マイスターです。
↓以前、関西大学文学部と高齢者施設が提携した、「カレッジリンク型シニア住宅」の話題をご紹介しました。
・生涯現役学生主義! 日本初、カレッジリンク型シニア住宅が誕生
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50222030.html
リタイアした後、大学でじっくり文学を学びながら、同じように勉学に励む仲間達と学術論を通わせる……いいですよね~。
世界でも類を見ない「高齢社会」となる日本。大学も、そんなシニア大国を支えるべく、様々な試みを行っているのですね。
というわけで今日は、↓こんな報道をご紹介します。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「淑徳大:特養老人ホーム建設へ 来春、看護学部新設契機に /千葉」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2006/12/20061214ddlk12040121000c.html
————————————————————
県内の看護師不足が指摘される中、淑徳大(千葉市中央区、長谷川匡俊学長)は来年4月に4年制の看護学部を新設。学部新設に伴い、学生の実習先にもなる特別養護老人ホームを建設する。大学が母体となる社会福祉法人のホーム建設は県内初で、全国的にも珍しいという。
(略)社会福祉法人「淑徳福祉会」は、同大本部近くの同区生実町に特別養護老人ホーム「淑徳共生苑」を建設中。鉄筋コンクリート造り4階建て(延べ床面積は7600平方メートル)で、来年4月から短期入所やデイサービス事業などを予定している。
同大の田島豊総務部長は「看護師不足に対応し、地域に貢献したい。ホームでは長年、培った研究成果やノウハウを生かしたサービスを提供したい」と話している。
(上記記事より)
淑徳大学は、「福祉」に対する関心が今ほど強くなかった昭和40年に「社会福祉学部社会福祉学科」だけで創立された、「福祉の名門」。現在は、心理学や社会学など複数の学部学科を持つ大学ですが、なかなか珍しい出自です。
そんな淑徳大学が、自前で特別養護老人ホームを建設するそうです。
きっかけは看護学部の新設だとのことですが、もちろん福祉系学科の実習にも活用されるのだと思います。これまで培ってきた福祉教育の成果と、新たに始まる看護学教育とが、この特別養護老人ホームで実践的に融合するといったところでしょうか。
このように、大学が特別養護老人ホームを設置するのは、非常に珍しいそうです。
他の事例を探してみましたら、↓こんなニュースも見つけました。
2001/05/08
■「大学が特別養護老人ホームを設置 -京都市の佛教大学原谷校地-」(ふくしチャンネル)
http://www.fukushi.com/news/2001/05/010508-b.html
他の大学でも、まだ事例があるかもしれません。
さて、自前で特別養護老人ホームを設置すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
マイスターは福祉関係の勉強をちゃんとしたことがないので、詳しいことはよくわかりませんが、例えば以下のような利点があるのかな、なんて思います。
【学校・学生側のメリット】
○常日頃より高齢者の皆様を身近な存在として感じることで、学生が(福祉や看護のプロとしての)将来の職業イメージを具体的に想像することができる
○介護サービスの「経営実態」に関するライブな教材にできる
○例えば「介護福祉士、社会福祉士、看護師などの関係者がチームを組んでことにあたるケースを体験」といった大がかりな実践教育を行う場にできる
○学生や卒業生を、長期にわたってホームのスタッフとして派遣し、中長期的な体験をさせられる
○ホームのスタッフを大学に招き、授業をしてもらう等の連携が取れる
○様々な介護行為についての研究データを取る場所として活用できる
○ホームの運営を通じて、(受験生や周辺地域に対する)大学のイメージアップを図れる【介護サービスを受ける側のメリット】
○地域に、優良なホームが一つ増える
○生活の中で、日常的に若者達と接することができる
○(通常のホーム以上に)様々な相談事を伝えることができる
以上、マイスターなりにぱっと思いついたことですが、他にも色々なメリットがありそうです。(逆に、もしかすると「実際には法的に不可能」みたいなのもあるかもしれませんので、お詳しい方はそのあたり、ご指摘ください)
こうして考えてみると、実習先となるこうした施設・機関を自前で持つことには、想像していた以上に多種多様な可能性がありそうです。
デメリットとしては当然、経営のリスクがあります。専門のスタッフも雇用する必要がありますし、なかなか準備や運営は大変です。お金がかかりますし、うまくやらないととてもコストがかかる施設になったりするかもしれません。
でも個人的には、それでも自ら設置・運営する意味は大きいと思います。
現在では大学の学びに、机上の理論だけではなく、具体的な体験や実習などを通じたより実践的な内容が盛り込まれるようになってきています。専門職を養成するための学問分野では特にそうですね。
福祉や看護に限らず、今後は様々な領域で、「自前の実習施設」が注目されるようになるのかも知れません。
(もちろん、一方で「外部の多種多様な組織と連携する」ことの意味も高まっていると思います。外部でできることと、自前施設でしかできないこと、それぞれにきっと意味があるのでしょう)
以上、マイスターでした。
ある意味ここも自前みたいです。
http://www.tfu.ac.jp/outline/group.html