韓国の大学 授業のとんでもない「実態」を暴露する本を出版

マイスターです。

現在、受験生の側が大学に強く求めていることの一つが、情報公開。
以前、記事でもご紹介したリクルート社の「高校の進路指導に関する調査」でも、

【高大接続・連携の観点から、貴校が大学・短期大学および文部科学省に期待するのはどのようなことですか】
・中退者(率)情報の公開 22.5%
大学・短大の入試の考え方やデータの情報公開 18.1%
経営・財務状況の開示 16.3%
「第三者評価」のわかりやすい表現での公開 10.2%
「高校の進路指導に関する調査 [PDF document 315Kb]」(リクルート)からマイスターが複数項目を抜粋)

……といった声が寄せられていました。

<「第三者評価」のわかりやすい表現での公開>というのはつまり、「公開されているかもしれないけれど、わかりにくい」ということでしょうか。
財務情報を求める声が多いのも、時代の反映という気がしますね。

中退者情報の公開を求める声が高まっているのも、以前からお伝えしている通りです。

(過去の関連記事)
■読売調査「大学の実力」(1):大学の教育方針を知るには、卒業率や退学率の数字が必要
■読売調査「大学の実力」(2):今後は自主的な情報公開が望まれる
■読売調査「大学の実力」(3):報道の後、大学内で何が起きたか?
■大学の教育・研究内容をもとに進学指導する塾 (読売新聞「教育ルネサンス」で紹介されました)

大学の広報・PRは以前と比べて、かなり充実してきました。
ただ、「教育活動の実態」を示す数字やデータ、評価の結果などの公開については、現状以上の対応を求める声がまだまだ強いようです。

さて今日は、お隣、韓国の大学が、ビックリするような「情報公開」を実行したというニュースを、お届けします。

【今日の大学関連ニュース】
■「崇実大、講義の実態暴露本を出版」(朝鮮日報)

「先生の講義は14回目ですが、そのうち10回は休講でした。法的に対応することはできませんか」
「わが子と同年代の学生たちの前で、夫婦の夜の生活についてあれこれ話すなんて…」
「あの先生は講義中に携帯電話で話したり、メールのやり取りばかりです。講義は眼中にありません」
崇実大学の学内における驚くべき講義の実態が明らかになった。学生たちが数々の事例をまとめて本として出版したのだ。大学が自らの恥部ともいえる講義評価の内容を外部に公開するのは異例のことだ。
崇実大学のイ・ユンジェ教務処長は25日、「過去3年間に、教授や講師全員に対する学生の講義評価を集めた『教授のための学生によるおしゃべり』(副題:講義の驚くべき実態)を発行した」と発表した。崇実大学はこの本の発行に向け、学生たちによる講義評価サイトに書き込まれた18万件以上の評価内容を類型別に分析した。
176ページにわたるこの本には、教授に対する学生からの指摘や望ましい講義方法などが紹介されている。教授たちのみっともない姿が、学生たちによる数々の指摘からうかがい知ることができる。「75分の講義のうち、50分は自分のプライベートの話やテレビドラマの話ばかり。実際の講義は残りの25 分だけ」「講義中に自分が何を教えているのか分からない教授」などの指摘もあった。「学生たちは全員が出席しているのに、教授が“後輩に一杯おごらないと ”といって講義を抜け出した。補講もなかった」というケースを紹介した学生もいた。
本の制作に参加した教養特性化学部のパク・サムヨル教授によると、「講義に遅刻」と「予告なしの休講」が最も数多く指摘されていたという。
崇実大学はこの本を600部印刷し、教授や講師らに配布する。また、希望があれば外部にも配布するという。
(上記記事より)

日本の大学でも、学生による授業評価アンケートを実施しているところが多いと思います。

「用意された教材は適切か」
「黒板や映像などを効果的に使用しているか」

……などの項目に対して点数評価を付ける欄と、自由記述による要望・意見との2部構成であることが多いでしょうか。

たいていの場合

「アンケートは皆さんが自分の参考に使うための、参考資料に過ぎません。
ご自身だけで、ご自身のために活用していただければ結構です」

……というのが、基本のスタンスだと思います。
前者の点数評価については統計的な処理をかけた上で、平均点などを教員のみに公開。
後者の自由記述は非公開か、もしくはどこの誰に対する意見かわからないような形で、冊子などの学内資料にまとめる……といったケースが多いかと思います。
いずれにしても、あまり波風立てるような内容は表に出ないことが多いでしょう。

その点、この韓国・崇実大学の取り組みは、ちょっと珍しいです。
大学が自ら、授業評価に書かれた学生の「酷評」を出版してしまいました。

出版と言ってもせいぜい600部ですから、学内で配付したら無くなってしまいそうな数ですが、希望があれば外部にも配布するとのこと。

上記の記事にある、学生達からの「指摘」の数々は、かなり衝撃的です。

大学的には、あまり外に出したくない、ましてメディアなどで取り上げられたくない内容だと思うのですが、なぜわざわざ出版をしたのでしょうか。
そのあたりの理由について、記事では特に取り上げられていません。

ただ、こういった現状を是正するための取り組みの一環ではあるのでしょう。
現状に関する理解を学内外で共有するためか、あるいは大学が直接、改善を指導するのが困難な教員達に対する、プレッシャーという意味合いもあるのかも知れません。
実際のところは不明です。

(誰の授業に対する評価なのかが記述されていないのだとしたら、教員はダメージを受けず、大学の評判だけが落ちるという結果になってしまうかも?)

以上、良いか悪いかはさておき、ちょっと新鮮でしたので、ご紹介させていただきました。

でも、日本の大学でも、他の教員がどんな授業をしているかなんて実はあまり知る機会がない……なんてところもあるのではないでしょうか。
出版するかどうかはともかく、こういった評価を全員で共有する仕組みが何らかの形で存在するのとしないのとでは、授業のあり方が若干変わってくるかも知れませんね。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

1 個のコメント

  • 日本にも学生が授業を評価し、それを「大学を通じて公表」するのではなく、「学生が出版する」団体もいくつかあります。
    早稲田ではマイルストーン(http://www.e-mile.com/)やワセクラ(http://wasedaclub.net/)、慶応のリシュルート(http://www.jukusei.org/)などが有名です。ただし、これらの場合「授業の実態を暴露する」というよりも「授業が面白いか、単位は取りやすいか」が主眼になっています。