マイスターです。
政権交代で、補正予算の見直しが進められていますね。
特に文部科学省は、高校教育の無償化などを巡り、色々と作業も多い様子。
↓こんな記事も見かけました。皆様、お疲れ様です。
■「文科省 休日返上で補正予算のヒアリング」(日テレNEWS24)
さて今日は、ここ一週間ほどの教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【学生の挑戦を大学が支援。】
■「大学生が『ビーチ図書館』開設プロジェクト/横浜」(カナロコ)
砂浜で読書の秋?-。ビーチの利用の幅を広げようと取り組んでいる東海大学の学生による「ビーチライフ創生プロジェクト」(高市慎太郎代表)のイベント「砂浜の図書館」が20日、横浜市金沢区の海の公園に開設され、親子連れらが砂浜での読書を楽しんだ。今年で2回目。21日、10月4日も開設される。
同プロジェクトは東海大学の学生が中心となって取り組み、「秋のビーチの楽しみ方」を提案するもの。書籍は市民などから寄せられた小説や絵本など約350冊を用意。砂浜には、シートを敷き、背もたれ用の板を砂浜に差し込んで作った座いす約40個で観光客を出迎えた。
(上記記事より)
東海大学には、学生発案による様々なプロジェクトを支援する、「チャレンジセンター」という組織があります。
チャレンジプロジェクトの認定条件として、総合大学である東海大学のスケールメリットをいかしきるよう「他学部他学科に横断してメンバーが構成されていること」、そして「参加人数が50名以上であること※1」という大きな二つのハードルをクリアしなければなりません。
文系理系の枠や学年の壁を越えて、いろいろなタイプの学生が50人以上も集まれば、ときには意見が合わなかったり気まずくなったりする場面もあるでしょう。でも、それを乗り越えてプロジェクト活動を続けていく中で、今、社会が最も必要としている人間力「集い力」「挑み力」「成し遂げ力」を身に付けることができるのです。
(「チャレンジセンターってどんなとこ?」(東海大学)より)
「学部学科横断」の、「50名以上」を集めることが、サポートを受ける条件。
この認定条件、とてもユニークです。満たすのは簡単ではありませんが、ここまでの過程で、既に様々な体験ができそうですし。
実際、様々なところで、このチャレンジセンターの「でかちゃれ」マークをつけた学生を見かけている気がします。
最近では、スーパープログラムのために行った能代宇宙イベントで見かけました。
■「能代宇宙イベントでロケットの打ち上げを実施しました」(東海大学)
そんなわけで今回、見かけたのが「ビーチライフ創生プロジェクト」の取り組みを紹介する報道。
以前にも確か、海の家を建設して報道されていたような気がします。
こういった取り組みは、学生に様々な力をつける場となるでしょうし、大学全体の活性化にも繋がるように思います。
【理系首脳】。
以前のニュースクリップで、東京大学工学部からスタンフォード大学に留学し、「オペレーションズ・リサーチ(OR)」を学んだという鳩山由紀夫・民主党代表が、日本では極めて珍しい「理系首相」だと指摘している記事をご紹介しました。
中国の指導者達はむしろ技術系の方が多いと記事ではご紹介しましたが、その後、そのあたりを指摘する報道がいくつか出ておりました。
■「鳩山さんだけでない…意外に多い理系首脳」(読売オンライン)
ドイツのメルケル首相(55)は元物理学者。数学が得意で、ライプチヒ大学で理論物理学を学び、旧東独科学アカデミーでは量子化学を研究、理学博士号を得ている。こうした経歴は、政治スタイルに影響していると言われる。
(略)政権中枢に理系が多いのが中国だ。共産党最高指導グループの政治局常務委員9人中、理系は胡錦濤国家主席(66)ら8人。清華大水利工程学部を卒業した胡氏は、改革・開放以降、専門技術を持つ若手登用の流れに乗り、頭角を現した。中国紙記者は、「胡氏は合理的、実務的だが言うことがあまり面白くない」と指摘。だが、鳩山首相との会談では「理系出身同士なので、話が合うかもしれない」(同記者)と期待の声も。
一方、イランのアフマディネジャド大統領(52)も国立科学技術大卒、交通工学で博士号を持つ。同国大統領はイラン革命初期からイスラム法学者が歴任、理系トップは異色だ。テヘラン市長時代は地下鉄計画を推進。大統領就任後は、核開発を含めた「科学技術の発展」を主要政策に掲げる。
イスラエルのネタニヤフ首相(59)は、米マサチューセッツ工科大で建築学に加えて経営学も学んだ。「演説は巧みだが、論理的でない」というのが一般の評価だ。ヘブライ大のガビ・シェフェル教授は、「経済政策は一貫しているが、パレスチナ和平など政治問題は現実主義だ」と指摘する。
ペルーのフジモリ元大統領(71)は、国立モリナ農科大を卒業、同大学長も務めた。大統領になってからも、「技師」を示す「インヘニエロ」の敬称をつけて呼ばれた。
(上記記事より)
元記事には、上記以外の例も。医師出身というケースもちらほら。
サッチャー・元英国首相が化学専攻というのは、マイスターは初めて知りました。
なお、「理系」「文系」という分け方は、他の国では必ずしもメジャーではありません。
少なくとも、あらゆる専攻を文・理の二種類に分類しようとしたり、「文系だから数学は勉強できなくてもしょうがない」という言い訳が通用したりするのは、日本くらいなのではないかと思われます。
ところで興味深いのは、多くの記事で共通している、↓以下のような指摘。
