マイスターです。
高校生を対象にして、各種のコンテストを主催している大学は、結構あります。
高校生に、各種の創作活動などで競争する場を提供するのがその目的ですが、もちろん高校生や高校教員などに対して、大学のPRを行うという狙いもあるでしょう。
実際、企画の公益性から、メディアに取り上げられることも少なくありません。
ここ最近でも、大学が関わるコンテストがふたつ、メディアで紹介されていました。
【今日の大学関連ニュース】
■「第22回東洋大学『現代学生百人一首』入選作品100首および小学生の部10首発表」(東洋大学)
ひとつは、東洋大学による「現大学生百人一首」。
歴史も長く、「天声人語」や各紙の社説などで取り上げられることも多く、何度か目にされている方も多いのではないでしょうか。
第一生命のサラリーマン川柳、住友生命の創作四字熟語、日本漢字能力検定協会の今年の漢字、自由国民社の新語・流行語大賞と並んで、現代の世相を反映する一つの指標、特に現代の児童・生徒・学生が何を考えているのかを判断する指標として使われることが多い。
(「現代学生百人一首」(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)より)
……と、Wikipediaにはありました。
確かにこの『現代学生百人一首』の入選作品達からは、今という時代のあり方、社会の様子がかいま見えます。どんな社説やエッセイよりも、鮮烈に世の中を映し出しているように感じられます。
大人達が、学生の目を通じて自分たちのいる社会を再認識する。そんな役割を、この『現代学生百人一首』は果たしているのかも知れません。
上記のリンクから入選作品を閲覧することができますので、まだご覧になっていない方はぜひどうぞ。
第22回目となる今回は、応募総数63,272首。
このように多くの作品が寄せられることもあり、毎回、秀作が並びます。
選ぶ方もさぞ大変だと思いますが、大学のPRに対する効果は、かなりのものがあるでしょう。
結果的に、各メディアがこのコンテストの権威を強化していることもあり、「本校の生徒が受賞しました」と高校がPRするケースも多いようです。
地元の新聞などが、受賞を報じている例もいくつか見かけました。
↑このように、学校単位でまとめて応募できるような書式を、大学側もちゃんと用意しています。
もう一つ、珍しい取り組みを見つけました。
■「ラーメンがイタリアンに!?驚きの“即席めん”料理」(Walkerplus)
インスタントラーメンを使い、健康的でオリジナリティ溢れるメニューを競う「インスタントラーメン オリジナル料理コンテスト2009」が2/11、女子栄養大学で開催された。
集まった“シェフ”は、栄養士・調理師を目指す、高校生から大学生までの12人。全国から選ばれただけあって、“料理人のタマゴたち”が作ったアイデア料理は、どれもラーメンの域を越えたものばかり。今回は、12人の力作の中から、特にアイデアや見た目が気になる料理を紹介。ソムリエ・田崎真也も唸ったラーメンレシピも登場だ。
(上記記事より)
こんな取り組みがあったのですね。
主催者は、社団法人・日本即席食品工業協会。
そこに、女子栄養大学や日本栄養士会などが協力をする形で開催されています。
■「インスタントラーメンオリジナル料理コンテスト2009」(日本即席食品工業協会)
(社)日本即席食品工業協会では、栄養士・調理師を志す学生を対象に、インスタントラーメンをテーマにした料理コンテスト「インスタントラーメンオリジナル料理コンテスト2009」を開催しました。今回は全国大会として実施され、合計1,464通の応募がありましたが、 12作品が選出され、コンテストに参加して頂きました。“明日の食の専門家”が考え、腕を振るったコンテストの結果を発表致します。
(「インスタントラーメンオリジナル料理コンテスト2009」(日本即席食品工業協会)より)
「栄養がない」「体に良くない」というイメージがあるインスタントラーメンの世間的なイメージを良くするというのが狙いなのだと思います。
「栄養士・調理師を目指す、生徒や学生」を対象にしたというのが、色々な面でポイントなのでしょう。
メディア受けも良さそうです。
というか、実際の作品達が「Walkerplus」の記事で紹介されていますが、とてもインスタントラーメンとは思えません。もはやラーメンとはまるで違った料理になっています。
かなりの創意工夫です。
なんとなく、これから毎年、話題になりそうな感じがします。
ちなみに女子栄養大学は、webサイトに↓こんなコンテンツも掲載しています。
さすが栄養学の大学。
入試センターによる入試情報サイトの奥の方にあるため、ちょっと見つけづらいのが難点ですが、大学らしさを伝えるコンテンツではあります。
亜細亜大学や獨協大学など、外国語教育に力を入れている大学は、英語スピーチコンテスト。
理工系の大学では、ロボットやエコカー、ソフトウェア、あるいは科学研究などの成果を競うコンテスト。
このように、「その大学での学びにつながっている」、「その大学を連想させる」という点を意識したコンテストを、各大学とも展開しているようです。
大事ですよね。
このように、アイディアや創作力を競ったり、その過程で色々な取り組みに真剣に打ち込んだりできるコンテストを大学が企画するのは、非常に意義のあることだと思います。
大学の教育の一環でもありますし、社会への貢献、情報発信にもなるでしょう。
もちろん、大学のPRにもなります。
ただ、しいて課題を挙げるなら、どの大学も同じようなPR戦略を考えるために、同じようなコンテストが乱立してしまっているということでしょうか。
上記はオリジナリティが発揮されている例ですが、小論文やスピーチ、エッセイのコンテストは、それこそ数え切れないくらいあるような。
高校生の側にとっては、選択肢が多いのは良いことなのですが、企画を成功させなければならない大学の側にとっては、何かと工夫を求められるところかも知れませんね。
東洋大学の百人一首くらい、レベルの高い作品が集まるケースは成功例。
「全国○○」と銘打っているのに地元の高校からしか応募が来ない、なんてことになったら、やはり企画に関わった関係者としては、ちょっと寂しいでしょう。
でも、どのコンテストも日本全国から応募できるのですから、応募する側は、なるべく知名度の高いコンテストに出そうとするでしょうし、油断しているとそのうち、地元の高校からもそっぽを向かれてしまうかも。
教育的な意義がもちろん大事。
その上で、「大学らしさ」と、「応募したくなるような面白さ」、それに「メディアが取り上げたくなるような話題性」が、コンテストの普及のためには重要なのかな、と思ったりします。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。