「回収不能」「遊興費に転用」 削減される奨学金予算

マイスターです。

・奨学金回収事業を民間委託(2007年06月22日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50322348.html

以前、こんな話題をご紹介しました。
貸し出された奨学金の回収業務を民間に委託するという報道です。
つまり、民間に委託しなければならないほど、奨学金の回収がスムーズにいっていないということです。
大丈夫なのかなぁ、と心配になる内容でした。

そうしたら、あんまり大丈夫じゃなかったみたいです。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「財務省 文教予算編成で奨学金事業を削減方針」(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/071028/fnc0710282059000-n1.htm
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財務省は28日、来年度予算で文部科学省の奨学金事業予算を削減する方針を固めた。奨学金を遊興費に転用する学生が目立ち、苦学生支援という奨学金本来の意味が薄れつつあると判断している。奨学金を返さず、回収不能に陥った延滞債権総額も急増、平成18年度には2000億円を突破しており、財務省では新たな保証制度の義務化も迫る構えだ。

(略)財務省は奨学金が「必ずしも苦学生でない人も対象に入っている」と指摘。無利子奨学金に比べて審査基準が緩い有利子奨学金まで含めると、年間所得が1344万円以下の世帯が対象で、大学生などの子供を抱える世帯の約8割が条件に当てはまる。審査の学力基準も緩く「手を挙げた人はだいたい奨学金がもらえる」(主計局)のが現状だという。

財務省によると、奨学金を電話代や海外旅行費など勉学以外の目的に費やす奨学生が増加傾向にある。これに対して勉学費や書籍購入費は大幅に減少しており、財務省は奨学金が勉学よりも娯楽に振り向けられているとみている。

一方、貸し出した奨学金が回収不能に陥るケースも急増している。18年度には延滞債権総額が2000億円を超え、15年ほどで約3倍に膨らんだ。旧日本育英会の奨学金事業を引き継いだ日本学生支援機構が回収を進めているが、18年度に回収を行った1万件のうち、約半数の4395件は居所不明などの理由で未回収のままだ。

(略)文科省は「事業費の不足で、貸与の条件を満たしていても奨学金を受けられない学生が毎年いるのが現状」として予算増額の必要性を強調するが、財務省は「納税者に説明できるとは思えない」として削減方針を固めている。

(上記記事より)

前兆があったとは言え、やはりちょっとショックな内容です。

「教育に力を入れなければならない時代に、奨学金を減らすとは何事だ!」……と言ってしまえれば楽なのですが、財務省も、国の負債を減らし財政を健全にするというミッションを背負っているわけですから、事態はそれほど簡単ではありません。

また「必ずしも苦学生でない人も対象に入っている」と財務省は指摘したそうです「親が稼いでいるのであれば親に払ってもらえ」と当たり前のように言ってしまう社会も、それはそれであまり健全であるとは言えないように、マイスターは思います。

国庫と関係がない民間の奨学金などが十分に充実していたら、こういった議論ももう少しシンプルになるのでしょうが、現実問題として、この奨学金しか奨学金制度を持っていないような大学だってあるでしょう。

うーん、課題は多そうです。

というわけで、今日は短めのマイスターでした。

2 件のコメント

  • まずは、「奨学金」をちゃんと実態に沿った呼び名、つまり「奨学ローン(無利子型)」などというふうに変えて、「お金をもらっている」のではなく、「お金を借りている」ということを明示的に意識させることが必要なのではないかと思います。

  • そもそもこの国にはローンではなくしっかりした「奨学金」制度がそもそもないのです。
    予算を削るということが前提にあって無理やり探し出した理由のように思えてなりません。