マイスターです。
↓スポーツに関する大学の取り組みを、これまで何度かご紹介させていただきました。
■「大学プロデューサーズ・ノート:<スポーツと大学>に関する記事」
今日も、3つの話題を見つけましたので、ご紹介したいと思います。
【今日の大学関連ニュース(1)】
■「地域貢献活動に学生も参加、サッカー協会が神奈川大と連携」(読売オンライン)
日本サッカー協会が、神奈川大(中島三千男学長)と地域への貢献を目的に協力していくことになり26日、同大で包括連携協定を締結した。
協会が2年前に始めた「こころのプロジェクト」の授業を中島学長が視察、感銘を受けたことなどから実現した。大学側は、同プロジェクトを県内の学校に紹介するほか、学生を運営に参加させる。協会側は、大学の学部でのスポーツマネジメントなどの講義に役職員を派遣する予定。
(上記記事より)
まずはこちら。
神奈川大学が、日本サッカー協会(JFA)と連携協定を締結したとのニュースです。
学長が感銘を受けたという、日本サッカー協会(JFA)による「こころのプロジェクト」の詳細は、以下からご覧いただけます。
マイスターも以前、スポーツ科学部出身のスタッフから、この「こころのプロジェクト」について教えてもらい、「へぇ~!」と感動しました。
元日本代表選手や現役のJリーガー、なでしこジャパンの選手など、日本が誇るアスリートの皆様を、「夢先生」として小学校に派遣する、という取り組みです。
実際にスポーツをしながら、フェアプレーやチームワークなどの大切さを伝えたり。教室での講義ではこれまでの人生や、自分の夢について語ったり。
しかもこの「夢先生」、サッカー選手だけに限らず、陸上や水泳、格闘技などなど、あらゆるスポーツの選手が関わっているというのがまた素晴らしいのです。
というわけで今回、そんな日本サッカー協会と、神奈川大学が包括提携を結びました。
■「神奈川大学と日本サッカー協会が包括連携協定を締結」(大学プレスセンター)
地域教育への貢献では、日本サッカー協会が小学生向けに行っている学習支援活動『JFAこころのプロジェクト』を神奈川大学が持つ神奈川県内のネットワークを活用し、紹介するとともに、神奈川地域における運営の基盤的役割を果たしていく。
教育における人材交流に関する支援・協力では、日本サッカー協会の役職員が講師となり、神奈川大学人間科学部(スポーツ健康コース)・大学院人間科学研究科(スポーツ産業分野)※において、スポーツマネジメントなど、実践的な内容を講義することなどを検討していく。
また、日本サッカー協会内で行っている活動等に神奈川大学の教員を講師として派遣し協力していく。
このほか、神奈川大学生のキャリア形成支援についても、学生が社会貢献活動への関心を高め、ひとつの事業の計画立案・実行までの過程を学ぶことを目的とし、日本サッカー協会において学生の研修を受け入れ、『JFAこころのプロジェクト』の運営に学生が参加する。
(上記リリースより)
関わる大学生も、選手の方々も、そして取り組みに触れる地域の方々も、全員がプラスの影響を受けあえるような取り組みになりそう。
これからどのような拡がりを見せるか、楽しみです。
【今日の大学関連ニュース(2)】
■「JOC引退後支援 陸上の高橋さん大学合格」(Sponichi Annex)
日本オリンピック委員会(JOC)は26日、競技者の現役引退後の生活設計などを支援する「JOCキャリアアカデミー事業」の推薦制度で、2000年シドニー五輪陸上女子1万メートル代表の高橋千恵美さん(33)が聖徳大人文学部人間栄養学科に合格したと発表した。
事業の趣旨を理解した聖徳大が引退したスポーツ選手に対する特別奨学推薦入試を導入し、管理栄養士の資格取得を目指す高橋さんが第1号の合格者となった。
(上記記事より)
続いてはこちらの話題です。
日本オリンピック委員会(JOC)と言えば、オリンピック開催期間中を中心に、しばしばメディアで耳にする団体。
そのJOCがこのような推薦制度を持っていたのですね。
トップアスリートといえども、いつかは競技選手を引退するときがきます。
競技によっては、そのタイミングは、思いのほか早くやってくるわけです。
そこでJOCは、選手達が引退後の生活を心配せず、競技に専念できる環境をつくるために、キャリアアカデミー事業を展開しているのです。
選手の引退後の生活設計などをサポートするために、選手が競技を通じて培った経験が社会に活かされるようなプログラムを企画・運営したり、選手のためのキャリア研修を行ったりしています。
引退後の就職先である企業や、進学先である大学などを開拓するのも、事業のひとつ。
実際、JOCの事業計画図には、「優先入学先の開拓」と記載されています。
