【サイバー大学(2)】 具体的に、どういう画面で学べるの?

マイスターです。

・【サイバー大学(1)】 学びの場としての魅力はどう?
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50268514.html

話題の「サイバー大学」、学びの場としての魅力はどうなの?
ということを、一般人「増田学(仮名)」君の視点で見つめてみようというこのコーナー。第二弾です。

【増田 学(仮名)】

・好奇心いっぱいのビジネスマン(独身)。

・理工系学部を出たのでコンピューターには弱くはない。でも今後のスキルアップを考え、もうちょっとシステムの知識を体系的に学びたいかな、なんて考えたりもする今日この頃。
・その一方で世界史、特に古代史が大好き。本を読み博物館を巡り、あれこれ仮説を立てたりすることに喜びを感じるタイプ。大学では理系に行ったので、歴史に関することをほとんど学べなかったのが未だに心残り。

・それなりに仕事は忙しく、毎日大学に通学するのはちょっと厳しい。でも自分への投資という意味合いも含め、学位を取るくらいの勉強をこつこつと進めていきたいなぁと、漠然と思っているところ。教養を高めても良いし、実益に結びつく勉強でもいいという考え。勉強自体はわりと嫌いではない。

・貯金はあまりない。

さて、今日見ていくのは、↓こちら!

【2:どうやって学べるの?】

サイバー大学が、サイバー大学であるゆえんは、まさにここにある!
というわけで、期待が高まる増田君(仮名)です。
サイバー大学も、ここについては、かなりページを割いて解説しています。

サイバー大学の特長
* 日本初の完全インターネット講義による授業システム
* 安定した質の高い教育サービスの提供
* プロフェッショナルを育成する教育・学習システム
* きめ細かなサポート体制とリアリティのあるキャンパスライフ

やはりここは、最初の「日本初の完全インターネット講義による授業システム」について見ていくとしましょう……とその前に。
「インターネットだけで卒業できる大学」は、実は他にも既に存在します。マイスターが知っているのは↓こちら。

■八州学園大学
http://study.jp/Univ/yashima/style/facing.html

八州学園大学では、最低30単位をスクーリング履修で取得することとされているのですが、地理的・時間的・身体的に横浜の本学へ通学しづらい学生は「メディアスクーリング履修」が可能と書かれています。キャンパスで行われているスクーリングの授業を、インターネットで同時受講できるのですね。
したがってサイバー大学の「日本初の完全インターネット講義による授業システム」というキャッチコピーは、嘘ではないけれど、誤解を招きそうな表現です(ソフトバンクってそういうの多いなぁ)。

さて、気を取り直してサイバー大学です。

<サイバー大学が可能にする4つのフリー>

【タイムフリー】
オンデマンド方式の授業だから、いつでも好きな時に受講でき、何度でも繰り返し学習できます。

【ロケーションフリー】
日本全国・海外を問わずにどこからでもアクセスできます。

【バリアフリー】
全ての授業を自宅で受けることができます。通学に身体的な困難を感じている方でも、幅広い分野の学問を修めることが可能です。

【エイジフリー】
学習意欲があれば、年齢に関係なくどなたでも受講いただけます。
※入学には、高校卒業資格が必要です。(「日本初の完全インターネット講義による授業システム」(サイバー大学)より)

おぉ、これぞまさしくインターネット!
放送大学と似ている部分があるのは当然ですが、「オンデマンド」の授業はネットならではですね。
増田君が期待している部分です。

履修登録から、授業の受講、意見交換、事前学習、課題提出などの流れは、以下で解説されています。

■「学習の進め方」(サイバー大学)
http://www.cyber-u.ac.jp/campus/guidance/index.html

全部ネットで行うわけですね。
「教材のダウンロード」「科目取得試験」などのコンテンツもあるようです。
(ダウンロードできる教材というと、オリジナルなのかな?
 もちろん、ダウンロードできない参考図書なども山ほど提示されると思いますが)

【受講と出席判定】
2週間以内に講義を受講し、必要に応じて小テストや課題提出などを行うことで、出席と判定されます。期限を過ぎた場合は、バックナンバーの視聴などで、遅刻扱いとして記録されます。
また、授業や指導の内容はシステムに保存されており、理解できるまで何度でもくりかえし学習することができます。
(上記ページより)

出席が確認されるのですね。なるほど。
また、繰り返し何度も視聴できるというのは、増田君のような多忙な勤め人にとっては安心できるところでしょう。家に帰ってからとか、休日まとめてとかの受講もできますし。
このあたりは、サイバー大学の名に恥じないシステムが組まれるのだと思います、たぶん。

【活発な意見交換】
講義の理解促進だけでなく、コミュニケーション能力の育成を目的とした「ディベートルーム」が開設されます。議論のテーマは教員から出題され、教員も交えて進行されます。

これに対し、学生が自由にコミュニケーションできるのが「科目別掲示板」です。
(上記ページより)

ネットで鍛えられるコミュニケーション能力は限定的なものです。しかし教員が見守る中、掲示板上で議論するというのは、うまくすれば下手なゼミよりも盛り上がるかも知れません(論理力のある人とない人の差がはっきり出ますよね、きっと)。オーガナイズする教員次第という気がします。
4年生になる頃には学生さん達も、テキストで議論することに慣れているのかも……?

