マイスターです。
ケータイの契約は、「家族割」なんて制度がありますよね。家族二人以上で契約すると通話料が割引されるというアレです。マイスターの周りにも利用者が結構います。契約者を増やす上で、なかなかよくできた仕組みだなぁと思います。
さて、今日は、「家族優遇」についての話題を2点、ご紹介したいと思います。
え、どんなところで優遇されるのかって?それは……大学入試ですよ。
【1:卒業生の家族がいると、入試得点がかさ上げされる?】
■「卒業生の力拝借(5)──講座やカード 優遇様々、重要顧客 経営に活用」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/kansai/univ/37135.html
上記は、卒業生との結びつきを深めるために、大学が行っている様々な取り組みについて紹介した記事です。
なるほど、どこも涙ぐましい努力をしているんだなぁ……と思って読んでいたのですが、ふと、気になる記述に目がとまりました。
●入試得点上乗せ
1975年の開設以来の摂南大の特徴は、入学直後から全員がゼミに入ることだ。現在は薬学部を除く、法学部など4学部で教員1人に対し、同学年の5―10人の学生が所属。日常生活まで指導する。こうした教育方針が気に入り、子供を母校に入れる卒業生も多い。
入試にも優遇制度を設けた。01年からは学園の卒業生の子供や孫、02年には兄弟姉妹も対象に加え、入試の得点に一定の係数をかけ、上乗せするものだ。
採点の詳細は公表していないが「大きな優遇ではない」(北村芳孝入試課長)。今春入学した約1500人のうち、同制度を利用したのは「10人前後」。本来の合否ラインを少し下回ったケースが優遇制度に救われたことになる。
卒業生の子供らだけを「露骨に優遇するわけにもいかない」点が同制度のジレンマだが、実際には指定校制度などで入学する卒業生の子供も多い。全入時代を迎え、「教育方針への理解をもとに学生を確保できることは強みになる」(北村課長)。
(上記記事より)
なんと!摂南大学では、 卒業生の家族は、入試で得点がかさ上げされるとのことなんです。
いや、マイスターも、こういう話を聞いたことがないわけではないんです。ただしそれらは、例えば「あその大学付属小学校では、親族にその大学の卒業生がいると入りやすいらしいわよ」といった、「非公式な噂」として聞く類の情報だと思っていたんです。本当に有利なのか、その信憑性は分からないってやつですね。
ところがこの記事では、あけっぴろげに書かれているではないですか。マイスターはその点に驚きました。
で、詳細を知ろうと思い、さっそく摂南大学の入試情報サイトをじっくり隅々まで見てみましたが、どこにもそういった情報が掲載されていません。
そこで次に、摂南大学校友会のサイトを調べてみましたら、「お知らせ」欄に↓こんなトピックがあるのを見つけました。
~ 摂南大学入試情報 ~
公募制推薦入学選考において、「本学園卒業生の子女・孫優遇制度」を実施しています。
この優遇制度は、公募制推薦入学選考志願者のうち、本学園の発展に貢献し、建学の精神に理解を示す本学園卒業生の子女・孫にあたる方に適用され、適性検査科目の得点が加率されます。詳細は摂南大学入試課までお問い合わせください。
(「摂南大学校友会:お知らせ」より)
このニュースの下に、入試課への直通電話番号が書いてあります。マイスターが思うに、どうやらこれのことみたいですね。
この制度、おそらく校友会誌などでもPRされているのだと思います。逆に、「なるべく卒業生にだけ知られるように」と注意を払っている印象も受けます。マイスターは大学の公式入試サイトをかなり一所懸命探索しましたが、こういった記述は見つかりませんでしたし。
なにしろこれはセンシティブな制度ですから、色々とPRするのにも気を遣うんだと思います。
【2:卒業生の家族がいる人のための『ファミリー入試』】
上記の摂南大学の入試について調べているうちにマイスターは、他のいくつかの学校で、聞き慣れない言葉に出会いました。それが「ファミリー入試」です。学校によって、「ファミリー推薦入試」「同窓会入試」などと呼ばれることもあるようです。
ちょっと調べただけですが、例えば↓このような事例がありました。
■神戸松蔭女子学院大学 人間科学部生活学科食物栄養専攻
「松蔭ファミリーAO入試」
http://shingakunet.com/nyushiguide/T01/SC000323/04005403_00033292.html#0400540300033292T01
(↑リクルート進学ネットのコンテンツ)
※該当者(3親等以内の親族)の卒業証明書または在学証明書が必要
■神戸女子大学・神戸女子短期大学
「推薦入試 神女ファミリー方式」
http://www.smile-navi-web.com/summary/recommend.php#sub2
※受験生の親族4親等以内に本学園(附属高倉台幼稚園を除く)の卒業生または在学生がいる場合に受験可能
■相愛大学 人間発達学部
「ファミリー前期・後期入試」
http://www.soai.ac.jp/examinee/point/human02.html#06
※4親等内の親族が相愛学園の卒業生もしくは現在在籍している者
■甲南女子大学 文学部・人間科学部
「F(ファミリー)推薦入学選考」