鳩山首相はまもなく外交デビューする。京都大工学研究科の竹内佐和子教授は「理系指導者は国際舞台で、環境や資源問題でリーダーシップを発揮できるのでは。ただ、仕事は地味になりがちで、成果を伝える能力が求められる」と話す。
(「鳩山さんだけでない…意外に多い理系首脳」(読売オンライン)記事より)
「理系出身内閣」について、「科学的な思考が期待される」という期待と、「文系出身より国民の説得に必要な表現力が不足するだろう」という懸念が同時に出ている。
(略)「理系バカと文系バカ」などの著書がある竹内薫氏は、「鳩山代表に足りないものは論理的な戦略をうまく国民に伝える表現力。一般人に訴えるには首相の声と意中をしっかりと伝えられる人材が必要だ」と指摘した。
(「戦後初の「理系内閣」/日本」(中央日報)記事より)
「理系→話し下手」というのが定説のようになっています。
実際にはこれも、人それぞれだと思うのですけれど……。
【東大から他大学へ。】
■「東大・林教授、一橋大学に 異例の移籍」(NIKKEI NET)
マクロ経済学や計量経済学が専門の林文夫・東京大学教授(57)が10月1日付で一橋大学の教授として移籍することがわかった。東大経済学部の教授が定年前にほかの国内大学に移るのは極めて異例。国内の有力大学間の競争が加速するなかで、人材の争奪戦が一段と激しくなりそうだ。
(上記記事より)
退官後に他の私立大学などに移られる方は大勢いらっしゃいますが、「定年前に東大から他大学に移る」ことは、報道されるほど「極めて異例」なのだそうです。
これは経済学部の話だそうですが、他の学部ではどうなのでしょうか。
ちなみに平成21年度入試で東京大学は、文科一類、文科二類、理科三類が、募集定員ピッタリしか合格者を出しませんでした。毎回、こういった現象が見られます。「東大に入れるのに、他のところに行くはずがない」という絶対的な自信の表れでしょう。
東大は良い大学だと思いますが、個人的には受験生にも研究者にも、「東大以外を選ぶ」という選択がもうちょっと広がるとおもしろいのではと思ったりします。
【でかいチャレンジ、今年も。】
■「韓国軍が「ジェット機飛ばすの止める」 / 受験生に配慮」(サーチナ)
現在は韓国の受験シーズン真っ只中で、大学や高校の入試試験が行われる時期であり、受験生本人はもちろんこのと、両親や親戚、そして町中がピリピリムードなのだとか。そのピリピリムードは韓国軍にも及んでおり、空気読めとばかりに20数分間の英語ヒアリングテストの時間帯は、ジェット機を飛ばすのを中止するという。理由は、うるさいから。
「その間を狙って攻撃されたらどうするの?」という疑問もわいてくるが、飛ばさないなら飛ばさないで、緊急時の対応で迎撃などはできるのだろう。また、サイレンがうるさい防火等の訓練も中止にするらしい。とにかく、うるさいものはNGのようである。
(上記記事より)
今年も、韓国の「大学修能試験」の季節が近づいてきました。
以前の記事でもご紹介しましたが、韓国は日本同様、いやそれ以上に、大学受験にかける受験生や保護者の熱意が強い様子。
(過去の関連記事)
・韓国で大学入試がスタート 軍も警察も企業も、入試に全面協力
そんなわけで、今年も軍のジェット機が飛行を自粛するようです。
ちなみに昨年は、民間の旅客機も、受験生がヒアリング試験を行っている十数分間、空港上空で着陸を待っていたという報道がありました。
■「先輩が合格できますように」(朝鮮日報)
大学修学能力試験(修能試験=日本の大学入試センター試験に相当)をおよそ50日後に控えた22日、叡文女子高(釜山市南区竜湖洞)の1年生が、受験を前にした先輩たちのため、「高得点・合格祈願灯」400個余りを校庭に飾っている。
(上記記事より)
↑こうした報道も、毎年おなじみ。
伝統行事みたいになっています。
……にも関わらず、韓国での大学卒業後の現状は↓このような感じです。
【苦労した割には?】
■「韓国の大卒者、5割以上が正規職に就けず」(朝鮮日報)
大学を卒業した若者の二人に一人が正規職の仕事に就けない時代に突入した。4年制大卒者のうち、軍に入隊する人も100人当たり約4人へと増えた。
経済不況に加え、正規職採用を避ける雇用慣行が、社会へ第一歩を踏み出す大卒者を直撃している格好だ。
教育科学技術部と韓国教育開発院は20日、今年2月に大学(専門大学・大学院を含む)卒業者の就職率を調査した結果、54万7416人のうち就職したのは37万9524人で、就職率は69.3%だったと発表した。
このうち正規職の就職率は48.3%で、昨年(56.1%)より7.8ポイント下がり、初めて50%を割り込んだ一方、非正規職の就職率は昨年の18.8%から今年は26.2%と7.4ポイント上昇した。
大卒者の正規職就職率は2005年の56.7%から昨年には56.1%に下落したのに対して、非正規職就職率は05年の15.7%から昨年には18.8%へ上昇しており、こうした傾向が今年に入り急速に加速した。
正規職就職率の減少について専門家たちは、世界的な経済危機と雇用パターンの変化などで正規職の就職口が急減したため、と分析している。
(上記記事より)
正規の職に就けず、「非正規」のスタッフになる大卒者が増えているとのこと。
そのあたりの状況は、日本とそれほど変わらないようですね。
以上、ここしばらくのニュースクリップでした。
それでは今週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。