シニアと大学(1) リタイアしても大学で学びたい!

マイスターです。

少子化で18歳人口が減る中、大学関係者が密かに気にしているマーケットが、シニア。
特に、定年を迎える「団塊の世代」の中には、リタイア後もある程度の経済水準を保ちながら、活動的な生活を楽しむ方々もいるらしい……ということで、

「ウチの大学に勉強しに来てくれないかな?」

と、ちょっと期待していたりします。

でも、当たり前ですが、ただ待っているだけで来てくれるほど、世の中、甘くはありません。
そこで、アグレッシブな(?)大学は、新しいマーケットを開拓すべく、様々な工夫を凝らしています。

そんな例を、いくつかご紹介します。

■「立教セカンドステージ大学」(立教大学)

立教大学は、池袋のキャンパスで、団塊世代のシニアを対象にした「立教セカンドステージ大学」を開校します。

詳細は以下、大学によるプレスリリースをご覧ください。

■「『立教セカンドステージ大学』来春開校」(Asahi.com)

立教大学(東京都豊島区・埼玉県新座市、大橋英五総長)は、2008年4月に50歳以上のシニア層や団塊世代を対象とした本格的な学びの「場」である『立教セカンドステージ大学』*を開校します。
(略)団塊世代を中心としたシニア層は、ここ数年で大量退職時代を迎え、各々のセカンドステージへ突入していきます。こうした層のファーストステージを顧みると、大学進学を希望していたにもかかわらずその夢が実現できなかったという方々が多く存在します。また、大学に進学しても余裕を持って勉学に励むといった社会環境に恵まれなかった世代でもあります。更には定年後の自分の新たな帰属場所と生きがいを求める「学び」に対する高いニーズが顕在化しつつあるのは事実であります。
こうしたシニア層のために質の高い教養教育と多面的な学びの場を提供することは、社会人入試等で先駆的に実績を積み重ねてきた本学にとって、重要な社会的責務であると認識し『立教セカンドステージ大学』を開校いたします。
※立教セカンドステージ大学は文部科学省認可の大学ではなく、立教大学が提供する生涯学習の場です。
(上記リンクより)

「団塊世代には、様々な事情で大学に行けなかった方も多い」
「大学に行っていたとしても、社会事情により満足に勉学に励めなかった人もいる」

→だから定年後こそ、「ファーストステージ」で果たせなかったことを学び、夢を叶えませんか?

……というPRです。

ちなみに「大学に進学しても余裕を持って勉学に励むといった社会環境に恵まれなかった世代でもあります」というのは、ちょうど団塊世代の皆さんが大学生の時にもりあがっていた「学生運動」のことを指しているのでしょう。

確かに考えてみればこの世代の方々って、学士号は持っていても、4年間フルに学んだとは限らないのですよね。
そう考えると、商品設定の仕方次第では、けっこう顧客ターゲットを広く設定できるのかもしれませんね

「日本では初めてのシニア層のための本格的なキャンパスライフ」
「立教大学の学部・大学院の専任教授陣や著名人が魅力ある講義を開設」
「都心のキャンパスで学び、若い学部学生と共に学部の授業を聴講することも可能」
「学生の自主的活動と運営」
「昼夜開講制で、専攻科への進学も可能」

などなど、一般的に大学で行われているようなエクステンション講座からは一線を画した、本格的なシニア向けカリキュラムで、随所に「通ってみようかな」と思わせる工夫がなされています。

1年間という期間は、参加のハードルとしてはそれほど高くないでしょう。でも、これを機に新しいチャレンジを見つけたり、夢中になれるものに出会ったり、様々なコミュニティに参画したりできるんじゃないか、そう期待させるには十分な内容です。
また、ここで学んだ学生達が正規のコース、つまり立教大学の学部や大学院にとっての新しい潜在的顧客になる点も見逃せません。

ただし受講料と登録料、あわせて1年で33万円かかるという点は、受講生にとってはなかなか高いハードルです。
しっかりしたカリキュラムを備えているのですから内容を考えたらとても安いのですが、しかしこの額によって、参加をためらう人もいるでしょう。

そこで他大学では、↓こんな取り組みもおこなわれていれています。

■「名桜大、1科目無料公開 60歳以上に」(琉球新報)

名桜大学(名護市、瀬名波栄喜学長)は2008年度から60歳以上の社会人を対象に、一科目に限定して無料で公開するシニア奨学制度を始める。社会貢献事業の一環で学内活性化の新たな試み。瀬名波学長は「全国でも初めてではないか」と述べ、活用を呼び掛けている。
瀬名波学長は「団塊の世代の生涯学習の一助になれば幸いだ。若い学生がシニアの皆さんから刺激を受けることも期待している」と話した。
名桜大には414の授業科目がある。シニア受講者には単位は認定されないが、受講証書を発行する予定。
(上記記事より)

名桜大学では、60歳以上の社会人なら、1科目限定で、無料で受講できるそうです。
エクステンション・カレッジとして、生涯学習講座等を実施する大学は増えていますが、

「いつでも好きな科目で生涯学習してください」

というのは、確かに新しいように思います。
しかも無料。これは、ご近所なら、受けてみない手はありませんよね。

立教大学の取り組みと異なり、これは、その気になれば全国の他の大学でも実行可能であるように思います。
もしかするとこれから、広まっていくのかも知れません。
個人的には、全国の大学でぜひ実行していただきたい事例です。

(上記の例では、単位は認定されないそうですが、個人的には、いっそ正規の単位を発行してみてもいいのではと思います。
他の学生と同じ条件で試験を受けて成績がつく方が、若い学生達には刺激になりそうな気がしますし、一科目でも正規の単位を取ったら、それをきっかけにして、正課の学生として入学してみようという気にもなるかも知れませんし。どうでしょうか?)

というわけで、他にも色々とご紹介しようと思いましたが、長くなってきたので、続きは明日にします。
以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。