ハーバード大や東大、学費の値下げを進める

マイスターです。

↓こんなニュースを見つけました。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「ハーバード大が学費値下げ 優秀な学生確保へ」(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007121101000206.html
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米名門私立大学のハーバード大は10日、2008年度から学費を大幅に減額、年収18万ドル(約2000万円)までの家庭については最大で年収の10%とすると発表した。

負担額の抑制による優秀な学生の確保が狙い。財源は大学に対する寄付金などを原資に大学が運用する基金から充てる。同様に名門大の一角、エール大も負担額の抑制を検討中。優れた卒業生を多く抱え、資金力に勝る有力大ならではの経営戦略といえそうだ。

米国の大学は学生の家庭の収入に応じて奨学金を支給するケースが多い。ハーバード大はこれまで、年収18万ドルの家庭で負担額が年間3万ドル、年収12万ドルでは1万9000ドル程度だった。それぞれ1万8000ドル、1万2000ドルに引き下げる。さらに収入が少ない家庭に対しては負担割合を漸減し、6万ドル以下は免除。留学生もほぼ同様に適用する。

(上記記事より)

ハーバード大学の学費は、もともと安くはありません。家庭の年収によっては、1年で300万円以上の金額を取ると聞きます。
学費が免除される仕組みもありますが、それは成績優秀者か、あるいは家の所得があまり多くない方。
普通の家庭の普通の子供にとっては、「高いなぁ」と思われていたのではないでしょうか。

上記の報道は、そんな状況を大胆に変えて、学費を大幅に引き下げるという内容です。

記事にもある通り、この背景にあるのは、ハーバードならではの資金力。
(その辺りについてご興味のある方は、よろしければ↓こちらをご覧ください)

・ハーバード大学の基金運用担当者(2006年02月27日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50158024.html

これで中産階級、いわゆる「普通の家庭の学生」の中で、成績優秀な層を取り込もうというわけです。

ハーバード大学はアメリカで(というか世界で)最も注目を集める大学のうちの一つですが、アメリカには他にも良い大学がたくさんあります。
仮にハーバードに入れる学力を持っていたとしても、敢えてきめ細かな教育をしてくれる名門リベラルアーツ・カレッジを目指したり、自分の目指す学問分野で強い大学に行ったりすることも普通なんだとか。
そしてハーバードなどの私立大学は上述したとおり学費が高いですから、その関係でUCバークレーなどの名門州立大学を目指す人もいます。

学費を大幅に引き下げることで、そういった「優秀なんだけど、ハーバードではなく他の大学に行っていた層」を引き込もうということなのでしょう、きっと。

実際、今回の引き下げにより、ハーバード大学の学費は州立大学のレベルに近づきます。
州立大学側のアドミッションズ・オフィスにしてみれば、脅威以外の何物でもないですよね。

そう言えば、日本の東大も、同じような施策を打ち出しています。
ついこの間、↓こんな記事を書かせていただいたばかりです。

(過去の関連記事)
・東大 博士課程の学費を(実質的に)ゼロに(2007年10月04日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50348136.html
・東大 年収400万円未満なら学費無料(2007年09月04日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50338823.html

東大もハーバードも、中産階級層の優秀な頭脳をいかに集めるかということが、これからの大学の競争力を決めると考えているのかもしれません。

他の大学にとっては、こういった動きにどう対抗するか、ということが大きな課題になりそうです。

以上、マイスターでした。