web同窓会「この指とまれ!」は使われるのか

同窓会らしい同窓会を、まだやったことがないマイスターです。

中学の同窓会を、高校生のときに一度やったのですが、何しろ卒業から1~2年しか経っていなかったので、何の感慨も沸きませんでした。あのときは、全員高校生ゆえお酒も飲めず、ただのカラオケ大会みたいになってしまった、というのも失敗の原因のひとつかも。
そろそろ、同窓会が盛り上がる時期に差し掛かってきたと思うのですが、誰か企画しないかなぁ……。

そんなことをぼんやり考えていた時に、ふと、このサービスのことを思い出しました。

■web同窓会「この指とまれ!」(株式会社ゆびとま)
http://www.yubitoma.or.jp/topyubitoma.html

ご存じの方も多いかも知れません。
web上で自分の出身校の卒業生リストに登録すると、同じように自分の出身校の卒業生リストに登録した同級生達と連絡が取れるようになる、という、日本最大の「同級生コミュニティサイト」です。

■「はじめての方に」(この指とまれ!)
http://www.yubitoma.or.jp/sitetour/

「ゆびとま」の愛称で知られる「この指とまれ!」(以下、「ゆびとま」)は、日本全国の大学、短期大学、専門学校、高等専門学校、高校、中学校、小学校など国内・外ほとんどすべての学校および統廃合により現存しない学校までも網羅し、卒業校登録して同窓生、同級生、恩師等との懐かしい再会や連絡し合ったりすることができる会員制コミュニティサイトです。
(上記ページより)

「同窓生」というのは、言うまでもなく、非常に特殊な縁の形です。
地縁、血縁、職縁(仕事を通じての縁)とはまた違ったレイヤーで人と人がつながれる、貴重な縁だと思います。
それを、インターネットの力を借りて、コミュニティサイトとして構築してしまおうというのが、ゆびとまのコンセプトなんだと思います。

マイスターも、小学校から大学院まですべて、卒業生として登録しています。

日本でインターネットが普及しはじめたのは、1995年の「Windows95」発売以降。
翌96年に、この「この指とまれ!」のサイトが開設されています。
この「ゆびとま」と、それを運営する「株式会社ゆびとま」は、一人の女性が創業したのですが、「地方(長崎)発のインターネット・ベンチャーの成功例」として、一時期、脚光を浴びたのです。
↓こんな賞も受賞していますね。

■日経インターネットアワード2000
http://www.nikkei.co.jp/award/award2000/jushou-toku.html#yubitoma

会員数337万人(2006年4月15日現在)。
2006年3月の時点で「mixi」のユーザー数が300万人ですから、この時点ではmixiをまだ上回っているわけです。
この数字だけみれば、日本屈指の、なかなか大きなコミュニティサイトです。

しかし正直言って現在は、mixi等と比べると、あんまり話題になっていません。
上記の会員数だって、mixiは200万→300万人への増加をわずか3ヶ月弱で達成する急成長ぶりですが、「ゆびとま」の方は、そこまで急激に伸びているという話を聞いたことがありません。

mixiは、ユーザーが、友達をどんどん招待することで、急激に会員数を拡大させています。そういう仕組みができているわけですね。
一方「この指とまれ!」の登録は、ゆびとまスタッフの承認制です。同窓会データに登録されるには、数日かかります。あまり、爆発的にユーザーが増えていく仕組みではありません。もちろん、同窓会コミュニティというコンセプトを打ち出した時点でそういうことはある程度仕方がないことですから、これは大きな問題ではないのでしょうけれど……。

そんなことよりもっと根本的な「mixi」と「ゆびとま」の違いは、サイト内での、アクティビティの質・量の差です。

ゆびとまって、あんまり活発に使わないのです。

考えてみてください。
同窓生名簿があって、その友人にメールを送れたら、確かにそれは楽しいと思います。でもそれって、毎日やりますか?