http://www.konan-wu.ac.jp/examinee/y_suisen_f.html
※4親等以内の親族が本学園の同窓生(在学生を含む)である者
■池坊短期大学
「同窓生ファミリー推薦入試」
http://www.ikenobo-c.ac.jp/annai/pdf/2007/nyushiguide_tokubetsu.pdf
(↑PDFファイル)
※池坊短期大学、池坊文化学院、池坊お茶の水学院の卒業生又は在学生の4親等以内の者
■兵庫大学・兵庫大学短期大学部
「ファミリー入試」
http://www.hyogo-dai.ac.jp/nyushi/04.html
http://www.hyogo-dai.ac.jp/nyushi/11.html
※兵庫大学・兵庫大学短期大学部の卒業生又は在学生の4親等以内の者
■和洋女子大学
「卒業生子女・卒業生教員・むら竹会理事 推薦入試」
http://www.wayo.ac.jp/muratake/admission.html
※「和洋女子大学、和洋女子大学短期大学部のいずれかの卒業生の子女(子、孫、姪、姉妹)である者」、「和洋女子大学、和洋女子大学短期大学部のいずれかの卒業生が現在及び過去に学校の教員(専任、非常勤)として教育した者」、「財団法人むら竹会理事が推薦する者」のいずれかの条件に該当する者
ここでご紹介した「ファミリー入試」とは、「卒業生の家族や親族であること」が、出願の条件であり、かつ書類審査や面接などで合否を決める入試のことです。「家族や親族」の定義は大学によってまちまちですが、「4親等以内」というところが多いようです。かなり広い範囲ですね。
さらに、それに加え多くの大学が「本学の教育の精神を理解している者」と、「合格したら絶対に入学する者」という項目を出願条件に入れているのも特徴です。
これは偶然なのかも知れませんが、マイスターが見つけた限りでは、このファミリー入試を実施している事例のほとんどが、上記のように短大や女子大でした。これはまた、色々と考えさせられるものがあります。
(ちなみに「ファミリー入試」と名前がついていても、実際には一般学生と同様の試験を課す大学もあります。そういう場合、「卒業生の家族は、合格したら入学金を安くします」という入試制度であることが多いみたいです)
以上2件、卒業生の家族を「優遇」する入試制度の事例でした。
皆様は、どう思われますか?
こういった入試制度を開発するのは、「この少子化時代、いかにして確実に入学者を集めるか。いかにして学園の基盤を固めるか」という、経営上の理由によるところがやはり大きいのではないかと思います。
でも、「卒業生の家族である」ということが入試の際に有利に働く……というのは、他の受験生から見たら、基本的には不公平に思える事態でありましょう。
このような点から言うと、ともに賛否両論集めそうな制度ではあると思います。
もっともこの2つ、意味合いはけっこう違いますよね。
個人的には上の2つなら、後者の「ファミリー入試」はまだわからなくもないかな、と思えました。「卒業生の家族なら、一般の学生に比べて本学の教育内容やキャンパス文化などをよく知っているだろう。その上で第一志望にしてくれるのだから、本学への理解と、一定の熱意があるのだ」という考え方なのでしょうから、AO入試に近い発想だと言えなくもありませんし……。
ただ、摂南大学の、「卒業生の家族は入試の得点をプラスする」というのは……正直手法としてはちょっと不適切なのではないかな、と感じます。「卒業生の家族であるということ」と、入試の得点を有利にしてあげる行為とがどうしてつながるのか、マイスターには今ひとつよくわかりませんでした。
卒業生の家族を積極的に学園に呼び込もうという目的は良いのですが、より適切な手段がないかどうか、議論の余地があるのではないかと思います。
長くなってきたのでこのくらいにします。
皆様は、卒業生の家族を「優遇」する入試、どう思いますか?
ぜひ、自分の大学だったらどうかと、お考えいただければと思います。
以上、マイスターでした。
自分の勤める短期大学でも推薦入試には家族向けの優遇制度があります。
私自身は入試に直接携わることがないので、どの程度の優遇なのかはわかりませんが、制度的にはおかしさを感じます。
なにより、不利益をこうむる他の受験生が知らされていないという点は問題だと思います。
対等な競争だと思っていたら、一部の受験生の中には優遇されるものが含まれているということですからね。
ただし、
実際には、こういうことをやっている短大、女子大の推薦入試では、ほぼ全員合格ということが多いと思うので、現実に起きる不利益はほとんどないというのが実情ではないかとも思います。
是
はじめまして。
私の大学でもファミリー推薦が導入されます。
ところで入試のシーズンになると都道府県のいろんな団体から出願書類についての要望書が届きます。
同和問題をはじめとする進学上の差別をなくすために出願においては配慮すべしという内容です。
そのなかで、”入学願書に保護者・保証人の続柄、学歴を記載させてはならない。またいかなる場合においても戸籍謄本や住民票などをもとめてはならない”なんてことが書かれてるのですが、ファミリー推薦を実施する場合、保護者の情報を求めざるを得ないのですが、これってどうなんでしょう?
さすがに住民票を請求するようなところは無いんでしょうけど。ちょっと気になったりします。