マイスターです。
興味深い記事を見つけましたので、ご紹介します。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「『大名古屋大学』中経連首脳が構想 世界的研究拠点を中部に」(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/economics/news/CK2007121102071140.html
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中部地方の産官学の力を結集しようと、理科系の世界的な研究機関となる「大名古屋大学」(仮称)の設立構想が、中部経済連合会(中経連)の正副会長ら首脳メンバーの一部で検討されていることが分かった。世界中から優秀な研究者を集め、新技術の開発・研究の「知の拠点」の確立を目指す。
名古屋大を中心に、この地域の国公立大などの理系分野を統合することも視野に入れるが、具体的な内容は今後数年間にわたって検討し、中経連の次の活動指針に盛り込むかどうか判断する。
全国の国立大学法人をブロック単位に統合・再編する構想は、日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)が持論として展開。中でも大分県出身の御手洗氏は、九州各県の国立大学法人を統合する「大九州大学」構想を明らかにしている。
(略)中経連が提唱する「道州制推進」の関連でも、道州ごとに統合・再編された国立大学法人が、産学連携による地域発展の中核になることが期待されており、東京と地方の格差是正にもつながるとの指摘もある。
(上記記事より)
記事の中に出てくる「大九州大学構想」。
こちらは以前、ニュースクリップの中でご紹介したことがありました。
(過去の関連記事)
・ニュースクリップ[-8/14] 「大学全入、まだ先の話?文科省調査で予測下回る」ほか(2006年08月14日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50232987.html
おそらく、今回の「大名古屋大学構想」の参考に、というか元ネタになっているのはこの「大九州大学構想」です。
あいにく上記のブログ記事に貼ったリンクはもう途切れてしまっているようなのですが↓こちらの読売オンラインの記事が、「大九州大学構想」の内容をわかりやすくまとめてくれていました。
今一度、おさらいしておきましょう。
■「国公立連携『大九州大学構想』、九州経済連が提言」(読売オンライン)
http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_07061513.cfm
九州経済連合会は14日、政府が来年夏をめどに策定を進めている国土形成計画の九州圏広域地方計画について、アジアの経済成長を取り込む「九州アジア・ゲートウェイ戦略」、九州の国公立大が連携する「大九州大学構想」の検討などを提言した。
(略)提言は、九州には人口30万〜100万人の主要都市がバランスよく配置され、ゆとりと利便性を享受できており、スイス、ベルギー、スウェーデンなどヨーロッパの一つの国に匹敵する経済規模があるとした。
(略)また、将来の道州制をにらみ、米カリフォルニア大学をモデルに、九州の国公立大学を連合させて、各地の大学を九州大福岡校や長崎校などのように運営する「大九州大学構想」を検討し、競争力を高める必要があるとした。
提言をまとめた研究会の山崎朗・中央大教授(経済政策)は「提言の実現には、補助金を一つの予算としてまとめ、柔軟な運用を目指す予算制度など新しい仕組みも必要だ」と指摘した。
(上記記事より)
経済団体から発生している構想だという点や、旧帝大を中心にして地域内の国立大学を統合・ネットワーク化するという点など、非常によく似ています。
(日本経団連の御手洗冨士夫会長が持論として展開しているとのことですから、似てくるのも分かる気はします)
「University of California」の「UC System」とか、そのあたりがこういった構想自体のモデルになるのでしょうか。
実のところ、大学を統合してどのような効果がどのくらい生まれるのかは、まだ不明です。
例えば、地域の国立大学を一つの法人の下に置けば、単純に、経営組織は効率化されるでしょう。広報や企画、財務、研究支援などの業務組織は合理化し、その分、より高度な業務に対応できるようになるかもしれません。
教育研究の点でどのようなメリットが生まれるかは、まだよく分かりません。
国立大学の場合、結構似たような学部学科を備えていたりしますし、そういう学部(例えば教育学部や医学部等)は、そう簡単に統合して良いとも思えません。
「統合」と言うよりは、多少広い意味での「ネットワーク化」みたいなイメージになるのでしょうかね。うーむ。
名古屋の事例では、
中経連は中部5県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野)知事と名古屋市長のほか、名大など主要大学の学長、中経連の正副会長ら地域の産官学トップがメンバーとなった「中部産業振興協議会」を2002年から開催してきた実績がある。
その成果の一端は、ナノテクノロジー(微細技術)の研究・開発拠点の設立で結実した。中経連は04年に産官学連携によるナノテク推進会議を発足させ、拠点となる「ナノ構造研究所」を設立。今年4月、同研究所の起工式が行われた。
(「『大名古屋大学』中経連首脳が構想 世界的研究拠点を中部に」(中日新聞)より)
といった実績もあるようですから、色々と細かなプランがあるのかもしれません。
具体的にどのような構想になるのか、詳細が気になりますね。
以上、マイスターでした。