毎日、ゆびとまにログインして、同窓会リストを出して、そこからメッセージを送信したりしますか? 
そんな面倒なこと、しませんよね。仲の良かった友人をゆびとまで見つけたら、お互いにメールアドレスを交換して、以後は直接やりとりすると思います。

というかそもそも、「昔のあいつ、どうしてるかなぁ」なんて思いつくのって、数年に一回くらいだと思いませんか。
mixiは、どこまでも個人的なテーマである「興味・関心」をテーマに、コミュニティを構築できるサービスです。自分の趣味や楽しみに浸かるためだったら、毎日ログインしよういう気にもなりますが、ゆびとまはそうではありません。

これが、「ゆびとま」が現在、あまり脚光を浴びていない最大の理由だと思います。
コンセプト自体は斬新で非常に興味深いのですが、ユーザーが楽しめるサイトになれていないのですね。

ユーザーの支持を得られていないということは、実際にログインしてみればわかります。
マイスターの出身小学校の同窓生リストで同期生を探すと、数人見つかるのですが、メッセージを送っても、たいてい、返事が返ってきません。
それもそのはず。彼らの自己紹介文を見ると、「いまは大学生です」みたいな文章が並んでいます。つまり、大学生の時にユーザー登録して、それ以降、情報を更新していないのです。さらに「ゆびとま」に登録した時のメールアドレスが、その後、変更されてしまっているのです。

登録はしたけれど、普段は全然使わないサービス。
残念ながら、これが「ゆびとま」の現状なんだと思います。

でも、マイスターも他のユーザーの気持ち、よくわかります。
思うにこの「ゆびとま」というのは、登録して、同窓生リストを見たら、もう楽しみのほとんどはなくなってしまうサービスなんじゃないでしょうか。

インターネットで同窓生が見つけられる、というコンセプトを初めてきいた時、当時学生だったマイスターは「おぉ!これはスゴイ!」と感じました。
それまでできなかったことが、可能になる。
これがインターネットの威力、電子ネットワーク社会の姿かぁ~!と感動したのです。

でも、現状は、書いたとおりです。

本来、「同じ学校の卒業生」というのは、ものすごく大きな可能性を秘めたコミュニティであるはずです。

まして「ゆびとま」は、統廃合などで現存していない学校の同窓生を集めることもできるわけで、これにはビジネス云々以上に、ロマンすら感じます。

大学の後援会などが、「中心となる運営機構(事務局)を持った組織」だとしたら、ゆびとまが構築の手伝いをしているのは、卒業生同士が自律的に、ゆるやかにつながっていくネットワークでしょう。これはこれで、既存の後援会組織とは違った面白さがあると思うのです。

全国津々浦々の学校データベースを構築するだけでも、かなりの労力。ここまでのインフラをつくったのだから、なんとか、活かして欲しいなぁ、もったいないなぁと思うのです。

2~3年ぶりにログインした「ゆびとま」の画面を見ながら、そんなことを考えたマイスターでした。

——————————————————–
※結局、現在では、mixi内に立てられた学校別コミュニティにその役割をほとんど奪われてしまっていますよね。
ゆびとま、ほんとになんとかしないと、プレゼンスが発揮できません。

ビジネス的にも、ゆびとまは「同窓会のネットワーク」というコンセプトでこれまで様々な事業を打ち出してきているのですが、モノになったものはほとんどないように思います。
どれも、個別のアイディアだけみるとなかなか興味深いのですが、商売として成功しているようには思えず、うーん……。

※「ゆびとま」のサイトに載っている情報で面白いなと思うのは、登録者の統計情報です。

■「学校別登録者集計表(大学)」(ゆびとま)
http://www.yubitoma.or.jp/tomare/toukei/skbn01top30.html

日本一のマンモス大学を始め、いくつかの大きな有名大学の姿が見えませんよね。それは、ゆびとまのコミュニティが、「キャンパス別」になっているからです。
でもこの「キャンパス別」という分け方って、ある意味、大学の活性度を測る一つの切り口なんじゃないかと思うのです。その意味で、1位の大学には納得かも。

■「学校別登録者集計表(小学校)」(ゆびとま)
http://www.yubitoma.or.jp/tomare/toukei/skbn10top30.html

これも興味深いです。上位に、外国に所在する学校が入っています。
なるほどこういう人達にとっては、非常に貴重なつながりの場であるのかも知れませんね。