になるでしょうね。そういうところで、単位はちゃんと評価されるわけなのです。
他の学問分野でも同じこと。例えばマイスターは今回、高等教育に関わる単位を取ろうとしているわけですが、今後、マイスターがアメリカの教育学大学院でHigher Educstionを学ぼうと思った時に、入学選考時、こうした単位はある程度評価されるかもしれません。(今のところ留学の予定はありませんけれど……)
そんなわけでマイスター、2科目を履修することになります。
ところで、科目等履修生になるにも、それなりにお金がかかります。
まず授業料ですが、1単位につき\15,000ですから2科目4単位を受講する場合は、\60,000ですね。
審査料が\10,000、アンド初回登録料が\20,000。
さらに、科目等履修生出願時には、健康診断の結果を提出しなければならないのですが、これ、健康保険ききません。マイスター、2科目の科目等履修生になるための健康診断に、10,000円ちょい支払うハメになりました。
大学の授業を受ける時に限って無力なり、私学共済保険。
計、10万円。
企業主催のセミナーなどに比べれば安い、と思います。
ここでしか学べない内容を学べるのだから、破格の安さと言えるでしょう。
ただ、会社負担ではなく「個人的に支払う出費」である場合は、そんなに小さくない額であるのも確か。
成果としての「4単位」にどのような価値を見い出せるか、によって、人それぞれ、この額についての印象は違ってくるのでしょうね。
アメリカなどに比べると、日本では、「単位」が活用される機会はあまりありません。一度入った大学を出てしまえば、自分がどんな単位を持っているかは、ほとんど意識されなくなるという状況だと思います。
今後、大学は「正課の課程で学ぶ18歳」ばかりではなくて、「科目単位で自分の好きなように学ぶ社会人」に対してもサービスを展開していくことになるでしょう。
そのときに、「1単位の価値」をどうアピールするか、というのは、ちゃんと考えておかないといけない課題だろうなと思います。
逆にいうと、そこをクリアすれば、大学にとって魅力的な収入源にできる可能性もあるのかと思います。
自分で実際に手続きを踏んで、制度を利用してみると、そんなあれこれを実感できて、実に勉強になりますね。
ところで個人的に、ただひとつ問題があるのは、
この合格通知に気づいたのがつい先ほどで、既に本日、初回の授業(ガイダンス?)が行われていたみたいだってことです…orz
やってしまった、大学のスタッフなのに……すみません関係者の皆様……。
てっきり、自分の職場宛に通知が届くように申請したような気になっていたので、通知がこなくておかしいなぁと思ったら、家に届いてました…。
そう言えば昨日、郵便受け開けてなかったよ俺……。
(でも、開講日の前日に合格通知が届くって、いずれにしても結構ギリギリですね。考えてみれば、自分の勤め先の大学の科目等履修生の手続きでも、そんなもんです)
1セメスターが15回で構成されているとすると、30コマの講義で10万円。
ひとコマにつき、およそ3,333円なり。
金額で言えば、既に3,333円をドブに捨てました。ぐあぁっ…orz
っていうかお金以前に、ガイダンス、聞きたかった……シラバス、ちゃんと見ておこうっと。
こんな、ひとコマの価値を金額に直して、その重みを体験できるのも、科目等履修生のいいところ、です。
そんな風に強引に自分を納得させつつ、次回から勉学励むことを決意するマイスターでした。
マイスターさま
ゴブサタしております。私も本日からM2の授業再開で、久しぶりに新宿キャンパスに行ってきました。
今年は全体的に通学制の人数が少ないようで、私の履修している科目は、なんと生徒2人でした・・・
下手に休めない。居眠りもできない。でもほとんど家庭教師状態で、すき放題質問はできるので、お得な感じでした。
あの立地で、あの少人数、社会人大学院って大変だなあと思った次第です。
科目等履修生として単位を取るメリットとしては、正規入学に単位が通算されることにより、その後の学習負担が楽になるという事もありますよ。
単位制の授業料で無い場合は、費用的には科目等履修生の分が余計にかかってしまいますが、社会人が働きながら正規生として通うのは、やはり負担が大きいもので、あらかじめ科目等履修生として学んでおくことにより、正規生になったときに負担を軽減するのは、それなりに費用をかける価値があると思います。
もちろん、正規生として入学する際にも、長期履修制度などの仕組みがありますが、試食的に体験できる機会として、科目等履修生の仕組みはもっと活用されるべきだと思いますね。
マイスター様
質問なのですが、科目等履修生とは学士を与えられると書かれていますが、○○大学卒業、という資格は得られるのでしょうか。
私の場合、短大卒業しているので、4大卒の資格が必要なのです。現在編入学などの資料を集めていますが、コストや時間の面を考えると、もし科目等履修生が編入学などと同じ資格を得られるのであれば。。と考えているのですが。
もし、お分かりでしたら教えてください。
さゆりさま:
マイスターです。こんにちは。コメント、ありがとうございます。
誤解を与えてしまっていたらすみませんでした。本文中で申し上げたのは、科目等履修生がもらえるのは「単位」であって、学位ではない、ということです。「科目等履修生とは学士を与えられる」というのは、ちょっと違います。
ただ、さゆりさまは、既に短大を卒業されたとのことですよね。となると、科目等履修生で単位を集めて学位をとる方法も、実はあります。
「四年制大学卒業」つまり「学士」となるには、これまではどこかの大学に編入し、そのまま卒業されるというのが一般的な方法として知られています。しかし、あまり知られていないのですが、さゆりさまのようなケースでは、「科目等履修生として単位を集め、『学位授与機構』で学位を取得する」という方法がとれるのです。
これについては、↓以下のサイトで詳しく紹介されています。ご参考になればと思います。
■学位授与機構で学位を取る(1.基礎資格の確認) 大学を卒業せずに学士を取る方法
http://allabout.co.jp/study/adultedu/closeup/CU20050414A/
科目等履修生で単位を集めても、そのままでは学士の学位は取れませんが、単位を集めた上で、学位授与機構の審査を受けてパスすれば、学士が授与されます。
大学に編入するのと、科目等履修生で単位を集めて学位授与機構で学位をとるのとでは、それぞれメリットやデメリットがあると思います。ご自身にとって最適な方法を選んでいただければと思います。
このお返事がご参考になれば幸いです。
ぜひ、今後も学士取得に向け、勉学を続けていってください。