なお、別のページにはこんな記述が↓

オンライン上から質問をすると、講師やメンターから電子掲示板で24時間以内に回答を受けることができます。また、自分の登録している科目の進捗状況に応じて、メンターからこまやかな個別指導やていねいなアドバイスを受け、学習に役立てることが可能です。

さらに、実際に学生同士で集まって行うグループワークや自主研究、サークル活動などを奨励しており、多様なバックグラウンドを持つ学生同士のコミュニケーションによって、豊かなキャンパスライフを送ることができます。
(「きめ細かなサポート体制とリアリティのあるキャンパスライフ」より)

日本ではメンターやアドバイザーの制度が有効に機能している大学って、たぶんそんなに多くありません。仕組みが形骸化していることも多いです。
そんな中、メンターからのアドバイスが24時間以内に受けられるというのは、なかなかです。何しろ、確実に返事が返ってくるというのですから。

もっとも、IT総合学部、世界遺産学部、ともに初年度の募集は600名なのですが、この人数に対してちゃんと「こまやかな個別指導やていねいなアドバイス」が返ってくるのか?という不安はぬぐえません。気軽に質問できるだけに、メンターや講師がメールの返信だけでパンクしてしまわないでしょうか。
Yahoo!BB関係の質問メールにすぐ返信が来たためしがないこと、フリーダイヤルがつながるまで20分かかったことなど、数々の苦い記憶が走馬燈のように思い出され、心配になる増田君なのでした。1,200名の入学生に対して、いった何人のメンターがいるのでしょうか……?(科目等履修生が、また大量に来そうですし)

また、面白そうな部分はあるものの、全体として掲載されている画面のキャプチャが小さすぎて、実際どんな感じのシステムなのかがまったくわからないのも、実際の入学を考える増田君にはちょっと不満。何よりも、ページの下にある

上記内容は現在開発中のものとなります。画面および名称は変更になる可能性がありますのでご了承ください。
(上記ページより)

という記述が非常に気になります。

ここにきて増田君、大きなことに気がつきました。

サイバー大学のキモは、インターネットによる授業。オンデマンドな動画配信ですね。楽しみな部分でもあり、不安な部分でもあります。
多くの方は、

「インターネットで行われる授業って、どんな感じなの?」
「本当に、映像だけで十分に理解できるの?」

といった疑問を抱えているはず。増田君も、理工系出身とはいえ、例外ではありません。

ところが、動いている授業映像がどこにもないのです。

唯一の画像が、↓こちら。

■「学習の進め方 授業システム」(サイバー大学)
http://www.cyber-u.ac.jp/campus/guidance/experience.html

動画で行われる授業がどんな感じなのかは、入学してからでないとわからないのかな?
増田君は、ネット企業が設立した大学だということでそのあたりには期待していたのですが、がっかりしてしまいました。模擬授業などが既に用意されていると思っていたのです。
「画面の入れ替え可能」とか、「メモ機能など」とかいった機能も、自分で実際に試してみないと使い勝手がわかりません。どうして見られないの?と不思議な増田君です。もしかしたら、ここもまだ開発中なのかもしれませんね。そもそも、自分の持っているパソコンやインターネット環境でちゃんと動くのか?ということ(重要!)を先に試せないのが、怖いところです。
(公開されている推奨環境を見る限り、タイムフリー、ロケーションフリー、バリアフリー、エイジフリーではあるけれど、Macユーザーに対しては厳しい方針を採っている大学だということがわかりました)

……とこのように、非常に期待できそうだと思わせる反面、現時点では実際どんな学び環境が用意されているのかいまひとつよくわからないサイバー大学です。

増田君もこれが普通の大学なら、たかだかwebサイトにここまで注文をつけなかったでしょう。
だって通常の大学なら、出願前に一度は実際に校舎を見に行きますし、可能であればオープンキャンパスにも参加します。そこで大学の学びの雰囲気はなんとなく想像できるでしょうし、キャンパスにいる学生の姿を見れば、大学の雰囲気も感じられます。何より、紙のパンフレットがそれなりに充実していますから、そこからかなりの情報を読み取ることができますよね。

でも、サイバー大学の場合、「インターネットしかない」のです。
「インターネットしかない」状態で、出願日を迎えているのですから、何かもうちょっと、大学の「本業部分」に関して情報があってもいいだろう、と感じてしまうのです。

ただこれは、大きな期待の裏返しです。世間で話題になっているだけに、実際のサイトを見て「あれ?」と思う度合いも大きいというだけの話です。
例えば今からでも、「世界遺産学とは何か」みたいな模擬授業を、各学部ごとにひとつアップされてみてはいかがでしょうか。昨日の記事で書かせていただいた「どんなことが学べるの?」という疑問に対しても、ある程度の説明ができるでしょうし。
(あと個人的には、各画面のキャプチャは、拡大画像を用意していただきたいです)

新しいことを始められるのですから、ぜひ、実際に見られる形でわかりやすくご紹介された方がいいんじゃないかな、と思います。

さて、サイバー大学の入学を検討する増田君のお話、まだ次に続きます。

以上、マイスターでした。

2 件のコメント

  • 仕事の合間にふっとネット。
    実はこの記事に書かれている某大学関連の仕事
    です。
    なるほど、こう思われているんですね。
    しっかり作らないとなあ。