センター試験 「過去問」解禁

マイスターです。

■進む「過去問題」の活用(1) 全国75大学の他、センター試験も過去問利用を検討
■進む「過去問題」の活用(2) 「良問」を目指して

↑以前の記事で、センター試験も過去問利用を検討中、というニュースをご紹介しました。

今回、正式に過去問の使用を認めると報じられたようです。

【今日の大学関連ニュース】
■「センター試験で『過去問』解禁 10年度試験から適用」(Asahi.com)

大学入試センターは5日、過去にセンター試験や他の大学入試で出題された国語や外国語などの素材文の使用を、10年度の問題から認めると発表した。「過去問題の使用」は前身の共通1次試験が79年に始まってから認めておらず、約30年ぶりの方針転換となる。
センター試験の問題をめぐっては、使用に適した素材に限りがあることや、大学入試問題が毎年、膨大に作成されることから重複を避けることが年を追うに連れて、困難になっていた。06年5月には有識者会議が「必要であれば、過去と同一の問題を出題したり、素材文を利用したりすることは認められるという意見が多かった」とまとめを公表し、センター側も「適切なものであれば、素材文として使用することもあり得る」との結論に至った。
想定しているのは主に国語や外国語の問題文だが、場合によっては歴史などの科目でも過去に出題した素材文を用いる可能性があるという。
(上記記事より)

英語や国語をはじめとする問題の素材文。
これまでは、過去にセンター試験や各大学の入試で使われたものは、出題しないようにされてきました。
過去問題を見たことのある受験生と、そうでない受験生の間で不公平が生じるから、というのがその理由です。

しかし毎年、センター試験および各大学の入試で、膨大な入試問題が作成されている中で、入試に使える素材が枯渇してきた、という認識が、大学関係者の間にはあります。

そもそも現状では、

「この文章、入試に良さそうだな」

と考えた後、

「でもこれって、どこかの大学の入試で既に使われていないかな?」

……といって、毎回、他大学の分を含め、過去何年にも及ぶ膨大な過去問を精査しなければならないのです。

しかも、年に1~2回しか入試が行われなかった頃と比べて、入試の種類や回数も増加。大学によっては、入試問題の作成業務が、共通課程の教員など一部の担当者に集中する傾向もあります。
それでなくても、研究、教育の両面で競争力強化を求められている大学教員にとっては、この調査だけでかなり大変な労力です。

(ちなみにこれまでは、他大学の過去問と出題がかぶってしまった大学に対し、大手受験予備校などが「これは○○大学の○○年の問題と似ている。出題ミスではないか」と指摘を寄せる、なんてこともありました)

その結果として、本当の出題ミスや、いわゆる「悪問」と呼ばれる不適切な問題が増えてしまっては、元も子もありません。
重複をなくすための精査作業が緩和されるだけでも、こうした事態が少しは改善されるかも知れません。

そして以前の記事でも申し上げましたが、過去問の再利用は、「良問」の活用にもつながります。

受験生の実力を適切にはかれる問題かどうかは、結局、実際にやってみないとわかりません。
ましてやセンター試験の場合、「平均点のコントロール」という事情も加わります。
過去問を活用することで、より安定的に受験生達の学力を測ることができるようになるのだとしたら、メリットはあるでしょう。

センター試験が過去問を解禁にしたことで、他の大学にも、さらに同様の動きが拡がっていくかも知れません。

ちなみに試験科目についても、条件が若干変わったようです。
入試に関わる方は要チェックです。

■「『日本史、世界史のセンター試験受験可能』文科省が新制度を公表」(MSN産経ニュース)

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。