ニュースクリップ[-10/19] 「ノーベル賞:南部陽一郎氏は米国人に…文科省『苦肉の策』」ほか

マイスターです。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【受賞国はアメリカ、でも日本人受賞者は4人?】
■「ノーベル賞:南部陽一郎氏は米国人に…文科省『苦肉の策』」(毎日jp)

文部科学省は15日、ノーベル物理学賞受賞が決まった南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授(87)=米国籍=を、白書などに掲載する国別受賞者数に、米国人として数えることを明らかにした。一方、受賞対象の業績を挙げたのは日本国籍時代で、今年の日本人受賞者は「4人」との見解だ。外国籍の日本出身者が受賞する初のケースで、文科省の「苦肉の策」となったが、ボーダーレス化する科学の世界では今後も同様の悩みが起こりそうだ。
国別受賞者数について、文科省は受賞時の国籍を原則に算出してきた。南部氏の受賞決定を受け、対応を検討。出生国で数えると、移民の多い米国の受賞者数が大きく変わることから、原則を維持することにした。
文科省は「現在の国籍上、日本国民とはいえない。だが、業績を挙げた時点の国籍は日本だ。心情的にも日本人としてお祝いしたい」と説明し、日本人受賞者の業績紹介などで南部氏も加える。
(上記記事より)

ノーベル物理学賞を受賞された南部陽一郎・シカゴ大学名誉教授。
受賞の際、各紙は「日本人3人が受賞」と報じましたが、南部氏の国籍はアメリカです。

というわけで文部科学省は今後、これまでの原則に則り、公式の「国別受賞者数」では、南部氏をアメリカ人としてカウントすることにしたようです。
ただ、「受賞対象の業績を挙げたのは日本国籍時代」だから、「今年の日本人受賞者は4人」との見解なのだとか。
気持はわかりますが、ちょっと苦しいところです。

■「ノーベル賞:高校生に最も知名度のある日本人は田中耕一氏」(毎日jp)

↑ちなみに、若者の間で最も知られている日本人ノーベル賞受賞者は田中耕一さん、6部門で最も関心が高いのは平和賞だとか。

【まちおこし食品、まず学食で。】
■「みしまコロッケ“学食版”ヒット 日大三島食堂」(静岡新聞)

三島市文教町の日本大学三島キャンパスの食堂や売店で、オリジナルの「みしまコロッケ」が人気だ。魚肉ソーセージを芯(しん)にしたスティックタイプで、10月1日の発売以降、1日100個ほどが売れているという。みしまコロッケの会は“学食版みしまコロッケ”のヒットに「学生からの発信につながれば」と期待している。
食堂や売店を請け負う東日クッキング(三島市)によると、当初は毎日販売していたが、予想を上回る売れ行きで仕込みなどの手間が日常業務を圧迫するほどになり、2週目から月、木曜の週2日とした。
ソーセージの上下をプレーンとカレー味のメークインの具で包み、1個で2つの味を楽しめる。スティック型は、若者受けを狙った持ちやすさと面白さという。
(上記記事より)

宇都宮の餃子のように、名物の食べ物をつくろうという動きは、全国各地で盛ん。
しかし、成功した事例はそんなに多くないようです。

■「みしまコロッケ」(三島市)

三島市の「みしまコロッケ」も、メジャー化を狙うご当地食品の一つ。
そのみしまコロッケが、地元にある日本大学三島キャンパスで、「学食板みしまコロッケ」を展開したところ、大人気になっているとのことです。

考えてみればご当地食品って、コロッケみたいに安価で素朴なものが多いですよね。
まずキャンパスで流行させる、というのはアリかもしれません。

全国のまちおこしのご参考にどうぞ。

【イギリス:課題の提出が遅れたら罰金!?】
■「課題の締め切りに遅れたら…学生に罰金!」(UK Today)

イギリスのウースター・カレッジ・オブ・テクノロジーが、課題の提出が遅れた学生に罰金を課すという方針を発表したとのことです。
初めて締め切りに遅れた学生は5ポンド(約1,000 円)、2度目は8ポンド(約1,600円)、3度目は20ポンド(約4,000円)と罰金の金額が上がっていき、合計で33ポンド(約6,600ポンド)まで課せられるとか。

当然ですが、学生側はこの方針に大反対しているようです。
全国学生連盟「National Union of Students(NUS)」はこの決定を厳しく非難し、期日通りに課題ができなかった学生に対して、罰金ではなく学術的サポートを行うように要求しているとのこと。

あんまり他の大学にひろがることはなさそうに思える制度ですが、さて、どうなるのでしょうか。

【フランス:高等教育に積極的な投資。】
■「2009-2011年度高等教育・研究予算、毎年18億ユーロ増」(フランス高等教育・研究省 科学技術振興機構掲載)

高等教育・研究予算は、政府の予算最優先項目として2009~2011年まで毎年18億ユーロが増額される。これは「知」を持続的成長と社会発展の柱とする大統領の公約に基づく措置である。予算及び税優遇措置は2009年度で6.5%、2009-2011年度の間で約17%増加する。
(上記記事より)

フランスは、高等教育・研究の予算を、これから戦略的に増額させていくそうです。
記事によると、高等教育・研究におけるキャリアの魅力向上のための予算、学生への給付額、独立した強力な高等教育機関の創出のための予算、公的研究への支援などを大幅に増加。また、民間研究への支援(研究開発費税額控除の増額)なども実施するとのこと。

さらにフランスでは、↓こんな制度も導入されるそうです。

■「『博士契約』制度の導入」(フランス首相官邸 科学技術振興機構掲載)

「博士課程院生は研究所にとって強力な戦力である。研究の将来の担い手であるのはもちろんであるが、それ以上にイノベーション力、創造力に富むプロジェクトの担い手でもある。」という認識のもと、博士課程の院生に対して様々な権利を保障する内容です。

高等教育への投資を減少させている日本としては、こういったニュースを読むと、危機感を覚えてしまいます。

【韓国:経済が大学にも大きな影響を。】
■「失業率:相次ぐ説明会取り消し、大学にも経済危機」(朝鮮日報)

世界的な金融不安の中、大学では経済危機が再び訪れたような雰囲気だ。
ソウルのある大学では、最近証券会社2社から10月中旬に予定されていた採用説明会を取り消すとの知らせを受けた。「経済が困難な状況にあり、今年は新規採用のめどが立たない」というのが理由だった。
同大学の就職相談室の担当者は、「こんな急に採用説明会を取り消すケースはめったにない。経済が困難な状況にあり、就職事情も悪化しているという現実を実感する」と述べた。
(略)各大学の掲示板や就職サイトなどには、就職難を訴える書き込みが1日に数十件以上寄せられている。卒業を目前に控えていたり、あるいは卒業したばかりの求職者の間では「自分たちも10年前のアジア通貨危機のときのように呪われた世代になった」「卒業証書も紙くず同然だ」などの自嘲めいた内容の書き込みが目立つ。ある地方大学の就職相談室の担当者は「就職できない卒業生が増えているため、昨年の今ごろに比べると相談件数は2倍以上に増えた」と語った。
(上記記事より)

高等教育への進学率では日本を上回る韓国。
7割以上の高校生が進学するという、超・ユニバーサルアクセス型の社会です。
アメリカなどの名門大学に留学する人数も非常に多く、中国と並んで、教育への熱意はただならぬものがあります。

そんな韓国ですが、大学を卒業する学生達の進路には、色々と不安が多い模様。
経済の影響は、深刻なようです。

以上、海外の話題が多め、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。