今回の高橋千恵美さんの聖徳大学入学は、そうした事業の結果、実現したもの。
■「聖徳大学・同短大部の全国初となる「<アスリート・セカンドキャリア支援>特別奨学推薦入試」が始動!」(大学プレスセンター)
高橋さんは1999年世界陸上競技選手権10000m、2000年シドニーオリンピック10000m等への出場実績があり、社会人女子駅伝での活躍でも知られる。2003年に競技引退後、出身校である聖和学園高等学校(宮城県)の学校職員を勤めながら、陸上競技部の指導者として選手育成に取り組んできたが、今後のスポーツ選手育成にとって「管理栄養士」の資格や「栄養」に関する知識が必要と考え、今回のチャレンジとなったもの。
(上記リリースより)
栄養学や、管理栄養士の資格は、スポーツと密接に結びついています。
長く競技生活を送ってこられたトップアスリートの方がこうした学問と出会うことで、今後のスポーツ選手の栄養学的なサポートなど、アスリートならではの研究がひろがりそう。
様々な展開が期待されます。
■ちょっと画期的な、早稲田大学の推薦制度
↑以前の記事でもご紹介しましたが、今回の聖徳大学や、早稲田大学人間科学部eスクールの特別推薦枠制度のように、トップ選手のキャリアを社会に還元するための仕組みを大学がつくることは、非常に意義のあることだと思います。
大学という教育機関が社会に対して果たす役割って、こういうことなんだろうな、と思うのです。
ちなみに、トップ選手達のキャリアを支援するという点では、JOCの他にも、Jリーグが特に熱心に取り組みを行っているようです。
Jリーグでは、選手のセカンドキャリアの支援として、Jリーグキャリアサポートセンター(CSC)を設立し、選手の第二の人生のサポートを行っています。
■Jリーグキャリアサポートセンター(CSC)
こうした取り組みを知ると、日本のプロスポーツのあり方も、本当の意味で豊かになっていたのだなぁと感じます。
【今日の大学関連ニュース(3)】
■「山梨学院大学との業務提携のお知らせ [ 甲府 ](09.02.26)」(J’s GOAL)
本日、ヴァンフォーレ甲府と山梨学院大学は業務提携調印式を行い、正式に業務提携をいたしましたので、下記の通りお知らせいたします。
「山梨学院大学との業務提携」
■目的
【1】相互の強みと弱みを理解し合い補うことによって、相互発展を図る。
【2】相互間におけるニーズを満たし、各々の特性を受け入れることで新しい価値創造を図る。
【3】地域(社会)貢献活動を目的に社会還元に取り組む。
■具体的な活動内容
1.「サッカー部の強化に関わる内容」
<ヴァンフォーレ甲府側からの提供>
・大学サッカー部へのコーチ派遣
・高校サッカー部に対する助言(高校については、協力関係)
・大学・高校への選手スカウト業務に対する支援(情報提供等)
・ヴァンフォーレ甲府のユース出身選手を推薦
<山梨学院大学側からの提供>
・ヴァンフォーレ甲府、育成部門の指導者に対する指導者養成
2.「施設に関わる内容」
・指導者講習会の実施
3.「人材交流に関わる内容」
・試合運営や地域イベントのボランティア、インターンシップ、研究テーマの対象としてヴァンフォーレ甲府を活用する。
・ヴァンフォーレ甲府のスタッフが大学の講義を実施。また講義を聴講する。
4.「共同事業」
・相互間の人材で、プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、食育、教育、環境(エコ)等の文化・社会的な課題に取り組む。
(上記記事より)
最後はこちら。
ヴァンフォーレ甲府と山梨学院大学との業務提携の話題です。
大学とプロスポーツチームが、お互いに協力して市場を開拓し、人材育成を行い、地域に対して最大限の貢献をする。
以前の記事でもご紹介しましたが、こうした取り組みが今、とても増えています。
■プロスポーツと大学(1) Jリーグと大学の連携
■プロスポーツと大学(2) プロ野球チームと大学の連携
Jリーグやプロ野球チームは、もともと地域に根ざした活動に力を入れています。
同じく地域貢献の看板を掲げている大学とは、もともと相性がいいのかもしれません。
活動を通じて「人」に大きな影響を与え、育てていくという点も共通です。
山梨にも、また新たな取り組みが生まれました。
以上、大学とスポーツに関する取り組みを、いくつかご紹介させていただきました。
こうした取り組みが、様々なところで相次いで始められています。
大学が色々な組織と連携しながら、社会に対して価値を生み出していくというのは、素晴らしいこと。
今後も、こうした動きが広がっていくといいですよね。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。