紙面をにぎわす、産学連携のニュース

これは産学連携とは言わないよな、なんてヒマなことを考えるマイスターです。

しかし、産学連携、流行ってますね。

「日本の大学は、アメリカに比べて産学連携に消極的だからダメなんだ!」

みたいな意見をかつてはよく耳にしましたが、最近はそうでもありません。
報道の数だけ見れば、産学連携に関するニュースはずいぶんと増えました。

【教育関連ニュース】——————————————–

■「京大の知財を民間に活用 三井住友銀グループと提携」(神戸新聞)
http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/news/01022755kd200601181700.shtml

■「京都大とSMBCコンサルティング、知的財産の移転支援活動に関する基本契約を締結」(日経プレスリリース)
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=119947&lindID=3

■「百十四銀と香川大、産学連携へ協定」(SHIKOKU NEWS)
http://www.shikoku-np.co.jp/news/economy/200601/20060111000396.htm

■「北大など、ツアー企画でNPO法人設立・観光と医療を融合」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20060110c3c1000u10.html
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上記はいずれも昨日、2006年1月11日付けの報道です。
ちょっと調べようと思っただけで、これだけ出てきます。1日分ですよ。

なんだか、国中の大学や企業が、連携したがっているんじゃないかと思ってしまうくらいです。

偶然かも知れませんが、上記のいずれも、国立大学だというところもポイントです。

国立大学が、私立以上に産学連携に力を入れているのか、
それとも有力国立大の取り組みだからメディアがこぞって取り上げるのか、
そのあたりはマイスターにはわかりません。

とりあえず、「産学連携」が、日常耳にする言葉になってきたというのは確かなようです。

ちなみに産学連携については、文部科学省だけでなく、経済産業省も独自に事業を展開しています。

■「平成18年政府予算案:産学官連携関連予算一覧」(経済産業省)
http://www.kitec.or.jp/sangaku/sangakuyosan18.pdf

産学連携というのは、どの省庁が所轄するのかはっきり分けにくいグレーゾーンなのかもしれません。
(より広範囲の分野で予算を獲得し影響力を行使したい各省庁にとっては、使いやすい言葉であるかも知れません)
広い意味で考えれば、いまや「産学連携」という言葉に全く関わりのない省庁を探す方が難しいかも知れませんね。

もちろん文科省も、担当部署を設けて事業を行っています。
こちらは、国立大学の事業が中心となっています。

■「国立大学法人等における産学官連携」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/main7_a5.htm

「 研究振興局 研究環境・産業連携課 技術移転推進室」

というところが担当しているのですね。
↓こんなパンフレットも作っています。

■産学連携NOW -大学をあなたのパートナーに-(平成15年度版)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/020601.htm

特に、企業経営者をターゲットにした「産学連携Q&A」のページの説明は、平易でわかりやすいです。

・どれだけ費用がかかりますか
・特許の取り扱いはどうなりますか
・お世話になった先生にお礼を渡したいのですが

などなど、ユーザー視点かつ具体的な質問が並んでいます。
大企業でもなければ、なかなか大学に研究を依頼しに行ったりした経験はないと思いますが、こうしたパンフレットは、そういう中堅以下の企業のみなさまにはいいのではないでしょうか。

メディアの産学連携報道で国立大学が目立ってきた背景に、こうした文科省の取り組みがある…のかも知れませんね。

話は変わりますが、
マイスターは学部、大学院ともに、私立の出身です。

学部は理工系でしたので、企業から研究費をもらっている教員はちらほらいました。

しかしそれ以上に、大学院がすごかった。
大学院は学際系、どちらかというと社会科学系の色が強い専攻だったのですが、そこは全国でもいち早く産学連携志向を打ち出したところだったのです。

キャンパス内を歩いていると、企業の名前の付いた建物をいくつか見かけました。
企業から多大な寄付や研究費をいただいて建てている、ということでした。
マイスターは自宅と大学が遠かったこともあって、よくキャンパス内で寝泊まりしましたが、その建物にも某企業の名前がついてました。

また、マイスターは今のところ修士の2年間しか大学院には行っていませんが、その間に、2つの企業連携コンソーシアムに参加しています。
その2つで、通算、15社くらいの企業と共同研究を行っていたことになります。

これは全国平均からすると、かなり恵まれた環境だったのではないかと思います。
「産学連携」を本気で推し進めるとこういうキャンパスライフになるのかぁ、と最初はビックリしました。
コンソーシアムの参加企業は、1社あたりウン百万円の研究費を拠出していたようですので、大学院に入る研究費の総額は結構なレベルだったのではないかと思います。
その研究費のおかげでマイスターはキャンパスで寝泊まりしたり、コンソーシアムの研究活動を行えたりしたというわけですから、今でも参加された企業さんには参加しています。

産学連携は、
企業、大学、研究者、プロジェクトに関わる学生、
すべてにメリットを生み出す!

…と、個人的体験も含めて、思うわけです。
まだ「産学連携なんて汚らわしい」みたいな雰囲気が漂っている大学もあると思いますが、マイスターは現在の自分の勤め先でも、ぜひ、もっと強く推進してきたいと思うのであります。

というわけで、久しぶりに大学院生時代を思い出したマイスターでした。